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営業部門でもDX化を推進。導入の具体策と成功事例

 |  DX

DX推進への取り組みは、さまざまな企業、団体、自治体などで進められています。DX推進というと、その組織全体の構造的な変革や刷新をイメージしがちですが、組織内の各部署、たとえば営業部門においてDXを進めることが、全体としてのDXを実現させることにもなります。今回は営業部門におけるDX推進に注目し、導入の具体策と成功事例をみていきましょう。

DXの実現は、現状の見える化なしでははじまらない

DXとは、進化したIT技術をさまざまな分野に浸透させることによって、ビジネスモデルや現状の業務体制を見直し、より良い方向へと変化させる取り組みです。しかし、広く認知されるようになったDXの捉え方は立場によってさまざまです。いいかえればDX実現には多様なゴールがあるといえるでしょう。

どの立場でのDX実現であっても、 IT化を推進するとともに、現状の業務や組織体制における課題を明確にすることからはじめなければなりません。 そして、業務のプロセスを見直し、市場や顧客ニーズ、社会の動向といった周囲の変化を敏感にキャッチできる仕組みを整え、その変化に対応するための体制を構築することで、企業の変革を促すものであることに違いはありません。

DXとは?や成功のポイントを理解しておきたい場合はこちらの記事を参照してください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義と導入時の課題、成功へのポイントについて

https://www.nttdata-kansai.co.jp/media/001/

DX推進の成功事例や実施のヒントについてはこちらで紹介しています。

DX推進・成功事例から実施のヒントを探る~国内・海外成功事例22選~

https://www.nttdata-kansai.co.jp/media/015/

つまり、どの立場でDXの実現を目指すにしても、現状を把握し見える化しなければはじまりません。また、企業におけるDXの実現に向けての取り組みは、小さな単位、いいかえれば各部署においての取り組みが重要なポイントです。

たとえば、営業部門なら 現状で抱えている課題を洗い出し、問題点や現状のビジネスモデルを見える化することがはじめの一歩 です。そのためにはどうすればよいのか、次項で探っていきましょう。

営業部門でのDXとは?目的と方法

営業部門においてDXを取り入れるとは具体的になにをしたらいいのでしょうか。目的と方法に絞ってみていきましょう。

現状の営業活動を見える化

営業活動を見える化するというのは、営業活動にかかわる情報をデジタル化して共有し、活用できる状態を構築することです。日々、さまざまな方法で蓄積される市場や顧客のデータ、取引情報を営業担当者全員が共有できるシステムを導入し、必要に応じてそれらのデータを分析します。さらに、優れた営業担当者のノウハウを共有することで、情報の属人化を防ぎます。こうして全員が情報を把握することにより、問題を当人だけで抱え込むことなく、すばやく問題解決にあたれる環境を構築することで、営業組織力を高めていく。それも営業活動におけるDX実現の目的です。そのためにも次のような点を見える化し、共有することが重要です。

各案件についての情報共有
顧客データの詳細と、稼働中の案件に対する顧客の要望などを共有します。マーケティングへの活用や顧客育成・分析なども、共有された情報で可能になります。
営業担当者の行動と進捗状況の共有
提案に対する顧客の反応、停滞している状況などの詳細を共有します。問題やトラブルを担当者だけが抱え込み、営業活動が滞る状態を防ぐことが可能になります。
ベテラン営業担当者のノウハウの共有
優れた顧客対応力や情報の集め方、コミュニケーション術など、ベテランの営業担当者には培ってきたノウハウがあります。それらを情報として共有することで、若手営業担当者の育成や全体の営業成績向上へとつなげることができます。

情報共有の方法としてのITツール導入

上記で示したように、営業に関する情報を共有するためにはITツールの活用が必要です。多くの企業で活用が進んでいる代表的なシステムをみておきましょう。

SFA/CRMを活用して顧客情報を組織で活かせる環境を強化する

営業活動におけるDX実現のためのツールとして代表的なのがSFAとCRMです。

SFA
Sales Force Automationのことで、営業支援システムを指します。営業プロセスにおいて、自動化できるところは自動化して、業務の効率化を図れます。また、商談から受注に至るまでの状況をデータとして可視化することや、そのプロセスの管理・分析にも活用できます
CRM
Customer Relationship Managementのことで、顧客との関係性を管理・マネジメントすることを指し、顧客関係の管理をするためのシステムです。

SFAもCRMも営業活動のプロセスにおいて有用なシステムですが、分かりやすく区別をすると、SFAは商談から受注までの営業進捗管理や商談案件管理、見積作成などを担い、CRMは受注以降の顧客とのコミュニケーション管理や関係性構築、顧客行動の分析などを担うシステムだといえるでしょう。

営業のDX化に成功した事例

では、営業のDXを推進することで成果を挙げている事例をみていきましょう。

ソフトバンク:マーケティングと連携したインサイドセールス体制を強化

背景
BtoBビジネスにおいて、フィールドセールスで躍進を遂げてきたソフトバンクが、インサイドセールスのチームを立ち上げ、フィールドセールスと分業化することで、顧客とのコミュニケーションの充実を実現しました。ソフトバンクがインサイドセールスを強化した背景には、多くの顧客それぞれに最適な営業活動を展開するにはフィールドセールスでは限界があることを実感したからでした。
しかし、最初から順調にインサイドセールスが成果を出したわけではなく、セールススキルの標準化を図り、顧客行動のデータを蓄積・分析・共有することを徹底させることで、新規案件の獲得ができる環境を整備することが重要でした。
また、フィールドセールスで培った経験とノウハウをインサイドセールスに活かすことも重要なポイントになりました。
ポイントはマーケティングとの連携
成果の出せるインサイドセールスを継続していくためには、インサイドセールスとマーケティング、さらにはフィールドセールスとの連携が大きなポイントです。
Webサイトから資料請求があった段階で、インサイドセールスから顧客に対してコンタクトを取り、要望を聞き取るようにしました。そして、インサイドセールスと顧客とのコミュニケーションを充実させ、案件確度が高まった段階でフィールドセールスへと引き継ぎ、より詳細な説明や具体的な見積もりなどを提案するような体制を組んでいます。また、顧客育成からクロージングまでをインサイドセールスが対応するケースもあります。
このように顧客の要望や行動パターンを分析することで、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが最適な状況で対応できる体制を作ることができています。

NTTドコモ:全社データドリブン経営を推進

背景
DXを推進する動きが加速されていくなか、同時に注目されているのが「データドリブン経営」です。それはデータ分析を詳細に行い、マーケティングに生かしたり、適切な経営判断を下したりするのに用いる手法です。NTTドコモでは各部門からの分析ニーズに素早く対応できる組織構築が必要でした。
1つめのポイントはスマートライフカンパニーデータプラットフォーム部という専門組織の構成
スマートライフカンパニーデータプラットフォーム部はデータドリブン経営をリードする組織です。こうした専門組織ができたおかげで、全社データドリブン経営で「データドリブンによる価値創造を新しい当たり前にすること」の実現に向けた取り組みが大きく前進したといえます。
2つめのポイントは「誰もがデータを元に自由に意思決定できる」環境を実現したこと
ダッシュボードが開発されたことで、データをもとに顧客のニーズや行動などをより深く理解し、適切な提案をしていけるようになったといえるでしょう。

NTTデータ関西のデータ分析・活用ソリューションについてはこちらのページも参照してください。

データ分析・活用ソリューション

https://www.nttdata-kansai.co.jp/analysis/

鹿児島銀行:キャッシュレス決済の普及を通じて地域振興に貢献

背景
2019年、まだキャッシュレス決済が浸透していない地方都市において、完全キャッシュレス決済の商業施設をオープンさせ、来客の最新テクノロジー体験を通じて、地域商流のDX推進に貢献しました。
発端は鹿児島銀行本店ビルと本店別館ビルの建設にあたり、テナントを招き商業施設を作ることが計画に上がったことです。そして、その商業施設では来客に最新のテクノロジー体験をしてもらいたいと考え、完全キャッシュレス決済の施設を創設することになりました。同時に、キャッシュレス決済サービスのプロジェクトもスタートさせました。
ポイントは地域内でお金が回る施策と常に顧客との接点を持つこと
地方都市においてキャッシュレス決済が進まない理由のひとつとして、利用できる端末が少ないことが挙げられます。その点においては、キャッシュレス決済サービスの普及と併せ、インフラとして充実させていくための取り組みを進めました。
非対面チャネルを強化し、従来、対面でしかできなかった手続き、たとえば、ローンの申し込みや届出、口座照会なども顧客の目的に応じて利用しやすいチャネルが選べる体制を構築しました。
鹿児島県と連携しキャッシュレス決済サービスを使って、2023年開催のかごしま国体に向けての募金ができる仕組みを稼働させたほか、公金事務のデジタル化における行政効率化への具体的な取り組みを実現させていく予定です。

まとめ : 企業全体のDX実現は営業部門でのDX推進がカギ

営業は顧客との接点として企業活動のなかでも重要な部門です。また、市場や社会情勢の変化、それに伴って激変する顧客の消費行動パターンを敏感に察知し、適応した戦力を練り、実行していくのも営業部門の役割です。そうした状況から、企業全体のDX実現を果たすには、営業部門におけるDX推進が重要になるでしょう。 膨大なデータを活用して、営業部門で課題とされてきた営業の属人化を解消し、効率的で向上的な体制を作る こと。そのための ITソリューションの活用と組織力強化が営業のDXの基本 だといえるでしょう。

事例を参考に、自社の営業課題を把握し、営業部門におけるDXを進めて企業全体のDXを加速させましょう。