

開発したシステムは、名づけて「Kambara i-net's」(Kambara Kisen Information Network System)。2003年6月に稼動を開始した後、ブラッシュアップを重ねてきたが、2005年7月に導入したSCAWの財務システムとデータ連携を確立して、業務全体をカバーするトータルシステムとして完成した。
システムの構造は、B/L単位で予約管理・運賃管理などを行う定期船営業システム、コンテナ単位で動静管理・在庫管理・修理管理などを行うコンテナ情報システム、そして、売上管理・請求管理・支払管理などを行う債権債務システムという3つの機能を持っている。なお、画面表示はすべて英語である。
ハードウェアとしては、神原汽船本社にWebサーバ/アプリケーションサーバ/データベースサーバを設置しているほかに、2004年2月には、上海にある神原汽船(中国)船務有限公司に定期船営業システムを改修し、代理店営業システムとして導入、2005年6月に青島分公司、大連分公司に導入している。サーバ間はe-mailとintra-martを使ってのデータ交換により、データの整合性を確保している。
システムの最大の特長は、日中の代理店が入力した船積情報から、神原汽船のすべての業務がスムーズに連携していることだ。ERPパッケージ「SCAW」のフロントシステムをも兼ねているため、代理店が船積情報を入力し、船が出港したときにその旨を入力すると、自動的に売上が計上され、最終的に財務管理まで連携していく。一度入力したデータは、もはや二重入力をする必要がない。神原汽船本社では、船積情報を入力するオペレータが不要となった。営業と連絡をとりながら入金を消し込んだり、手作業で仕訳をしたり、不明点を確認するために何度も電話をするといった手間も発生しない。書類がきれいで見やすいため、ミスが減ったという現場からの声もある。
「Kambara i-net’s」の開発により、スピーディで精度の高い、B/L運賃単位の入出金管理を確立することができた。
代理店、船会社と情報共有しながら入金回収管理を行うため、未収金を見落とすこともなくなった。しかも、システム全体をWeb技術で統一しているため、運用管理の負荷がない。海外拠点のシステムも、本社から一極集中管理を行っている。
代理店も、入力業務を担うことにはなったが、その結果、情報の流れがスピードアップしたことを歓迎している。「Kambara i-net’s」が提供するデータを使って、税関のSea-NACCSシステムへの送信データを生成できるといったメリットも生じている。
そして、最大の構築効果は、荷主サービスが向上したことである。
たとえば、貨物が今どこにあるかを追跡できるカーゴトレースシステムは、「Kambara i-net’s」によるデータの一元管理とリアルタイムなデータの回転なくしては、稼動させることが不可能であった。
「中国はシステム化が急速に進んでいるため、追跡システムは『あってあたりまえ』。構築できなかったら、競争上、大変不利な立場に追い込まれるところでした」と、定期船部 定期船課 管理チーム 金田星児氏は語る。
業務を網羅し、これから成長していく基盤を確立することができた神原汽船は、次の課題として、情報系に力を入れていく。効果的な経営指標を研究し、システムから作成される船別・航海別の収支を分析し、運賃を戦略的に設定する計画だ。
「定期コンテナ船ビジネスは、きめ細かい管理が収益につながっていきます。特に中国は、貨物量のピークとダウンとの差が非常に激しいため、情報を活用して変動に対応できる戦略を立てて取り組んでいきたい」と宮崎氏は目を輝かせて語った。

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