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【JR西日本×NTTデータ関西】
新たな価値を提供する販売業務提携の力
-技術と人財の融合で実現する革新的なイノベーション―

2024年1月、JR西日本とNTTデータ関西は、相互のソリューションのビジネス拡大を目指し、販売活動における協力を強化すべく、販売業務提携契約を締結しました。提携により、両社はお互いの顧客基盤に対してAIを中心とした幅広いソリューションを提案し、強みを補完し合うことで新たなソリューション開発や事業創出を目指します。
今回のインタビューでは、ソリューション販売活動を行っているJR西日本の田中様とNTTデータ関西の大下に、両社の出会いからお互いのソリューションの魅力について触れながら、この提携で描く未来像や提供価値について熱く語っていただきました。

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田中 恭介氏(たなか きょうすけ)
西日本旅客鉄道株式会社
鉄道本部イノベーション本部
ソリューション営業企画部 担当課長

・JR西日本のオープンイノベーション活動の集大成として、あらゆる人/企業/技術をつなげ、クライアントや社会の課題解決に取り組む。
・AIを中心としたデータソリューションやグループ会社、パートナー企業の技術をコアに、クライアント企業を真に変革できるソリューションの創出に尽力している。

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大下 千里(おおした ちさと)
株式会社NTTデータ関西
第二法人事業部営業担当 課長


・お客様の課題に応じ、社内外の様々なソリューションをコーディネートするCR(Client Representative)として大手鉄道会社様を担当。
・お客様のDX推進に尽力している。

ユーザー企業とITベンダーから「営業パートナー」へ
―お互いに感じた相手企業の魅力と可能性

初めてお互いの企業と⼀緒に取り組んだプロジェクトについて教えてください。どのような印象を持ちましたか?

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田中氏

NTTデータ関西さんとJR西日本の最初の共同プロジェクトは、当社が2017年に発生させた「新幹線の台車亀裂」の重大インシデントから始まりました。その対策として、異常音を早期に検知し、迅速に運行停止するためのソリューションを探し求めるなかで、NTTデータ関西さんの異音検知ソリューションに注目し、実証実験、そして有効性確認・プロト環境での検証まで⼀緒に行わせていただきました。
次第に当社でデータアナリティクス技術が成長し、単なるユーザー側でなく、お客様へソリューションを提供する側の立場も併せ持つようになりました。NTTデータ関西さんとの関係もデータソリューションを扱うベンダー企業同士の関係に変化しました。そこから、営業パートナーとして「お互いの販路に相手のソリューションを含めて訴求する」クロスセル活動をスタートさせ、現在も継続して活動させていただいています。
当時のNTTデータ関西さんの印象は、まずはやはりソリューション自体が確固たる実績に基づいた魅力的なものである点。そして、営業素人だった我々と比べ、NTTデータ関西さんの豊富な営業ノウハウや高いスキルを学ばせていただいたことが強く印象に残っています。

大下

当時、ユーザー企業であるJR西日本さんがベンダー側として営業する姿を隣で見て衝撃を受けました。ITベンダーは、⼀般に営業チームと開発チームの役割が明確に分かれていて、営業の役割を超えた訴求は開発メンバーを巻き込んで対応するのが通常です。
でも、JR西日本さんはその役割分担のラインが大きく違います。技術的な質問にもその場で回答できるからこそ、深くお客様と会話ができ、その場である程度ジャッジまでできる。それはITベンダーでは実は難しいんです。勉強してすぐできるものではないですが、「どうしたらそういった立ち振る舞いができるか」そういうことを私個人としても意識して活動するようになりました。

お互いの製品やサービスにどのような魅力や可能性を感じましたか?

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田中氏

どれも魅力的ですが、特に我々が扱う領域と親和性が高い「IoTone」という異音検知ソリューションですね。我々は、コア技術としてAI画像解析や機器の稼働のAIデータ分析を持っています。これを武器に、特に製造業の安全性や生産性向上に寄与することに取り組んできましたが、このIoToneによって、さらにお客様に対して提供できるソリューションの幅を広げられます。例えば「音」をフックにデータを手に入れる、または「音」から設備の異常を判定する、そういったことを可能にするこのソリューションは、我々の取り組みと非常に親和性が高いと確信しています。

大下

当社も画像解析ソリューションを取り扱っていましたが、JR西日本さんはそれらと差別化する要素を持たれています。
その⼀つが、JR西日本さん自身がユーザー企業であること。「実際に使う側の目線で課題解決できる、製品を考えられる 」というのは非常に大きな魅力だと思います。当社グループでもユーザビリティに重きをおいた取り組みを始めてはいるものの、⼀般的にITベンダーはどうしても作り手目線に陥りがちです。でもJR西日本さんは、ユーザー側の経験から、使いやすさやコスト面にも配慮したソリューションや製品を柔軟に提供されます。
そういった点で、たとえ同じような技術であったとしても、お客様にとって各段に違うものになると思っています。

今回、企業間で正式に「販売業務提携」を締結しましたが、お二人自身が、この提携価値や可能性を感じたきっかけを教えてください。

田中氏

NTTデータ関西さんとは、ドメインやポジションが異なる異質な組み合わせではありますが、パートナーとして「顧客への向き合い方」が同じ方向性だったことは非常に大きかったです。DXを推進する上で、本質的に「業務を変革する」ことが最も重要ですが、多くのメーカーやベンダーが技術ありきの、実証実験や技術導入に重きを置いてしまいがちです。
ですが、NTTデータ関西さんは企業理念にあるように、顧客を変革すること、顧客視点で物事を考えることを大切にしていらっしゃいます。我々はユーザー企業の顔、技術ベンダーとしての顔も持ち合わせているからこそ「顧客視点でどのように真の変革を実現するか」を最も大切にしていますし、それがお客様に価値を感じていただける点だと思っています。この点、NTTデータ関西さんの理念に親和性を感じ、⼀緒に戦っていけるパートナーだと感じました。

大下

実は当社では、まさに「共創」というキーワードが着目されているところなんです。NTTデータ関西のパーパスの作成過程で、役員・社員が「NTTデータ関西の価値ってなんだろう」と議論を重ねたところ、「共創」や「寄り添う」に繋がるキーワードが多く出てきました。お客様に寄り添って、共創していくことが当社の価値、パーパスだと考えています。NTTデータグループの中でも、関西という地域に根差してお客様に寄り添って、共創していくことが当社の価値、パーパスだと考えています。
今回、JR西日本さんと⼀緒に同じこの価値観、方向性で活動させていただくのは、企業としても新しい⼀歩としてフィットしていると実感しています。

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田中氏

また、実際にクロスセル活動を始めてみて、ソリューション提案の幅も広がることはもちろんですが、NTTデータグループが築いてこられた信頼やブランド⼒は、パートナーとして非常に心強く感じました。さらに⼀歩二歩踏み込んだクロスセルを展開していきたいと感じ、企業間の持続的な営みとして消化させたいとの思いもありました。





大下

私としても、属人的な協力関係でなく、組織間の正式な営みにしたい思いがありました。田中さんと⼀緒に営業活動をするなかで「何か新しいものが生み出せるかもしれない」という感触を抱きました。
ですが、組織として考えた時に、その構想段階で担当者が異動しては、その営みが途切れてしまうかもしれない。新しい構想を構想で終わらせず、お客様へ価値提供できるまでやり遂げるためにも、今回正式な「販売業務提携」を締結したいと思い、社内に説明して回りました。

両社の強みを活かしたクロスセル営業
-お客様の「真のDXパートナー」として

この販売業務提携は、どのような市場ニーズ‧課題を解決することを想定して締結されたのでしょうか?

田中氏

主要な取組み先は製造業をドメインとしていますが、それだけに特化しているわけではありません。むしろ、まさにユーザーファーストの考え方、つまり、我々が扱うデジタル技術で「そのユーザーの業務、 事業を真にどう変えるか」に対して、我々が組んだ意義が一番発揮できると思っています。「そもそもDXをどう進めていけば良いのか分からない」「どう技術を使って価値を生み出していけるかわからない」といったお客様にこそ、ITベンダーとしての実績があるNTTデータ関西さんとユーザーの立場を持ち合わせたJR西日本が、寄り添いながら効果的な支援ができると考えています。

大下

そうですね。まずは製造業の現場DX、課題解決を⼀番のテーマとしましたが、これに特化する必要はないと思っています。お客様自身で決められた手段としてのツールや技術を単に提供するだけではなく、手段決定の前段階から「課題をどう解決するか」をお客様と⼀緒に議論しながら、最終的にサービスを提供して解決する。JR西日本さんと連携することで、そんなアプローチを実現していきたいと考えています。

提携後、クロスセル営業の中で直面した市場の現状や課題はどのようなものでしたか?

田中氏

DXといっても、デジタル技術の導入自体が目的化してしまっているお客様が想定以上に多いと感じてしまいます。
「本当にこの事業を変えるにはどうしたら良いか」という部分が定義されていない状態のお客様が多く、事業オペレーションを変革するという部分の難しさを実感しています。単にソリューションを提案して終わりではなく、継続的に訪問しながらお客様に納得感を持っていただいたうえで、ソリューションをうまくチューニング、カスタマイズしながら提供する必要があります。この点、まさにNTTデータ関西さんとの連携の強みが発揮できると思っています。

大下

今、田中さんがおっしゃったことに通じますが、ソリューションを導入されたいお客様ご自身が、社内で上手く納得感のある説明ができず、進めることが難しい状況があります。これは、AIの特性として「これだけやったらこれだけの効果が出る」となかなか言い切れないところがあるからだと思います。
要は、最初にどれだけ寄り添い支援できるのか、そして、それをどう次のステップにつなげるか、という点が⼀番悩みどころであり、重要だと気付いたこの半年間でした。JR西日本さんと話し合いつつ、お客様のニーズに合うように今後もブラッシュアップを進めていきます。

連携で描く未来像
-お客様と一からDXを描き実現する「包括的なDXパートナー」に

今後、提携を通じて達成したい未来のビジョンやそのための現時点の計画を教えてください。

田中氏

今はクロスセル活動で実績を積む時期だと思っています。市場のニーズに対してどのようなソリューションが効果的かを見極めながら進めていきます。共同で展示会に出展するなど、露出を増やしながら実績を築いていきたいですね。
将来的には「DXをどう進めたら良いかわからない」と悩んでいるお客様の⼀番の相談相手として、このNTTデータ関西さんとJR西日本のチームが自然に選ばれる存在になれる未来を作りたいです。
また、JR西日本の画像解析やデータ分析の技術と、NTTデータ関西さんの異音検知技術を掛け合わせることで、製造業の安全性や生産性向上にさらに⼀歩踏み込んで価値を提供できると強く感じています。近い将来、互いの強みを活かしたコアとなるソリューションを共同開発し、お客様に提供することを目指しています。

大下

そうですね、ベースはクロスセルできっちり実績を積み上げいく必要があると思うので、そのために認知度を高めるプロモーション活動やソリューションの共同開発を進めたいと考えています。
現在は、製造業向けの現場DXを中心に進めていますが、他の業界や業種にも展開できる可能性を感じています。例えば、小売業やBtoCのソリューションの需要も高まっているので、これらお客様に対してデータ分析やその活用を通じて新しい価値を提供していくことを当社として考えています。具体的なアセットをJR西日本さんと共同で開発できるかという点は今後の議論が必要ですが、まずは他の業種や業界のお客様のニーズを伺う活動を広げていきたいと考えています。

田中氏

我々のグループには物販や飲食関連の企業もありますし、社内にはICOCAやWESTERなどの電子系のデータを扱ったマーケティング戦略を扱うチームがいます。このような当社のケイパビリティと、NTTデータ関西さんが注力されたい領域で親和性を持つ部分が当然あると思っています。ぜひ、視野を広げた戦略についても議論し、構築していきたいですね。

最後に、顧客やエンドユーザーに対して、この提携がもたらす具体的なメリットは何でしょうか?

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大下

両社がお互いに補完し合える点がメリットだと考えています。ベンダー企業はそれぞれ強みや弱みを持っていますが、この提携によって、弱みを補い合い、さらにお互いの強みを活かして新しいソリューションを⽣み出すことができます。これにより、お客様に対して、より効果的で⾰新的なサービスを提供できると考えています。




田中氏

お客様にとっての最大のメリットは、とにかく「よくわからない状態でもDXを⼀緒に進められるパートナーがここにいますよ」ということだと思っています。NTTデータグループの多種多様なDXソリューションと、JR西日本のユーザー視点とAIベンダーのとしてのソリューションや専門知識を組み合わせることで、包括的に伴走させていただけるプレイヤーとして認知していただきたいです。一からDXを始められようとしているお客様にも、進め方や効果の出し方、技術選定の仕方も含めて、⼀緒に寄り添い、成功に導くサポートを提供させていただきます。

まとめ

・NTTデータ関西とJR西日本は、お互いの強みを掛け合わせ、より効果的で革新的なソリューションを提供することを目指しています。
・「DXの進め方がわからない」「どの技術を選べばいいのか迷っている」といったお客様にも、ともに寄り添い、包括的にサポートさせていただくことで、製造業をはじめとする様々な業界や企業のDX推進を支援していきます。

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