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鉄道業界のDXを支え「新しいビジネス」を共創する、NTTデータ関西ならではの営業スタイル

 |  インタビュー

テレワークの急激な普及、不要不急の旅行自粛など、コロナ禍は「人の移動」と切り離せない鉄道業に深刻な影響をもたらしました。それだけに「鉄道業界のDX」には、業務効率化や生産性向上といった目的とはやや趣を異にする、よりイノベーティブな使命が課せられているようです。

今回は、NTTデータ関西  第一法人事業部営業担当 課長代理の大下にインタビューしました。コロナ禍を乗り越え鉄道業界が目指す新たなステージ、その歩みを支えるITパートナーとして、NTTデータ関西はどのように向き合ってきたのか話を聞きました。

プロフィール

大下 千里 (おおした ちさと)

株式会社NTTデータ関西 第一法人事業部営業担当 課長代理。お客様の課題に応じ、社内外のさまざまなソリューションをコーディネートするCR(Client Representative)として大手鉄道会社様を担当。お客様のDX推進に尽力している。

鉄道業界はDXによる「新たなビジネス創出」へ向かっている

大下さんは鉄道業界のDXに携わられているとのことですが、今、鉄道業界はどのような状況にあるのでしょうか。

鉄道業界はコロナ禍の影響により、主事業である鉄道業の収益に大きく影響を受けておられます。一方で、鉄道業の企業様の多くは、例えばホテル経営・旅行業・不動産業といった事業をお持ちで、多角化経営を強みとされています。

各社様手段は異なりますが、業績回復に向けた目標として、鉄道業領域のより「品質向上(安全性向上)」、「コスト削減」に向けた取り組みはもちろんのこと、鉄道業以外の事業として、「新たなビジネス創出」などによる新規収益拡大も目指しておられる状況ではないでしょうか。

危機感をお持ちというより、そこから復活されて新しい取り組みをどんどん始めていらっしゃる前向きな印象です。DXについても、各社様、中期経営計画にてご公表されている通り、グループ横断というミッションを掲げながら、デジタル化を推進していらっしゃいます。今まで事業が縦割りになっていたものを、横断的にデータを収集して、そのデータを事業に活かせないかといったところを目論んでいらしたりするのです。

なるほど。そのなかで鉄道業界が現在、DXについて抱えている課題にはどのようなものがあるのでしょうか。

各社様の状況にもよりますし、鉄道業界に特有というわけでもありませんが、目指すゴールに向けた手段を考えていく中で、さまざまな課題を抱えられていると思っています。

例えば、ゴールに向けた出口施策を実施する仕組みがない、グループ間のネットワークやセキュリティポリシーが整備されていないといった制度・環境の問題もありますし、データを一元化して貯める箱がない、用途に応じたデータ加工の仕組みがない、データが散逸している……といったシステムの問題もあります。そもそも何をすればよいか?必要なデータは何か?という点で課題をお持ちのお客様もおられると思っています。

NTTデータ関西は、さまざまな最新技術を活用し、ゴールに向けた出口施策の提案と並行して、お客様の課題に応じた手段をご提案できます。ネットワークやセキュリティの整備から、データ活用のためのシステム構築、データ分析自体はもちろん、ご自身でデータ分析していただくための支援まで、お客様が必要とされるスコープにて対応します。それも決して左から右に流れないといけないというものではなく、各社様の課題状況に応じて、ゴール達成に向けたご支援をしています。

お客様の課題を解決するために活動する営業、CR(Client Representative)

それだけ広範囲にわたる支援のご提案をするとなると、お客様について、より詳しく理解していることが求められますね。

はい。NTTデータ関西には販売戦略が異なるCRとSRといった2種類の営業職があります。CR(Client Representative)は担当するお客様が固定されている営業、SR(Sales Representative)は自社で開発したソリューションを幅広い業界に提案する営業です。鉄道業のDX案件はCRにて対応しています。

CRは特定のソリューションを担当せず、お客様の課題起点で活動をしています。お客様の中期経営計画を把握しながら、プッシュ型の提案や取り組みを実施していったり、お客様に直接、抱えていらっしゃる課題をお伺いしながら、プル型の提案や取り組みを実施していったりします。

このようなスタンスを構築するために、最も大切にしていることが「人としてお客様に信用いただく」ことです。まずは、お客様がどんな考え方をお持ちなのか、ご発言ひとつにしても言葉通りの内容だけでなく、そこから見える本質的な課題などを知ることに努め、仮設を立てています。「もし、自身がお客様側の立場に立ったらどう思うか」という振り返りを常に行うことが大切だと考えています。

なるほど。「一を聞いて十を知る」ことができるよう、いつもお客様の立場で考えているのですね。

そうですね。この意識で活動をすることで、お客様の要件を受けられない場合も、代替案や妥協案を自然と考えることができますし、結果、お客様との関係性構築にもつながり、双方の信頼度もより強められると思っています。

お客様にとって、CRは「困った際になんでも相談できる窓口」のようなものでありたいと思っています。課題解決に必要なスコープをコーディネートして一式ご提案しますし、契約窓口が一本化することで、都度の契約折衝のご負担も軽減されるのではないでしょうか。

そうなるとお客様のご負担は軽くなりますが、CRの負担は大きいのではないですか?

そうですね。CRは、領域を問わないお客様課題に対応することになるので、自社のソリューションに特化せず、NTTデータグループ、NTTグループ、時にはグループ外の企業含めて、幅広く協業しながら、営業直轄にてご提案することが多い状況です。このような体制の中では、NTTデータ関西の強みは「営業力(コーディネート力)」1本とも言えます。営業自身の対応に価値を感じていただけなければ成り立ちません。正直、これがCRの永遠の悩みではあります。

だからこそ、一生懸命、協業先を探したり、まったく知識のない分野を勉強して自ら提案書をレビューしたり、協業先とお客様の間に入って「なんとかここまではやれませんか?」といった調整をしたり……「私たちができる仕事ではない」と諦めてしまわないこと、丁寧に真摯にお客様と向き合うこと、これを常に忘れず、対応すべきと思っています。

「営業担当がNTTデータ関西さんでよかった」と言ってもらえた時は、CRとしてお客様に価値を提供できたことが実感できてやりがいを感じます。

そして、私たちに力を貸してくださる協業先も、なくてはプロジェクトが成り立たない方々ですから、お客様と同じように常に大切に思っています。例えば、お互いの「お世話になっております」という挨拶が、「お疲れ様です」になってくると、一体感というか、仲間だと感じられてうれしかったりしますし、そうなるような形を常に目指しています。

「音」で先んじてきたNTTグループならではの「異音検知技術」

協業先のお話も出ましたが、鉄道業界でも協業を活かして新しい取り組みを実現しているそうですね。

はい。NTTデータ関西とNTTの各研究所が連携することで、研究所の特許技術を活用し、お客様との共同研究開発含めてさまざまな新規取り組みを実施できるのです。実例として、新幹線の台車異常を音で検知する取り組みについて、JR西日本様と共同特許を取得、「新幹線安全運用のための車両異常を音で判断する技術開発」(騒音制御46巻3号特集記事)にて共著で投稿する貴重な機会につながりました。

特に、「音」の分野では、元々電話会社であるNTTの特性上、NTTの研究所でも、長年さまざまな研究に力を入れています。音響解析の知見を持つ専門家のプロジェクト参画も可能です。また、異音検知AIをモデル生成する前処理として、音をよりクリアにする雑音抑制の技術や、AIモデル生成時に自動で音響特徴量を生成する技術などを用いているため、例えば工場のようなさまざまな雑音下で「音」による異常検知を断念されてきたお客様からも、お引き合いをいただいています。

実際、新幹線の台車異常を音で検知する取り組みで用いた技術については、NTTデータ関西が研究所から異音検知AI特許の成果提供を受け、異音検知ソリューション「IoTone ® 」として、ソリューション化したものを活用しています。また、時速300km近くの列車走行音を検知するという新規の取り組みでしたので、研究所からプロジェクトへの支援を受けながら実施しました。

最近では、JR西日本様と列車の台車異常の原因特定に向けた、安全性向上ではなく品質向上という観点でもお取り組みをさせていただいていて、お客様固有の課題に応じた「異音検知」の実現に取り組んでいます。

営業力・コーディネート力が新たな安全対策も生み出したのですね。この異音検知技術は、例えば新幹線以外の鉄道などにも応用できるものなのですか?

はい。実際に、鉄道業様だけでなく、製造業様の故障予兆検知などの設備保全などにも幅広くお引き合いをいただいています。今年4月から、初期投資を抑えつつ異音検知の適用可否を検証していただけるように、「IoTone ® 」の簡易検証パッケージも販売を開始しました。NTTデータ関西は、機器設置などの環境面の実現に向けたご支援から、場合によっては本格的な導入検討に向けた共同開発も含めて、一気通貫でご支援します。

関西圏の企業の橋渡し役として、またお客様と共に歩むパートナーとして

今後、鉄道業界様とのお付き合いや、CRとしての活動をどのように展開していきたいと考えていますか。

NTTデータ関西は特に関西圏の公共・金融・法人といった広い業種のお客様と取引がありますので、関西の鉄道業様と、沿線の既存顧客の橋渡し役を務めたいと考えています。そこでNTTデータ関西含めて、各社の技術力を凝らした「強み」を掛け合わせ、「共創」という形で、新たなビジネス創出を目指したいです。

関西鉄道業様の先頭を走られているJR西日本様においては、「外の知見を内へ取り込む」共創だけでなく、その一歩先を行くオープンイノベーション、つまり「内の知見を外へ」という取り組みを既に実現されています。

具体的には、鉄道本部イノベーション本部オープンイノベーション室技術収益化・知財戦略とデジタルソリューション本部データアナリティクスにて実現されている、JR西日本様と、外販連携におけるアライアンスを締結させていただき、活動を実施しています。NTTデータ関西は、お客様の在り方に応じて、時には「サービス提供パートナー」または「共創パートナー」として、そして、時には「協業パートナー」として、その先のエンドユーザー様への提案や取り組みなど、将来にわたって末永くお付き合いできるパートナーになりたいと考えています。

売り手・買い手というお付き合いではなく、それぞれが強みを活かしながらビジネスを成長させていく、CRはいわばそのハブのような役割を果たしていくのですね。どんな新しいビジネスが生み出されるのか、楽しみにしています。