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「2025年の崖」を乗り切るだけでなく、その先も見据えた基幹システム更改に

 |  インタビュー

IT人材の不足、システムの老朽化・複雑化などから生じる課題の解決策として、基幹システム更改によるDX推進はもはや当然のものになりつつあります。一方で、長年使いこなしてきた自社オリジナルのシステムからパッケージ開発への移行には、なかなか一筋縄ではいかないところがあるのも確かです。

今回は、NTTデータ関西 第一法人事業部 製造・流通ソリューション担当部長の井戸、バックオフィスソリューション担当部長の中津、営業担当部長の澤にインタビューしました。「2025年の崖」と呼ばれる基幹システムのクライシスが迫るなか、NTTデータ関西はどうやって立ち向かっていくのでしょうか。

プロフィール

井戸 隆雄 (いど たかお)

株式会社NTTデータ関西 第一法人事業部 製造・流通ソリューション担当部長。製造ソリューションのビジネス責任者。機械製造業・化学製造業向けERPパッケージ(BIZXIM(ビズエクシム)製番・BIZXIM化学)を全国展開しシェア拡大を狙う

中津 一 (なかつ はじめ)

株式会社NTTデータ関西 第一法人事業部 バックオフィスソリューション担当部長。会計ソリューションのビジネス責任者。製造業・建設業を中心にBiz∫(ビズインテグラル)会計・imforce(インフォース)を展開。

澤 嘉孝 (さわ よしたか)

株式会社NTTデータ関西 第一法人事業部 営業担当部長。製造ソリューション、会計ソリューションの営業責任者。

レガシーな基幹システムの更改がさまざまな課題解決の要に

みなさんはそれぞれ機械製造業・化学製造業向けERPパッケージと製造業・建設業を中心とした会計ソリューションをご担当とのことですが、こうした業界が今まさに抱えている経営課題にはどのようなものがあるのでしょうか。

:やはり「2025年の崖」に関する課題かと思います。2025年までにDXが進まず、レガシー(老朽化)・複雑化・ブラックボックス化したシステムが残っていた場合、大きな経済損失が懸念されるというものですね。弊社のお客さまも、今、軒並みレガシーな基幹システムの更改を検討されていて、弊社に引き合いをいただくという状況になっています。

生産管理業務などは特に、「30年来、従事していた」というような、その道のノウハウをお持ちの方々が次々と定年を迎え、若い世代へのシフトチェンジがなかなか思うようにいかない。ノウハウ不足・人材不足に陥りがちだと、よく伺います。これを解決するためにシステムを更改し、DXを推し進めていこうと。

また、物価高騰で今までの商品やサービスの延長線上だけでは生き残りが難しいという見解から、付加価値をいかに高めていくかといった課題もよく耳にします。例えば製造業では、DX推進で予防保全や遠隔保守といったサービスを創出して、高付加価値化へのシフトチェンジも徐々に進んでいますね。

中津 :会計は、前提としてどの業界業種でも同じようにやっていかなければならない業務なのですが、その中で今よく言われているのがテレワーク対応です。「テレワーク実施中にもかかわらず、紙の書類が残っているので出社しないといけない」といった、身近な課題はよく聞きます。デジタル化・電子化に向けての取り組みも、電子帳簿保存法改正など、ようやく国の制度が整い始めています。少しずつ変化が生じているので、これをきっかけにした動きはあるかと思っています。

パッケージ開発の採用はもはや当然という時代になりつつある

「2025年の崖」を乗り越えるには、今あるシステムの改修ではなく「システム更改」が必須なのですね。

井戸 :パッケージ開発やクラウドサービスはコストも最適化されますし、次々と新しいサービスが出てくる中で、スピード感を持ってそれらを取り入れていくこともできる。もはや自社オリジナルのシステムを守っていて、良いことはあまりないという見解は共通しているのではないでしょうか。

IT環境への投資が限られているお客さまですと、10年前に自社でスクラッチ開発したシステムをずっと使っているといったケースもまだまだあります。それをDX推進やコストダウンのためにオープン化しようということで、最新のITサービスに繋ごうとしたら、自社開発のシステムをずっと使い続けていたが故の不具合が出てきて……ということも珍しくない。DXを実現させるためにはオープン化や外のサービスとの柔軟な接続は欠かせません。そこで、システムを刷新して、パッケージ開発を採用しなければならないという背景があるのですね。

システムを刷新するだけでなく「なぜ変えるか」まで納得してもらう

「先々を踏まえて、パッケージ開発を採用しなければならない」とわかっていても、なかなか難しい部分もあるのではないですか?

中津 :そうですね、例えば「自社システムのローカルな仕様が、お客さまの強みにつながっている」ケースでしょうか。お客さまにとってその強みがビジネスの根幹を成す場合、パッケージ開発へと刷新することで、それが取り除かれてしまうのはどうなのかと。パッケージ開発にその「強み」の部分をアドオンした時のボリューム感と、どのようにバランスを取るのかは、腕の見せどころですね。

:NTTデータ関西のメンバーは、そこでしっかりお客さまに寄り添って、一緒に決定しているところはありますね。

井戸 :自社システムで長らくやっておられると、そのローカルな仕様の中にはオリジナリティや競争力の源泉となる「強み」もあれば、なぜ残されているのかわからないような「弱み」もあり、渾然一体となっている。それを一つひとつ見極めて、「これは要らないですよね」、「これは残しましょう」と検討していくイメージです。

ちなみに、そういった検討を進める中で「他社の方々はどうされているのですか?」とよく質問されます。確かに、お客さまは基本、自社のシステム事情しかご存じでない。そこで、多くの企業様の導入に携わっている私たちが「こういうケースが多いですよ」、「これは他社と比べても非常に強みになる点ですよ」といったことを、実感を持ってお伝えすることで、納得感が高まる効果はあると感じていますね。

それでも、自分たちが使いやすいように作ってきた自社システムが、標準仕様のパッケージに差し替わるのですから、やはりお客さまの中で「今までの仕事のやり方や流れと違う」といったギャップは生まれます。自分たちの仕事と、パッケージが想定している流れをすり合わせることが課題になりますね。必要最小限の部分を見極めて、コスト・納期・お客さまの業務、すべてを踏まえた最適な落としどころを探っていく。それをいかに納得していただけるか、常に考えています。

そういったお客さまの中にあるギャップを埋めるために、心がけていることはありますか?

井戸 :システムを使い始める数カ月前には、お客さま主導で新しいシステムでの入力の仕方、仕事の流れの説明といったいわゆるトレーニングを実施します。もちろん私たちも導入支援の一環としてサポートしています。しかし、重要なのは「具体的なトレーニングに入る前の段階」での対応だと考えています。

レガシーシステムからの刷新となればUIも大きく変わることが多いですから、それだけでも「取っつきにくい」となって反発を覚えかねません。そこで、トレーニングに入るまでの間でどれだけ丁寧に「こういうシステムになります」、「それによってこういった効果があります」というところをご説明できるかが鍵になると感じています。例えば、ご説明には架空のデータではなく、お客さま自身が普段使っている実際のデータを使います。自分たちの仕事に落とし込んだ時に、例えば実際の製品名などがシステムの中でどう表示されるのか、どのように入力すればいいのかが実感できる。こうした「生のデータ」を使ってトレーニングを進めるところはポイントの1つですね。

仕事の流れが変わるところにも配慮しています。例えば「今までA部門でやっていた入力作業を、新システムではB部門が担当する」といった場合、一見すると「単にB部門の負担が増えた」ように見えてしまう。そこで、なぜ担当を変えなければならないのか、それによってどのような効果があるのかまできちんとご説明していますね。

「作って終わり」ではない、長いお付き合いをさせていただくために

基幹システム開発といっても、NTTデータ関西の場合は「ただシステムを作って納品する」だけではない、多くの重要な役目があるのですね。

井戸 :私は「システム開発は家づくりに似ている」と思っています。この仕事は「家を完成させてお届けするまで」という風に考えられがちですが、本来の目的は「家に入居して、生活をしてもらう」ことであって、家を完成させるのはむしろ準備段階なのです。自分たちのミッションは、実際にお客さまに住んでもらい「住みやすい家だ」と喜んでもらうことにある。ですので、導入したシステムを活用していただくためのサポートや、定着するまでのサポートにも力を入れています。また、家というのは建物だけではないですよね。周りの庭もきれいにしたい、年数が経てば外壁の塗り直しも……といろいろ出てくる。システム開発も同じで、周辺ソリューションの提案や機能追加のご要望にしっかり応えていけるように、一度限りのお付き合いではなく、これを機会に長くお付き合いさせていただくつもりで取り組んでいます。

今後、基幹システムの事業をどのように展開していきたいと考えていますか。

:生産管理ソリューションについては「全国的にシェアを拡大」というのがひとつのミッションだと思っています。NTTデータ関西だけでなく、グループ会社やパートナーなど、仲間をどんどん増やそうと現在取り組んでいます。

会計ソリューションについては製造業、建設業に注力していますが、実績を伸ばし体制も強化して、グループ会社とも協力しながら「NTTデータグループの牽引役」としていきたい。

それには、井戸さんの言うように「ソリューションをお届けするだけでなく、その後のお付き合いを深めていく」ことも重要です。お客さまにとって「システム導入に付き合ってくれたベンダー」ではなく「システムのことを相談できるITパートナー」になっていきたいですね。

中津 :会計システムはどの会社にも必要な、ある意味「当たり前」のシステムです。それでありながら、どれだけお客さまにご不便をおかけせずに導入できるか、まだ課題があります。これを乗り越えることで「会計システムといえばNTTデータ関西」と言っていただけるようになりたいですね。

そういった形でシェアが広がることで、先ほどお話に出た「他社の方々はどうしているか」といった事例、ノウハウなどもさらに豊富に蓄積されていきますし、より一層「広く深く」お付き合いできるITパートナーになっていくのですね。2025年の崖を乗り越えるための頼れるパートナーとして、また2026年より先の未来を共に歩む存在として、これからの活躍を待望しています。