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マルチクラウドのメリットとは?デメリットや実践までの5ステップも解説

 |  クラウド

近年、クラウドコンピューティングの普及に伴い、企業のITインフラやアプリケーションをクラウド上に移行する動きが加速しています。そんななか、 複数のクラウドサービスを組み合わせて活用する「マルチクラウド」という考え方が注目を集めています。

マルチクラウドは、DXの実現やツールの最適化に非常に適しています。

本記事では、マルチクラウドの概要やメリット・デメリット、実践までの5ステップについて詳しく解説します。

これからのIT戦略を考えるうえで、重要な鍵となり得るマルチクラウドについて、ぜひ理解を深めてください。

マルチクラウドとは

マルチクラウドとは、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などの複数のパブリッククラウドサービスを組み合わせて活用する運用形態のことを指します。 単一のクラウドベンダーに依存するのではなく、各クラウドの強みを生かしながら、ビジネス要件に応じて最適なサービスを選択・組み合わせられるのがポイント です。

例えば、あるオンラインショップが、商品画像の保管にはA社ツールを、分析基盤にはB社ツールを、認証システムにはC社ツールを使うといった具合です。このように、用途や目的に合わせて各クラウドの得意分野を活用することで、柔軟でコスト効率の高いシステム構築が可能になります。

改めてクラウドとは

マルチクラウドについて理解を深める前に、そもそもクラウドとは何かを改めて整理しておきましょう。

クラウドとは、インターネットを経由して、サーバーが提供するコンピューティングリソース(ストレージ、ソフトウエアなど)を、必要な時に必要な分だけ利用できるサービスのことです。ユーザーは、ハードウエアやソフトウエアを所有していなくても、インターネット回線とWebブラウザ、アプリケーションさえあれば、クラウドを利用できます。

クラウドを使わない場合、自社でサーバーやストレージを調達し、それらを自前のデータセンターに設置・運用する必要があります。

つまり、ハードウエアからソフトウエアまですべてを自社で用意し、メンテナンスする必要があるのです。こうした環境では、多大な初期投資と運用コストがかかることや、ハードウエアの調達に時間がかかるというデメリットがありました。新しいサービスの立ち上げに際しても機動性に欠けることが課題です。

一方、クラウドサービスを利用すれば、初期投資なしに最新のITインフラを使えるため、コストを抑えつつ、スピーディーにサービスを立ち上げられます。

クラウドの種類

クラウドの種類は提供形態の違いによって、2種類に分けられます。

パブリッククラウド
クラウド上に提供されているサービスを、不特定多数の人が共有して利用する形態がパブリッククラウドです。個人ユーザーでも企業でも利用可能です。利用料金も比較的安価なので、需要は拡大傾向にあります。
ユーザーが自らサーバーやOS、アプリケーションといったリソースを用意する必要はありませんが、基本的に機能のカスタマイズはできないため、希望する機能を開発できないケースもあります。
プライベートクラウド
プライベートクラウドとは、個人や企業が専有の環境を構築して利用する形態を指します。
必要に応じて、システムをカスタマイズして環境を最適化できるのがメリットです。ただし、パブリッククラウドに比べると環境構築にコストがかかることと、使いこなすための専門技術・知識が必要になることを認識しておく必要があります。

上記のうち複数の「パブリッククラウド」を組み合わせたものをマルチクラウドと呼びます。

マルチクラウドとハイブリッドクラウドの違い

マルチクラウドとよく混同されるのが、「ハイブリッドクラウド」という言葉です。ハイブリッドクラウドは、オンプレミス(自社所有のサーバー)とパブリッククラウドを組み合わせた運用形態を指します。つまり、セキュリティ上の理由から社内に置いておきたいデータはオンプレミスに、スケーラビリティが必要なシステムはクラウドに、といった具合に使い分けるのがハイブリッドクラウドの特徴です。

一方、マルチクラウドは「パブリッククラウドのみ」を複数組み合わせる点が大きな違いです。オンプレミスは含まず、クラウドサービス同士の連携に重点を置いています。

また、近年、マルチクラウドとハイブリッドクラウドを組み合わせる運用形態も増えています。つまり、ひとつのシステムにおいて、オンプレミスと複数のパブリッククラウドを組み合わせることも可能ということです。

マルチクラウドとハイブリッドクラウドは別々の概念ではありますが、ひとつのシステムで両方の特徴を合わせ持つこともあると知っておきましょう。

ここで、マルチクラウドとハイブリッドクラウドの主な違いを表でまとめます。

比較項目 マルチクラウド ハイブリッドクラウド
構成要素 ・複数のパブリッククラウド ・オンプレミス+パブリッククラウド
主な目的 ・ベンダーロックインの回避
・最適なサービス選択
・レガシーシステムとクラウドの共存
データ管理 ・複数のクラウド間のデータ移行・同期 ・オンプレミスとクラウドの間のデータ移行・同期
メリット ・ベンダーロックインのリスク軽減
・各クラウドの強みを活かせる
・高い可用性
・オンプレミスの既存資産を活用できる
・セキュリティを確保しやすい
・段階的なクラウド移行が可能
デメリット ・複数のクラウド環境の管理が複雑 ・環境が複雑になり管理が難しい
・独自の環境に対応できる技術力のある担当者が必要

こうした違いを理解したうえでうまく使い分けたり、ときには組み合わせたりと、自社にとって適切な運用を成功させるのは容易ではないでしょう。

そこで、NTTデータ関西が提供する「ハイブリッドクラウドマネージドソリューション」も成功の手助けとなります。

クラウドの導入から運用・監視までワンストップでサポートを提供するサービスです。

「既存システムをパブリッククラウドへ移行したい」「パブリッククラウド・オンプレミスを柔軟に組み合わせたい」といった企業ごとのニーズに合わせて、経験豊富なスタッフがサポートいたします。

▼ ハイブリッドクラウドマネージドソリューションの詳細について

ハイブリッドクラウドマネージドソリューションの特長|NTTデータ関西

マルチクラウドのメリット

マルチクラウドのメリットについて詳しく見ていきます。

ベンダーロックインのリスクを回避しやすい

マルチクラウド最大のメリットは、特定のクラウドベンダーに依存せずに済む ことです。単一のクラウドに深く依存してしまうと、そのベンダー独自の技術やAPIに縛られ、ほかのクラウドへの移行が難しくなる可能性があります。これを「ベンダーロックイン」と呼びます。

ベンダーロックイン状態になると、価格交渉の余地が少なくなります。そのため、コスト肥大化のリスクがあります。

マルチクラウドなら、このようなリスクを分散し、特定のベンダーでサービス変更や値上げがあっても、柔軟に対応できるでしょう。

目的に応じた最適なクラウドサービスを選択できる

得意分野やサービスの特性は、クラウドベンダーごとに異なります。その長所を組み合わせて効果を最大化できる のもマルチクラウドの利点です。

単一のクラウドでは実現しにくい、きめ細かなサービス選択がマルチクラウドの大きな魅力だと言えるでしょう。

加えて、マルチクラウド化は新しい技術トレンドへの対応力を高めることにもつながります。クラウドベンダー各社は、機械学習やIoT、ブロックチェーンなど、先端分野のプラットフォームを競うように提供しています。これらのサービスをいち早く取り込むことは、DXの推進とイノベーション創出に欠かせません。

しかし、 最新のクラウドサービスはまだ発展途上で、ベンダー独自の機能も多いのが現状 です。そのため、最新クラウドを利用したくても、そのクラウドひとつに依存してしまうと、ほかのベンダーが提供する技術やサービスを活用できない可能性があります。

その点、複数クラウドを柔軟に使い分けるマルチクラウドなら、それぞれの新サービスをいち早く取り込み、競合に先んじて付加価値を生み出せるでしょう。

NTTデータ関西では、最新クラウドを含めた幅広いクラウドから、最適なクラウドの選定・構築・監視・保守運用までサポートする「xCooS(クロスコース)」を提供しています。 セキュリティやコストなど、目的別の診断サービスにより、クラウドの最適化をサポート いたします。

▼ xCooSの詳細について

xCooS(クロスコース)の特長|NTTデータ関西

障害リスクを分散し可用性を高める

クラウドサービスは一般的に高い可用性を誇りますが、それでも障害のリスクはゼロではありません。

複数のクラウドを組み合わせることで、あるひとつのクラウドで障害が発生しても、ほかのクラウドでサービスを継続できます。

一方、単一のクラウドのみを使用していた場合、その影響を色濃く受けてしまいます。障害の規模によっては、1日以上事業が止まってしまうかもしれません。このように、マルチクラウド化は障害発生時の影響範囲を最小限に抑え、事業継続性を高める効果が期待できるのです。

また、 データ保護や災害対策の強化の観点からもマルチクラウドは有効 です。大規模災害に備え、地理的に離れた複数のクラウドに重要データを保管しておけば、不測の事態でも事業を継続しやすくなります。

マルチクラウドの活用は、不安定な世の中でのビジネス継続に欠かせない選択肢になりつつあります。

マルチクラウドのデメリット

マルチクラウドの導入を進める前に、デメリットも把握しておきましょう。

自社で早めに対策をするためにも、知っておきたい情報です。

コスト管理の複雑化

マルチクラウドを導入する際の 最大の課題は、コスト管理の複雑さ です。複数のクラウドサービスを組み合わせることで、それぞれの料金体系を個別に管理しなければならず、全体のコストを把握するのが難しくなります。

特に、クラウドの利用料金は複雑で、使用するリソースの種類や量、データ転送量などによって変動します。複数のクラウドにまたがって利用状況を追跡し、最適化するのは容易ではありません。

運用管理の複雑化

マルチクラウド環境では、前述のコスト管理だけでなく運用管理も複雑になります。各クラウドサービスには固有の管理ツールやAPIがあり、それらを統合的に扱う必要があるからです。

障害対応やパフォーマンス分析の際には、複数の管理画面を行き来しながら原因を特定していかなければならず、運用担当者の負荷が増大する可能性もあります。

スキルの獲得と人材不足

マルチクラウド人材の確保と育成も大きな課題です。各クラウドには独自のアーキテクチャやAPIがあり、それぞれに習熟するには時間と努力が必要だからです。

社内で使用するクラウドすべてに精通したエンジニアを、社内で育成するのは容易ではありません。かといって、クラウドごとに別々の担当者を置いたとしても、連携や管理の負担はかかってしまいます。

こうしたスキルギャップを埋めるには、計画的な教育と継続的な学習が欠かせません。社外の専門家を活用することも選択肢のひとつとなるでしょう。

マルチクラウド戦略の立案と実践までの5ステップ

ここまで、マルチクラウドのメリットとデメリット、そして運用上の課題について詳しく見てきました。それでは、具体的にマルチクラウド戦略を立案し、実行していくためには、どのようなステップが必要でしょうか。

1.ビジネス要件とクラウド活用目的の明確化

マルチクラウド戦略の第一歩は、自社のビジネス要件とクラウド活用の目的を明確にすることです。コスト削減、業務の効率化、イノベーションの創出など、クラウドに何を期待するのかを具体的に定義する必要があります。

その際、経営層を含む関係者が一堂に会し、マルチクラウド化のゴールとロードマップを合意形成することが重要です。

2.適切なクラウドサービスの選定

次に、自社のビジネス要件に適したクラウドサービスを選定します。 クラウドの処理能力や、要求されるパフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンスなどを考慮しつつ、最適なクラウドの組み合わせを決定 しましょう。

例えば、基幹システムはオンプレミスやプライベートクラウドに置き、開発環境やWebサービスはパブリッククラウドを活用する、といった組み合わせもよいでしょう。また、特定のクラウドに依存しないよう、クラウド間の移行性や相互運用性にも配慮が必要です。

複数のクラウドに精通し、ベンダーに偏らない中立的な視点からアドバイスできる専門家の協力を仰ぐ ことをおすすめします。

NTTデータ関西では、クラウドの「おまかせ」ワンストップ・サービス「xCooS(クロスコース)」を提供しております。

▼ xCooSの詳細について

xCooS(クロスコース)の特長|NTTデータ関西

下記のインタビュー記事では、xCooSの提供背景や強みについて詳しく語っています。

▼ インタビュー記事

NTTデータグループのプロフェッショナルが伴走するクラウド活用支援サービス「xCooS(クロスコース)」

3.管理体制とセキュリティ方針の確立

クラウドが決定したら、次はガバナンスとセキュリティの方針を固めます。具体的には、複数のクラウドを横断する統一的な運用ルールと、セキュリティポリシーを策定していきます。

前述のとおり、マルチクラウド環境では、各クラウドの管理ツールやセキュリティ機能が異なるため、一元的な管理が難しくなります。そのため、ツールの統合や自動化の方針、アクセス制御とデータ保護の基本方針を設計することが重要です。

加えて、コンプライアンスの観点から、データの所在地や暗号化、ログ管理など、法規制の要件を満たすための方針も明確にしておく必要があります。こうした要件を踏まえ、クラウド利用のポリシーと、違反した場合のペナルティなどを定めておくことが望ましいでしょう。

4.移行計画の策定と実行

管理体制とセキュリティの方針が固まったら、いよいよマルチクラウドへの移行計画を立案し、実行に移します。まずは、移行対象とするアプリケーションやデータを洗い出し、優先順位をつけることから始めましょう。

そのうえで、移行のシナリオを具体化します。一気にすべてをマルチクラウド化するのではなく、まずは一部の環境から段階的に移行していくという進め方もひとつの方法です。

また、移行中の機能停止時間を最小限に抑えるため、切り替えの手順やロールバック方法なども事前に計画しておくことが重要です。

実際の移行作業では、専門的な知識と経験が求められます。特に、データ移行の際には、整合性の確保や、移行先のクラウドでのデータ最適化など、高度なスキルが必要とされます。そのため、社内に適切な人材がいない場合は、外部の力を借りることも検討すべきでしょう。

5.運用体制の整備と継続的な最適化

マルチクラウドへの移行が完了したら、安定的な運用体制を整備することが求められます。複数のクラウドを一元的に監視・管理するためのツールを導入し、運用フローを設計・標準化することが重要です。

こうした運用の改善は、一度で終わるものではありません。クラウドの技術は日進月歩で進化していますし、ビジネス要件も刻一刻と変化します。そのため、マルチクラウド環境を常に最適な状態に保つためには、継続的な改善と調整が欠かせないのです。

まとめ:マルチクラウドで俊敏に最適な環境構築を目指す

マルチクラウドは、ビジネスの俊敏性と回復力を高め、イノベーションを加速するための強力な手段です。一方で、複雑性の増大や管理体制構築の難しさ、人材不足といった課題も抱えています。

これからマルチクラウドの導入を検討する企業は、自社のビジネス要件とITの成熟度を見極めたうえで、戦略的に取り組んでいく必要があります。関係者の理解を得ながら、段階的かつ計画的に移行を進めることが重要でしょう。

企業には、このようなマルチクラウドの戦略的活用を通じて、ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速することが期待されます。クラウドの力を最大限に引き出し、新しい価値創造につなげていくことが、これからの時代を生き抜くためには欠かせないのです。