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自治体のIT・DX課題解決に必要なのは「現場の声を反映した開発」

 |  インタビュー

「現場の課題がこんなところにあったんだ……!」何気ない対話から気付く発見が、新規ソリューションを生み出すきっかけにつながる。既にシステムを導入いただいているお客様や、新規のお客様と関わりながら、自治体様の課題解決を支援する第一公共事業部。そこには、どのような「現場の声を拾い上げる」ノウハウがあったのか。

今回は、NTTデータ関西 第一公共事業部の陶山、同じく東浦、木村にインタビューしました。

プロフィール

株式会社NTTデータ関西 陶山 侑里恵

陶山 侑里恵 (すやま ゆりえ)

株式会社NTTデータ関西 第一公共事業部 営業担当
自治体向けに既に導入している福祉系システムの改修や保守などの営業を担当している。

株式会社NTTデータ関西 東浦 麻紀

東浦 麻紀 (ひがしうら まき)

株式会社NTTデータ関西 第一公共事業部 営業担当
自治体向けに課題をヒアリングし、主に新規ソリューションの提案を担当している。

株式会社NTTデータ関西 木村 彩乃

木村 彩乃 (きむら あやの)

株式会社NTTデータ関西 第一公共事業部 第一行政担当
自治体の基幹系システムの開発や保守を担当している。最近では、新規ソリューションの開発にも携わる。

自治体様の基幹系システムに加え、周辺領域の課題も解決

第一公共事業部と、みなさんの担当しているお仕事について教えていただけますか?

陶山 :第一公共事業部は自治体様に、福祉、国民健康保険、介護保険、住民基本台帳システムや、それらシステムの基盤やシステム間連携等を管理する統合基盤システム、いわゆる自治体業務の主となる「基幹系」システムを提供しています。さらにその周辺領域となる、現場の課題解決につながる新規事業もご提案しています。その中で私は営業として、既存のお客様向けに制度改正における福祉系システムの改修を担当しています。直近では一時的に、新規ソリューションの「子ども相談チャットアプリ」を担当するなど幅広く携わっています。

東浦 :私も営業を担当しています。主に新規のお客様を担当しており、お客様の課題などをヒアリングしながら、新規ソリューションの検討をしています。最近だと、「介護認定調査アプリ」、「子ども相談チャットアプリ」などのような新規ソリューションを自治体様にご提案しています。

木村 :私は主に基幹系システムの開発および保守業務に携わっています。介護保険で法制度改正があったり、自治体様の介護保険システムの仕様変更が発生した際に、ご依頼に応じて開発を行ったり、問い合わせ対応やデータ調査などの保守作業を行ったりしています。

それに加えて昨年度から、今まで紙の書類で介護保険システムに連携していた介護認定調査のデータを、タブレットに入力することで電子データを連携できるようにした「介護認定調査アプリ」の開発に取り組んでおります。

本当の「課題」は、まだ気づいていないところにあるかもしれない

「介護認定調査アプリ」や「子ども相談チャットアプリ」のような自治体様の課題解決につながる新規ソリューションを生み出すには、自治体様へのアプローチの中で「課題がどこにあるか」を見出していくことが重要だと思うのですが、特に意識しているのはどのようなことですか。

陶山 :お客様とこまめにコミュニケーションを取ることです。私は既存のお客様担当ですので、遠方のお客様でもなるべく訪問するようにしていましたし、コロナ禍で訪問が難しくなってからもまめにお電話を差し上げています。ご利用いただいているシステムのことはもちろんお話ししますが、それ以外にも「最近忙しそうですね」といった何気ない会話から、どういったことにお困りなのかをお聞きして、それを解決できる新しいご提案はないか考えられるようにしています。

東浦 :関係性作りがとても重要だと考えています。例えば「〇〇に困っています」というように、自治体様から具体的な課題を伝えていただけた場合でも、さらにお話を進めていく中で「実は本当の課題は〇〇そのものではなく、ちょっと違うところにあった」とわかるようなケースがあります。本当の課題にたどり着くために、まずはより深いお話の出来る関係性を構築していくことを大事にしていますね。

そうして見出された課題を解決するソリューションをご提案し、導入するまではどのように進むのですか。

陶山 :さまざまなケースがありますが、例えば自治体様に当社と協定を結んでいただいて、要件などをうかがいながらソリューションのプロトタイプを作成し、実証実験を行う場合もあります。

東浦 :そうして機能のブラッシュアップを重ね、実証実験にご協力いただいた自治体様だけでなく他の自治体様にもご提案できるように、「商品化」も進めていきます。

「現場の声を取り入れながら」開発していくことを大切にするべき

なるほど。まず実証実験を行うことで、完成度や信頼性を高めていくということですね。

木村 :「現場の声を反映した開発を行う」という目的も大きいですね。私は開発担当ですので、日ごろはシステム開発の担当者様とのやり取りが主ですが、実証実験では実際にアプリを利用されるであろう立場の方に、現場の生の声を聞かせていただくことができました。そうすると、日ごろのやり取りではわからなかった改善点が次から次へと出てきまして。やはり現場の声を大切にするべきだと痛感しました。

陶山 :現場の声を聞くことは、課題を見出す上でも重要です。例えばケースワーカー支援システム「さぽとも」は、まさに現場で生活保護認定調査をされているケースワーカー様のお声を聞きながら作ったものでした。当時、調査には紙の書類を持参して個人情報をチェックしていたそうなのですが、紛失のリスクもありますし、業務知識の継承にも支障があるとお聞きしまして。「タブレット端末で、困ったときに検索して調べながら対応できればうれしい」という現場の声が形になったのです。

実証実験を行うにあたっては、苦労することも多かったのではないですか。

東浦 :営業の私としては、実証実験を実施する前の調整の大変さが印象に残っていますね。ご協力くださった自治体様の求めていらっしゃる部分はできる限り叶えたいですし、その一方で開発のリソースや期間には限りもありますし。どう折り合いをつけて自治体様の希望を実現させていくか、悩むことも多くありました。

木村 :「電子データ連携」を強みとしているアプリの実証実験でありながら、一部の連携を実現できなかった時はアプリのよさを活かしきれず悔しい思いをしました。実は、その自治体様の基幹系システムは当社以外で運用・保守を行っており、電子データを取り込む機能がなかったため、その部分の連携の実証ができなかったのです。また、連携するデータも自治体様によって異なるため、こういった仕様が標準化されれば、さらに便利になっていくと思います。

「DXについて相談してみよう」に応える力は着実に増してきている

自治体様の基幹システム周辺領域の課題解決、いわばDX支援にも、NTTデータ関西ならではの強みが活かされているのでしょうか?

陶山 :そうですね。SIerとしてのNTTデータ関西の強みは、カスタマイズをしていく力だと思っています。実証実験などで何が必要かを見極めながら新しいものを作っていくこともできますし、そこにグループ会社の協力を得ることもできる。1社でできることは限られていますが、グループ全体を見ればできることの可能性はかなり広がってきます。

東浦 :なにかお困りごとがあった時に「NTTデータ関西に相談してみよう」と思っていただくことを目指してきました。着実にそれにお応えできるようになってきていると思います。自治体様向けに基幹系システムを長年手掛けてきて、ノウハウを豊富に持っているので、周辺系システムとの連携などにも長けていますし、ITやDXについても実績が増えて、導入を検討されている自治体様に対しても、より具体的なご提案ができていると感じています。さらに実証実験を重ねるごとに、現場の声を聞く体制もできつつあります。

木村 :そうしてみなさまの声を聞きながら、私たちNTTデータ関西も良いと思ったことは積極的にご提案していって、「スマート自治体」を、中核部分だけでなく、その周辺領域の運用まで余すところなく実現させたいですね。当社や事業部としてもこの新しい取り組みに力を入れる方針ですので、自治体様と共に手を取り合って進めていければと考えています。

現場の声をつぶさに聞き、ユーザーに寄り添う姿勢は「スマート自治体」実現の大きな推進力となるのではないでしょうか。次は現場からどんなソリューションが生まれてくるのか、楽しみにしています。