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港湾特有の煩雑な業務を可視化し、
属人的な運用から脱却。
業務品質の向上と効率化に寄与

「株式会社リンコーコーポレーション」は、日本海側拠点港である新潟港において、外国貨物船の入出港に関する支援から国内輸送まで、お客様の物流をトータルにサポートする企業です。日本唯一の私有港湾である臨港埠頭を所有し、新潟港における取扱い貨物数量は約6割とトップシェアを誇ります。1905年の創業以来、港湾業務を通じて新潟港の発展に貢献し、物流事業・ホテル事業・不動産事業など、地域に密着したサービスを拡大し発展を遂げています。同社では海運貨物業務システムを自社開発し、長年運用してきましたが、このたび、NTTデータ関西の「海貨業務システム」を導入し刷新しました。

課題

事業拡大に伴い業務量が増大、人手に頼った作業に限界を感じていた。

業務が個人のスキルやノウハウに依存しており、社内で業務に関連する情報の共有ができず、案件の進捗も把握できない状況だった。

既存の自社開発システムは長年のカスタマイズが重なったことで、システムの機能が多岐に渡り管理が煩雑、また経年劣化により陳腐化していた。

効果

  • 業務時間の削減、業務の平準化が実現

    システム導入に合わせて業務プロセスを見直し、業務の効率化を図ったことで業務時間の削減、業務の平準化を実現した。
  • 業務の属人化が解消され、業務品質が向上、ガバナンス強化が実現

    担当者の業務が可視化され、管理者が案件の進捗を把握できるようになった。これによりトラブルの早期発見やミスの削減につながり、業務品質が向上した。
  • 精度の高い案件データ収集と分析が可能に

    マスターや業務データを蓄積するデータベースを機能的に整理できた。これにより部門毎の案件データの収集が行え、多角的な分析も可能となった。

海貨業務システムを導入した背景は?

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信田氏

貨物の取扱いはこの30年間で急速に増えています。扱う量が増えるにつれ、業務量も増大するため、従来の人手に頼ったやり方に限界を感じていました。さらに、案件状況が担当者ベースでしかわからないなど業務の属人化という課題もありました。そこで「個人のスキルやノウハウに依存せず、社内で連携して仕事を進め、効率化すること」を狙いとして、システム更改に踏み切りました。



樋口氏

実現したいことは、「業務の可視化」と「担当者と管理者双方の業務負荷軽減」の2点でした。そのためには業務の見直しが必須と考え、システム導入は業務改革のあくまで1つの手段という位置づけとし、全員が共通に使える仕組みを構築したいと考えました。

堀澤氏

システム面にも課題がありました。従前のシステムは、ユーザーの要望を元に機能追加を重ねた結果、システムの機能が多岐に渡り管理が煩雑で、経年劣化による陳腐化が進んでおり、こうした課題も解消する必要があると感じていました。

那須野氏

従前のシステムはユーザーの操作を重視した為に自由度が高く応用が利く一方、内部統制という視点では問題があり、人的な操作ミスも発生しやすい状況でした。

小田氏

システムを利用する立場では、なにより残業が多いこと、平準化しようにもシステムを通じた社員間での業務連携が困難なこと、及び上長は作業進捗の把握ができないことが大きな課題でした。結果、特定の社員に仕事が偏ってしまい、なぜ自分だけが残業しているのか疑問を感じることもしばしばありました。現場も管理職も何とか先述の課題を解消し、時代に合った働き方に変えるために新システム導入を契機にしたい、という思いは共通していたと考えます。

NTTデータ関西を選定したポイントは?

堀澤氏

「システムに業務を合わせる」ことも意識し、パッケージシステムの導入を検討していました。しかし、各港や組織で業務ルールやフローが異なる状況において、当社固有の要件に対応するには、パッケージシステムに合わせた運用だけでは難しいとの意見もありました。そこで、パッケージシステムとスクラッチシステムの中間的なシステムはないかという視点でインターネット等を駆使し、候補を選定しました。その結果、候補に挙がったのは3社です。
その中でNTTデータ関西の海貨業務システムを評価したポイントは2点です。
1点目は港湾業務に特化したテンプレートが用意されていたこと。次にNTTデータグループが「NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)」の構築・サポートに携わっており、「Cyber Port(港湾物流手続の電子化プラットフォーム)」などとの将来的なシステム連携を踏まえた知見と実績があることです。また、NTTデータ関西の営業担当者の親身な対応もあり、最終的に採用に至りました。

採用後、システム導入から稼動するまではいかがでしたか?

堀澤氏

新潟港にある当社の事務所や配送業を担うグループ会社など、複数の事業所とシステム連携が必要な大規模プロジェクトであったことに加え、採用した海貨業務システムの導入と同時進行で別システムの更改も計画されており、非常にタイトかつ過酷な導入となりました。NTTデータ関西には、他システムのベンダーとの情報交換や調整、不具合発生時の問題切り分けなど中心になって支援いただきました。

那須野氏

要件定義とシステム開発段階では、新潟へも定期的に訪問いただき、直接お会いして我々の望むものを伝えられたことが良かったと思います。NTTデータ関西の担当者は、話をよく聞いたうえで改善提案に繋がる意見も引き出してくれました。実際に操作する立場からも理解しやすく端的な説明があり、質問内容に対して的確な回答でした。我々も意見を出しやすかったですね。

小林氏

現場の立場からも、NTTデータ関西には自分なりに考えた理想のイメージをお伝えしました。漠然とした夢や希望も含め、相互に理解できるよう寄り添って共に考えていただいたうえで、「できる」「できない」の判断や提案をもらえたので助かりました。

樋口氏

導入プロジェクトは要件定義から稼動開始まで約1年間の短期間で対応いただきました。NTTデータ関西とは、定期的な会議やデモンストレーションを繰り返し実施し、特に新潟港独特の業務や各組織でのルールなどを理解してもらいました。プロジェクト期間中は進捗状況に常に気を配り、期限に間に合うようサポート、努力いただいたことに感謝しています。
新システム導入後は設計時と運用時のギャップが必ず出てくると予想し、数年はシステムの修正・改善が発生すると見込んでいました。今もなおシステムを改善していますが、最終的に目指す方向は常に意識しています。

導入後の効果は?

那須野氏

システム導入により、自分の仕事がどうしたら良くなっていくか各社員が自発的に考えるようになりました。結果として、システムに合わせた業務改革を始めるきっかけとなったと感じます。

信田氏

時間外労働が軽減したのは大きいですね。繁忙期のピークを緩和できました。これはシステムの力というより、先述のとおり導入にあたって当社の社員が業務を振り返り、改善に向けた努力をした結果であり、新システムを通じた新たな仕事のスタイルを築けた効果でもあると感じます。他にも、部門毎のデータの収集や分析もしやすくなり、分析項目も増えたので、さらなる活用の可能性を感じています。

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堀澤氏

管理者にとっては、各担当者の仕事の状況が可視化されたため、マネジメントがしやすくなりました。トラブルや相談に関しても、案件データを見て状況が把握できますし、担当者の状況を勘案した適切な業務の振り分けが可能となりました。

小田氏

私が担当する輸出業務では、複数の書類に同じ項目を入力することが多いため、重複作業を無くしたいと当初から強く要望を出していました。今回それが叶って、入力業務のスピードが上がり、作業人数を抑えながらもミスが少なくなった、これが私にとっては一番大きな変化だったと考えます。

小林氏

誰に聞けば良いのか、どうやって進めたら良いか、履歴データから業務を進められますので、導入前に比べて社員間での情報共有が進んでいると感じます。
請求書の料金確認がしやすくなるなど、業務時間短縮に繋がる具体的な効果もありますね。その結果として残業時間が軽減したのを実感しています。

今後の課題・目標は?

信田氏

現在、当社の横浜営業所や新潟県直江津支店でも、新潟港に特化して開発した本システムを一部利用しています。港固有の要件があるため、さらなる利用を進める上では今後の手直しは必要です。また、経営の立場としては「NACCS」との連携を強化したいとも考えています。そのためのシステム拡張も視野に入れていますし、新潟にいながら他の港の仕事ができるようになるのが理想ですね。

那須野氏

業務改革はまだ道半ばであり、今後はパッケージシステムに業務を合わせていくことが必要だと考えます。東京や横浜など場所を問わず、ボーダレスにシステムを使えるように、我々の使い方も合わせていかなければなりません。加えて、自動化・省力化の点では、他システムとの連携も課題です。「Cyber Port」、NTTデータグループが参画する民間貿易プラットフォーム「TradeWaltz」、海外や他港からの情報連携、 電帳法に対応した請求システムとの連動など、変化する環境に適合し、進化するシステムを望んでいます。

今後、NTTデータ関西に期待することは?

堀澤氏

新システムは売上と経費を紐づけて案件毎の収益の把握ができるため、各人の仕事への動機づけにもなればという思いがあります。また、データ分析などシステムのさらなる利活用はこれからです。NTTデータ関西には今後も充実したサポートを期待しています。

樋口氏

今回の導入を通じて、マスターや業務データを蓄積するデータベースが構築され、全社で業務見直しに対する意識が高まり、次の世代を担う社員がリーダーシップを発揮して業務改革に取組む姿に安堵しています。あくまでもシステムはツールであり、お客様に寄り添い、当社のサービスを向上させるための手段です。次期NACCSとのシステム連携実現に向けて、実務面も含めた進め方の検討、そして業務改革を絶え間なく続けていかねばなりません。NTTデータ関西とは次世代も見据えた議論を交わし、進化し続けるシステムを作っていきたいと考えております。変わらぬ協力・支援をお願いします。

※本文中表記のお客様の部署名・ご担当者などの諸情報は、取材当時のものです。