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DX推進をリードするDX人材に求められる能力とは

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国をあげてDX推進を促している現在、各企業・自治体は、組織内でできるところから取り組んでいます。しかし、2020年に独立行政法人情報処理推進機構が調査したところによると、企業規模による差はあるものの 6割近くの企業がまだ取り組めていないという結果になりました。 理由はさまざまですが、企業・組織の体制が縦割りで、部署ごとにデータが蓄積されており、組織横断で活用できていないことも大きな原因です。また、レガシーシステムの存在と、担当者に一任してきた業務形態が壁になっているところも少なくないようです。しかし、 共通して言えるのはDX人材の不足 です。ではどういった人材が必要なのでしょうか。今回はDX推進をリードしていける人材(DX人材)に求められる能力について考えてみましょう。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義と導入時の課題、成功へのポイントについて」

https://www.nttdata-kansai.co.jp/media/001/

DX人材とは

DX推進に欠かせないのがIT技術の活用です。では、 DX推進をリードしていける人材(DX人材)というのはIT技術やITの知識をもった人材ということでしょうか。そう考えがちですが、それはDX人材の一部分を表しているにすぎません。 改めてDXの定義を振り返っておきましょう。

DXの定義から考えるDX人材

経済産業省によるDXの定義は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となっています。

ここから考えると DX推進をリードする人材には、ビジネス環境が激しく変化していることを実感として捉える視点と洞察力が必要 だといえます。

さらに、 データとデジタル技術が活用できること。社会の動向に即した企業や組織、ビジネスモデルの変化を促す行動力 が求められています。そして、 結果的に、企業や組織が競争力を高めるための施策を打ち出すことができる力 が必要だといえます。

言い換えれば、 IT技術の活用は手段であって、目的ではない ということです。DXを推進することを目的として、それを 達成するために必要な人材がDX人材 であると定義できそうです。

DX人材に求められる能力

DXがデジタル技術を活用したビジネスモデルやビジネスマインドの変革である以上、テクノロジーを理解して使える人材である必要があります。

さらに、DX推進をリードするためには、企業や組織の活動が理解できていることが前提です。まずひとつずつ、必要となる能力について考えていきましょう。

社会の変化に対応すべき企業や組織の在り方が理解できる人材

企業や組織は利益だけのために存在しているのではありません。企業や組織は自分が持てる知恵、技術を最大限に活用して開発したより良い商品・サービスを通して、利用者(相手・消費者)の課題解決を実現し、社会に貢献することを目的としています。その結果、利益が得られるというのが理想的な在り方でしょう。

つまり、企業や組織が継続的に存在するためには、企業や組織の活動目的が明確に理解できており、そのための手段と効果的な対策が具体化できる人材が必要だといえます。 DX人材は、そうした全体的な企業や組織の活動が把握できており、社会とのつながりや社会への影響が想像できる分析力、創造力が求められるのです。 さらには、さまざまな「相手」を巻き込んだ企業活動においては、それぞれの場面でコミュニケーションや調整が必要になります。それらをスムーズに進めるための能力として対話力、傾聴力、調整力、交渉力なども必要になるでしょう。

IT技術を使って組織を変革できる人材

つぎに、前提となるIT技術やデジタルスキル標準について、経産省が示している「DXリテラシー標準ver.1.0」を参考に考えてみましょう。

データを活用できる

企業活動においてデータの活用は不可欠です。ビッグデータを目的にあった方法で分析するためのITスキルは必須の項目 となるでしょう。たとえば、効果的なマーケティング戦略を立てるためにはビッグデータのなかから必要な要素を抜き出し、的確な分析をします。また、蓄積された既存のデータを活用するために、多様化したデータを一元管理するためのツールの選定といったことも重要になるでしょう。

つまり、分析方法の知識と応用力が求められるのはもちろんですが、NTTデータ関西が提供しているソリューションをはじめ、 市場に提供されているデータ連携や運用、開発をやりやすくするためのソリューションについての知見も広めようと心がけることも必要 です。

たとえば、自社の業種において、どのようなソリューションが活用できるのかなどを以下のサイトなどを参考に、調べておくこともおすすめいたします。

https://www.nttdata-kansai.co.jp/service/

データを誰もが使えるものに変更できる

また、ビッグデータの活用や分析ができるだけでは企業活動に十分活かせるとは言えません。 分析結果を誰でも理解しやすい形にまとめる表現力、提案力が必要です。

さらに、選定したソリューションを操作するためのスキルや、他の従業員がスキルを学ぶための機会を作れる人材であることも求められます。

分析結果を活かせるように組織や業務の改革を実行できる

膨大に蓄積されていくデータを必要に応じて分析した結果、それを企業活動に活かせなくては意味がありません。そのためには既存の業務習慣の見直しが必要になるケースもあります。そうした場合には、社内における調整力やコミュニケーション力は不可欠です。さらに周りが納得し行動に移してもらうようにするには、不確実な未来を想像し、予測する力や臨機応変に考えられる力、柔軟な対応力が必要になります。

打ち出した戦略や施策を実行に移せる

次に必要になるのは行動力です。

社外や異業種を巻き込んで大きな動きへと成長させていける力、モチベーションを維持する精神力や意味づけをして納得感を与える力、失敗したときの姿勢と思考も問われます。たとえば、前向きであり、かつ、分析結果を客観的に受け止め対策を打てる能力は、変化の激しい時代や社会のなかで企業価値を高めるためには重要な能力といえるでしょう。さらに、実行するための精神力と積極的な行動力、突破力が不可欠です。

リスキリングでDX人材を育成

DX人材の確保は難しい現状です。 労働力不足がどの業種・業界においてもいわれるようななか、デジタル技術を活用できる人材の確保は今後ますます難しくなる と予測されます。

では、どのように人材の確保をすればよいのでしょうか。基本的には社内教育の機会を増やす、ということになるでしょう。現在、デジタル技術をもち、社内でもIT化に貢献している従業員を中心に、DX人材へと育てる工夫が必要です。

新しいIT技術や知識を更新し続ける

刻々と更新されていくビッグデータや社会の動きに合わせて、考え方を柔軟に変え、論理的に行動をとることが必要です。そのためには 常に最新の技術や知識を学び続ける姿勢が求められます。この新たな学び直しのことをリスキリングといいます。

リスキリングの対象はDX推進のプロジェクト関係者に留まらない

企業の組織力を高めるためには、一部の従業員だけがDX推進のプロジェクトに関わり、そのなかでさらに一部の従業員だけがDX人材としてリスキリングをし、最新技術や知識を身につけていたのでは人材不足は解消されません。

DXの推進は企業の価値創造のプロセスを変革させ、ビジネスモデルを新たに創り上げることでもあります。 言い換えれば、マーケティングを担う部門の従業員も、経理部門、人材・採用部門、経営者も含め、すべての企業人が取り組むことで、企業意識や文化が更新されていくといえます。

まとめ: 全員がDXリテラシーを高める姿勢をもった企業が強くなる

DX推進は企業や組織のなかの一部の人材、部署が対応して実行できるものではありません。DX推進が進まない一因は、たしかにDX人材の不足です。しかし、企業の在り方、ビジネスモデルの変革を実行し、競争力の高い組織にするDX推進なら、企業全体が同じ意識で取り組む必要があります。

DX推進をリードできるDX人材に求められる能力を理解したうえで、全従業員がDXリテラシーを高める姿勢をもてば、その企業の組織力と創造力は高まり、強い組織へと変わっていけるでしょう。