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【2024年最新】学校現場が抱える教育問題5つ!ICT活用による解決事例も紹介

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変化の激しい現代社会において、学校現場ではさまざまな教育問題が浮上しています。 長時間労働に悩む教員、増加の一途をたどるいじめ問題、ICT活用の遅れなど、課題は山積み です。また、生成AIの登場により、新たな問題への対応も迫られています。

本記事では、2024年最新の学校現場が抱える5つの教育問題を解説すると共に、それらの問題解決につながるNEXT GIGAについて詳しく解説します。

学校現場の問題解決に取り組みたい自治体や教育現場は必見の内容です。

学校現場が抱える教育問題5つ【2024年最新版】

学校現場が抱える問題は、社会情勢や時代の流れとともに移り変わります。

今回は、2024年の最新の教育課題を5つご紹介します。

1.教員の長時間労働と休日出勤

現代の教育現場における大きな問題のひとつが、教員の長時間労働と休日出勤です。

令和4年度に実施された文部科学省による 「教員勤務実態調査(令和4年度)」 によると、平成28年度と比べて在校時間は減少しています。しかし、平日1日あたりの在校時間は約10〜11時間と、労働時間は依然として長く、長時間労働の問題は残されたままです。また同調査によると、土日も30分から2時間ほどの勤務が発生しています。

こういった労働の負担が重なると、教員のメンタルヘルスの問題が起こる可能性もあります。問題解決のために、勤務時間の適正化や業務の効率化を早急に進める必要があるでしょう。

2.いじめ問題の増加

いじめ問題も深刻化しています。

文部科学省が令和5年度に発表した 「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」 では、小・中・高等学校及び特別支援学校のいじめ認知件数は681,948件にも及びます。この数値は、 前年度と比べて10.8%増 です。

令和2・3年度は新型コロナウイルスの影響により、いじめの件数が減少・横ばいに抑えられていたものの、令和4年度では再び増加傾向が見られました。

認知件数が増加した要因のひとつには、アンケートや教育相談などいじめに気づきやすい仕組みづくりが強化されたことが挙げられます。

いじめが見逃されにくくなっているという点では状況は改善しているとも言えますが、いじめ件数の減少にはつながっていません。引き続き早期発見・早期対応のための相談体制の強化と、いじめ減少に向けた取り組みが求められます。

3.ICT活用への対応

学校教育のICT化が加速しています。具体的な取り組みとしては、 文部科学省のGIGAスクール構想に基づいた、全国の小中学校での1人1台の学習用端末と高速ネットワーク環境の整備 が挙げられるでしょう。こういったICTの普及に対して、教員のICT活用指導力には課題が残ります。ICT機器の操作に不慣れな教員も多く、効果的な活用方法の習得が必要です。

また、導入するツールの選定や、指導方法の策定なども各校が積極的に取り組む必要があります。社会情勢の変化やテクノロジーのアップデートが激しいなかで、柔軟で素早い対応が求められるでしょう。

4.生成AI活用への適切対応

生成AIの活用も教育現場において注目されていますが、その適切な運用には課題が残ります。特に、保護者からの理解を得ること、個人情報の保護、著作権侵害への対応などが重要です。

政府からは 「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」 も発表されています。ガイドラインでは、生成AIの概要や教育利用における方向性や注意点についてまとめられています。

こういったガイドラインをうまく活用しながら、各校がAI対応の方針を定めていく必要があるでしょう。

5.問題を解決できる教員の不足

教育現場では、こどもの多様性や社会の変化に対応できる教員が不足しています。

特に、上述したICTを活用できるデジタルに強い教員(DX人材)の不足が顕著です。この問題を解決するためには、教員の採用と育成において、新たなスキルセットを重視することが重要です。

DX人材については、以下の記事も参考になります。

DX推進をリードするDX人材に求められる能力とは

教育問題の解決につながる「NEXT GIGA」とは

NEXT GIGAは、GIGAスクール構想の次の段階を指す言葉です。GIGA2.0やアフターGIGAと呼ばれることもあります。GIGAスクール構想の概要とあわせて、これから取り組むべきNEXT GIGAについて詳しく見ていきましょう。

GIGAスクール構想とは

GIGAスクール構想は、すべての児童・生徒にICTを活用した教育を提供することを目指した取り組み です。

この構想は、日本のICT利活用の整備状況がぜい弱で世界に遅れを取っていることから、文部科学省が推進している構想です。

特に、全国の小中学校の児童に対して、1人1台学習端末を配布し、個別最適化された学習環境を提供することを大きな目的として掲げています。これにより、教育の質の向上と、児童・生徒一人ひとりに合わせた学びの実現が期待されています。

NEXT GIGAの目的

GIGAスクール構想により、全国の小中学校で1人1台端末と高速ネットワークの整備がほぼ完了しました。

NEXT GIGAでは、GIGAスクール構想の実施のあとに残された課題の解決を求められています。具体的には、自治体によってICT活用の進行度にばらつきがあることや、教員の指導力不足が挙げられます。

こういった課題の解決を進めながら、ICTを活用した学びの充実や働き方改革のさらなる推進を目的としています。

学校現場が抱える教育問題を解決するポイント

NEXT GIGAを実現させ、教育問題を解決していくためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • ICT利活用の自治体間格差をなくす
  • 教育DXを積極的に進める
  • 日常的にデジタルツールを活用する

ひとつずつ解説します。

ICT利活用の自治体間格差をなくす

GIGA構想によるICT環境整備は全国で進んでいますが、活用状況には自治体間で差が見られます。児童生徒の学習機会の平等を保障する観点から、ICT教育の底上げが急務です。国は自治体の取り組み事例を共有しながら、全国的な水準確保に向けて支援を強化する必要があります。

教育DXを積極的に進める

国からの支援もうまく活用しながら、教育現場では積極的にDXを進める必要があります。

教育DXを成功させるためには、 デジタル技術の導入と運用に精通した教員の育成が不可欠 です。また、学校現場でのICT活用を支援するための体制整備も重要です。教育DXを推進することで、教育の質を向上させるとともに、児童・生徒の多様なニーズに応えられるでしょう。

教育DXについては以下の記事も参考になります。

教育DXでこれまでの学びのあり方や校務を変革する

日常的にデジタルツールを活用する

日常的にデジタルツールを活用できる環境を作ることで、ICT活用は効率的に進むでしょう。自治体や教育現場はその環境づくりに取り組み、保護者や児童は習慣化できるよう意識することが重要です。

特に、オンライン授業やデジタル教材の活用を促進し、児童・生徒の学びの幅を広げることが求められます。これにより、児童・生徒の学習意欲を高め、個別最適化された教育を実現しやすくなるでしょう。

学校の問題解決に向けたICT活用事例

学校の問題解決に向けて、どのようにICTを活用しているのか、その事例をご紹介します。

事例1.大阪府枚方市|相談チャットアプリでこどもに関する問題を早期発見

枚方市では、いじめ問題をはじめとしたこどもに関わる問題の早期発見・早期対処を実現するためにICTを活用しました。

導入したのは、 こども相談チャットアプリ「ぽーち」 です。

ぽーちは、NTTデータ関西が提供するアプリで、 心身の状況に関するアンケートを定期的に実施することで健康観察を行い、不調を早期に発見 できます。また匿名相談チャットも開放されているため、小さな悩みでも相談しやすい環境を整備できます。

枚方市では、2024年5月時点で63校3万人弱の小・中学生がぽーちを活用しながら、相談や悩みの解消へつながる会話を実現しています。

GIGAスクール端末を支給されていない学生は、スマートフォンやパソコン・タブレットからアプリをダウンロードすることで手軽に利用できます。

こどもの問題の早期発見には、こどもが悩みを早急かつ気軽に相談しやすいアプリやオンラインシステムの活用が非常に有効です。

最近では、枚方市をはじめとした公立学校での導入に加え、私立の学校でも「ぽーち」の活用が検討されています。

その詳細やぽーちの開発背景も以下からご覧いただけます。

こども相談チャットアプリ「ぽーち」を私立学校向けに販路拡大

▼ぽーちの詳細について

ぽーちの特長|NTTデータ関西

事例2.北海道石狩市|ドリルソフトで習熟度に合わせた問題を提供

石狩市では、児童一人ひとりに合わせた学習を提供するため、習熟の程度や誤答傾向に応じた情報端末向けのドリルソフトを活用しました。

ドリルでは、児童の理解度ごとに異なる問題が出題されるので、児童は自分のペースで効率的に学習を進められます。

また、ドリルには学習履歴も残るため、個人の進捗や誤答傾向に加え、クラス全体の傾向も把握できます。教員は、こうしたクラスの傾向や習熟度を踏まえた授業を実施できるので、適切な指導につながります。

事例3.山形県寒河江市|自宅でのタブレット活用でICT活用を日常化

寒河江市は、ICT活用を日常化させるため、タブレットPCを自宅に持ち帰ってもらい、自宅から授業を受けられるようにしました。

具体的には、タブレットPCで国語科課題のパンフレット制作を行っています。

また、制作したパンフレットは電子黒板に掲示して、オフラインの授業でクラス全体へ共有し感想を交換しています。

学校でも自宅でも、ICTを活用する環境をつくることで、ICT活用の習慣化を実現させています。

まとめ:学校現場が抱える問題解決にはICTの活用が有効

教育現場が抱える多くの問題に対処するためには、最新の情報と事例をもとにした対応が求められます。教員の長時間労働の改善やいじめ問題の対策、ICTや生成AIの適切な活用、そして問題を解決できる教員の育成が不可欠です。また、 GIGAスクール構想やNEXT GIGAの実現に向けて、自治体間の格差をなくし、教育DXを推進することが求められます。 これらの取り組みを通じて、教育現場の課題を解決することで、より良い学習環境を提供できるでしょう。

学校の教育問題を解決できるツールのひとつに、NTTデータ関西が提供するこども相談チャットアプリ「ぽーち」があります。毎日の体調や気分を5段階で入力したり、チャット形式で悩みを気軽に相談したりと、自分の悩みを表現するのが苦手なこどもでも相談しやすい仕組みになっているのが特長です。 いじめや虐待、貧困など、こどもが抱えるさまざまな悩みを早期発見・解決したい自治体や教育現場に有効なツール です。

▼ぽーちの詳細について

ぽーちの特長|NTTデータ関西