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DXで業務効率化も実現!成功20事例を紹介

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企業や自治体がDXを推進することで、何がどう変わるのでしょうか。DXの定義をひも解くと「IT化を進め、データを有効に活用することで、従来のビジネスモデルや業務プロセスの見直しと改革を行い、競争力や組織力を高めて新しい価値の創出につなげること」となります。言い換えれば、 課題を抱えているところにIT化やデータ活用を促進することで、業務の見直しを図り、結果的に生産性を向上させてより良い方向性を導き出す こと、だといえます。今回はDX実現のプロセスのひとつでもある業務効率化が実現できる取り組みに注目して事例をみていきましょう。

なぜDXの実現とIT化の関連性

多くの企業や自治体、組織で取り組みが進められているDXの目的は何でしょうか。改めて、IT化との違いから、DXが実現するとどう変わるのかを理解しておきましょう。

DXとIT化の違い

DXを実現させるには、IT化の推進なしには考えられません。 IT化は従来、手作業で行っていた業務をデジタル化していくこと です。たとえば、紙で作成していた帳簿類をデジタル化することで、経費の推移をグラフで見える化し、課題を見つけやすい環境へと整えていくことができます。つまり、IT化というのは、業務を見直し、より良い状況へと変革するためのひとつの手段なのです。

一方、DXというのは、より良い環境と体制を構築するための手段、プロセス、そして、ゴールのすべてを含めた概念 です。

DXの目的

DXというのはデジタルトランスフォーメーションを省略した表記です。経済産業省の定義によると、「ビジネス環境の激変に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革して、競争上の優位性を確立すること」としています。企業や自治体、組織の存在意義によっても DXのゴールは異なりますが、どのような企業、自治体、組織であっても、現状を見直し、新たな価値創造をする こと。そして、それがより良い現実につながることが目的だといえるでしょう。

DXによって成し遂げられるものとは何なのか、主なものを見ておきましょう。

企業の競争力の強化

市場の動向や顧客のニーズ、社会の要請など、激しく変化する状況を的確に捉え、それに素早く対応できる体制を整えることで、他社との競争力を強化し、自社の魅力を高めることができます。

人材不足の解消

人材不足を解消するためには、①現状の人員で対応できるように業務を見直すこと、②離職率を下げること、③採用成功率を上げることが重要な取り組みだと考えられます。

まず①の取り組みとしては、DXを実現する過程でIT化を進め、さまざまな業務におけるムダやムリな状況、ムラのある作業を改善していきます。 手作業で対応していた膨大な事務作業を自動化することで、時間やコストのムダを省き、人的リソースを有効に活用できる ようになります。こうした取り組みが充実していくと、少ない人的リソースでも、従来以上の作業がこなせます。さらに、従業員が能力を発揮できる機会が増えれば、職場にやりがいを感じエンゲージメント向上にもつながるでしょう。働くことに魅力が感じられる企業であれば、優秀な人材を確保しやすくなります。つまり、②、③の取り組みへもつながります。少ない人的リソースを効率的に活用し、さらに優秀な人材を確保しやすい状況が整うと考えられます。

業務効率化による生産性の向上

業務効率化が実現され、自動化できる業務と人が対応すべき業務が区分けされれば、従業員は 新しい価値の創造というよりクリエイティブな作業に時間を使うことができます。 新しいサービス、潜在ニーズを呼び起こすような商品の開発に時間をかけることで、生産性を高めていくことにつながります。また、自動化業務で時間やプロセスの最適化が実現すると、効率的で品質の安定した製品やサービスの提供が可能になります。この点においても、生産性の向上が可能になります。

新しい価値の創造

DXを推進するということは、手作業で行っていたことを単にデジタル化するということではありません。顧客との関係を管理するシステムや、事務管理、業務プロセスが変化することによって、今まで以上に 具体的でスピーディに顧客や社会が望む製品、サービスのあり方を理解し、対応できる環境を整えられます。 これによって、今までにはなかった発想で新商品、新サービスの開発など、新しい価値を創造することが可能になります。

働き方改革の実現

多くの作業のなかで自動化できるものは自動化し、AIを活用して的確に効率化が進む ことにより、自由度の高い働き方が可能になります。時間や場所に拘束されることなく、多くの従業員がプライベートな条件と擦り合わせながら十分に能力を発揮できる業務環境が構築できます。

DXの取り組みについては以下の記事を参考にしてください。

自治体のDX実現で、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会をめざす

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義と導入時の課題、成功へのポイントについて

DX推進・成功事例から実施のヒントを探る〜国内・海外成功事例22選〜

業務効率化を図ることによって何がどう変わるのか

業務効率化というのは、従来の業務におけるムダや部分や、ムラのあった作業、ムリをしていた作業を見直し、時間短縮やコスト削減、プロセスの標準化につなげることを指します。 DXを実現する過程で業務を見直し、従来のプロセスやシステムをITを活用しながら改変することで、業務効率化を図ることができます。 では、具体的に業務効率化を図ることで、何がどう変わるのかを確認しておきましょう。

作業時間の短縮

従来は従業員が手作業で行っていた作業を自動化することによって、作業時間を短縮することが可能になります。そのことによって、次のような変化が期待できます。

アイデアの創出:
手作業に費やしていた時間を、新たなサービスや商品を開発するために必要なデータの分析やプロジェクトチーム内でのコミュニケーションに当てることができます。
従業員のモチベーションアップ:
単純な作業から創造的な作業により多くの労働時間を充てられるようになれば、働きがいや自分の能力が発揮する機会を得ることにつながります。そうした労働環境が整うことで、従業員のモチベーションを高く維持することも可能になります。

▼ PC作業による業務内容や働き方の“視える化”について

じょぶすけ~る® | ソリューション | 株式会社NTTデータ関西

人材の有効活用

自動化できる作業と人的リソースを活用すべき作業を区分けすることで、従業員それぞれの能力や得意分野に応じた働き方が可能になれば、次のような変化が期待できます。

従業員のエンゲージメント向上:
キャリアアップ、スキルアップの機会が得られる環境が整うことで働きがいを感じ、従業員のエンゲージメントの向上が期待できます。
離職率の低下:
自分の能力を発揮できる職場であることを従業員が実感できれば、離職率の低下につながります。
優秀な人材確保:
離職率が低く、従業員が能力を発揮できる環境が構築された企業は、外部から見ても勢いがあり魅力的です。そうした企業であれば、優秀な人材の確保がしやすいと考えられます。

データ活用

業務効率化を図る課程で、蓄積していくデータを十分に分析して活用する土壌が醸成されることで、的確な戦略や経営方針を迅速に打ち出せるようになります。たとえば、以下のような変化が期待できます。

データドリブン経営:
データを活用することで、変化に応じた戦略を迅速に打ち出し、最適な経営方針を立てることが可能になります。市場の動きや顧客のニーズなど、次の動きを見据えた経営戦略や商品開発など、データを「攻め」「守り」の両方の活用をすることが必要です。
▼ 経営に活かすデータ分析と活用について
データ分析・活用ソリューション| 株式会社NTTデータ関西
情報共有:
業員同士、従業員と経営者、協働企業同士など、互いに必要な情報を共有することが可能になれば、協力体制も強化されます。
働き方改革(テレワーク、リモートワークなど):
情報が安全に共有される環境が整うことで、時間・場所に縛られることがなく、業務に携わることが可能になります。働く環境が柔軟になれば、たとえば、地方の優秀な人材を確保できます。さらに、プライベートな事情を抱えた従業員が退職せずテレワークやリモートワークを活用してキャリアを継続できます。従業員の個別の要件にも対応しやすい就労環境を構築することで、働き方改革を推進することが可能になります。
▼ FAXで受信した書類の電子化から保存について
BIZXIM SmartFAX | ソリューション | 株式会社NTTデータ関西
スペースの有効活用:
従来、紙によって保存していた帳簿類や取引関係書類などをデータで管理するようになれば、資料・書類の保管スペースを削減することができます。空いたスペースはコミュニケーションスペースとして活用し、いっそう働きやすいオフィスへと改変することもできます。また、従来必要であった広いオフィス面積を縮小できれば、経費の削減にもつながります。

業務効率化DXの成功20事例

NTTグループ:ビジネスプロセスの可視化とデータ活用でリモート型社会への体制を強化

巨大組織であるNTTグループは2018年からDXへの具体的な取り組みをはじめています。そして、DX推進の第一歩となるのがビジネスプロセスの可視化と見直しだとしました。プロセス変革を進める際の共通の下敷きを作るためにEA(エンタープライズアーキテクチャ)を利用しました。ビジネス構造を業務、データ、システム、テクノロジー、ルール・組織・文化の5つに分割して整理しました。さらに、グループ各社が保有しているデータを標準化したり、データの活用の基本ルールを策定したりするためにトップダウンのアプローチ方法と、現場やその他多くの層から意見を集めて共有するボトムアップのアプローチ方法の2つのアプローチ方法でデータ活用を進めていきました。

こうした取り組みによって、巨大グループ組織における体制が強化されました。

大塚デジタルヘルス:AIとクラウドサービスの組み合わせによって情報管理を効率化

精神科医療における電子カルテデータ分析サービスを提供している大塚デジタルヘルス(大塚製薬と日本アイ・ビー・エムの合弁会社)では、精神科医療においてテキスト情報として保存されていた患者データをもとに、AIとクラウドサービスを活用してデータベースを構築。病歴、治療歴、症状、合併症など必要なデータが一覧できるようにしました。10,000件を超えるカルテ記載を有効活用できる環境を整え、チーム医療への貢献も果たしています。

ダイキン工業株式会社:工場のIoTプラットフォームを構築し、生産計画の最適化とロス低減を実現

市場の変化が激しくなったことに対応するために、「マス・カスタマイゼーション」を念頭に、製造コストの低価格化と製品差別化による競争力強化を図るために、工場のIoTプラットフォームを整備しました。

新規に設立したデジタル・ファクトリーでは、製造現場データの発掘、データの収集と統合、データの可視化と分析、顧客への価値提供といった4つのサイクルを回すことを想定しました。そのうちのデータの収集と統合については、工場のすべての設備をネットワークでつなぎ、情報収集の標準化を進めるために工場IoTプラットフォームを整備しました。さらに、工場IoTプロジェクトセンターを工場内に設け、メンバーがデータに基づいたディスカッションのできる環境を整えました。また、工場IoTプラットフォームを海外拠点とも連携させ、グローバルでの利活用も行っています。こうした取り組みによって、生産計画を最適化することができ、生産プロセスにおけるロスを低減させることを実現しました。

株式会社ミライト・ホールディングス:AIを活用して水道管劣化予測やクラウド施工管理を提供

2030年にむけての新たな事業ビジョンとして「MIRAIT ONE Group Vision 2030」を策定して、5つの事業変革を柱とした新成長戦略を掲げています。そのひとつがデータインサイトマネジメントです。すべての変革を推進するためにデータ活用を基盤とした取り組みを進めています。

具体的な取り組みのひとつが、水道管ビジネスの活性化のためにAIを活用して、水道管劣化予測やクラウド施工管理をするための水道管DXソリューションの提供を開始しました。これは水道事業体が保有する管路設備データと漏水履歴情報を活用して、AIによって水道管の破損リスクや劣化状態を予測し、コスト条件などを考慮した対応計画を策定するものです。さらに、水道管施工管理(水道管工事に特化したもの)、水道スマートメーター(自動検針、漏水検知、時間ごとの流量把握を可能にするもの)などのソリューションを提供することによって、顧客や社会の課題解決、地域の活性化につなげていくことをめざしています。

日本瓦斯株式会社:IoTを活用して、ガスメーターからのデータ収集をオンライン化

IoT機器によるデータの収集や、個別データの暗号化、暗号化認証システム、ブロックチェーン、デジタルツインといった技術を活用することで、電気を含めたエネルギー業界全体へ託送の最適化と保安の高度化を実現する仕組みを提供しています。たとえば、ガスメーターに取り付けるIoT機器「スペース蛍」は検針業務にともなうコストや職員の負担軽減を果たすのみならず、従来よりも精緻なデータを取得可能にしました。

日本航空:AI・RPAによる自動化・効率化で人材は付加価値の高い業務に集中できる環境を構築

人財とテクノロジーを融合してDXへの取り組みを推進し、体験価値を最大化することをめざしています。たとえばAIとテクノロジーを活用して、非接触・非対面サービスを充実させ、顧客に確かな安心と心地よいサービス提供を実現させました。チェックイン端末のタッチパネルを非接触化したり、アバター式リモート接客を実施したり、モバイルアプリの活用などを充実させました。こうした業務の効率化と顧客の快適さを実現させながら、社内人財はより付加価値の高い業務に集中できる環境を構築しています。

トヨタ自動車株式会社:工場IoTでデータの有効活用や現有資産の最適活用を実現

工場のIoT化によって3D CADデータなどの既存のデジタル化データを一元管理することを実現させました。工場IoTは、次の5つの目的のために構築したものです。

  • 「現有資産の最大有効活用」:すぐに着手できるように既存の設備を活用しています。
  • 「拾い切れていない現場の困りごとをAIで解決」:データ分析を効率化しました。
  • 「FA機器類からのデータ授受」:ログデータとして現有資産に保管されたデータを有効活用します。
  • 「セキュリティ対策」:外部と接続するIoT工作機器などへの対応をします。
  • 「IE化されていない設備の標準化」:インターフェースの標準化をします。

こうした目的を持って構築された工場のIoT化は「開発」「市場」のデジタル化へと拡大し、連携させることで、情報共有基盤の強化につなげ、オールトヨタと顧客がつながる新しいものづくりの未来をめざしています。

株式会社LIXIL:LIXIL Data Platformを立ち上げデータの一元管理とノーコード開発ツールを導入。迅速な業務効率化を実現

生産性の向上をめざしてLIXIL Data Platformを立ち上げ、多様なデータを一元管理するクラウド型データ統合基盤を確立しました。さらに、現場のニーズに適した業務ツールを開発するためにノーコード開発ツールを導入しました。これによって、専門知識のない従業員であっても業務に必要なツールを開発、運用ができ、一段と業務の効率化を進めることができました。

キヤノン株式会社:モバイルワークの推進と情報の電子化などによって生産性向上

さまざまな視点から生産性の向上を図っています。その一つがモバイルワークの推進です。Microsoft365を活用してスマートフォンやモバイルPCからメールやスケジュール管理ができるほか、Web会議への参加もできる環境を構築。コミュニケーションツールや電子決済システムなどを導入し、場所、時間に拘束されずに働く環境を充実させることで生産性向上につなげています。また、RPAやBPOの活用によって基幹システムを刷新しました。これにより従業員は本来の業務に専念しやすい仕組みを取り入れながら、顧客へのタイムリーな対応をするためのプロセスを効率化させました。

株式会社ブリヂストン:熟練者のスキルをデジタルで標準化し、生産性向上や品質の安定化を担保

「よい大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に」をテーマとして長年現場で培った強いリアルとしての匠の技と、デジタルを融合させることでイノベーションの加速をめざした取り組みを進めています。そのひとつが匠の技を伝える技能伝承システムです。これは訓練時の作業をデータ化して、作業を定量的に分析・評価することができる教育システムであり、これを活用することで確実な技術が標準化され、安定した高品質の製品を作れる環境を構築しました。

旭化成株式会社:ビジネスモデル創出にデジタルプロフェッショナル人材育成の仕組みを強化

2024年度にはグループ全従業員がデジタルを活用することが当たり前となる「デジタルノーマル期」となることをめざした取り組みを強化しています。デジタルの活用においては、特許データから知的財産情報を分析し、自社のコア技術を把握したうえで経営戦略策定に活用しています。また、事業部門ごとの縦割り組織においてもDXを横展開していくために、デジタル共創本部を創設し、各事業部門と本部の連携体制を整えました。そして、社内外のデジタル関連人材との交流を深める機会を促進し、さらにデジタル人材の採用でデータプロフェッショナル人数の増強を図り、デジタルを使いこなせる人材を育てる仕組みを構築しています。

株式会社商船三井:安全運航の高度化とヒューマンエラー軽減にデジタル技術を活用

社内横断的にICTやデジタル技術を活用したさまざまな取り組みを進めるなか、安全運航の高度化への取り組みやデジタル技術を活用した新事業への意欲的な取り組みを行っています。

安全運航の高度化とヒューマンエラーの軽減をめざした取り組みにおいては、運航船約150隻から実海域の詳細な航海・機関データを収集してクラウド上のデータプラットフォームに蓄積し、それらを基に高度な運航モニタリングや推進性能分析のアプリケーションを開発しました。船陸間の連携を深化させるアプリケーションを通じて、さらなる安全運航強化と環境負荷低減の実現をめざしています。

東京センチュリー株式会社:RPAを活用し生産性向上とテレワーク体制を拡充

2つの方向性でDXに取り組みました。1つ目がデジタルを活用した生産性の向上です。2つ目は既存ビジネスの変革です。

生産性の向上についてはRPAを活用して、社内業務の見直しと効率化を図りました。手動で行ってきた入力作業といった単純作業をロボティクスに代替させ、人的リソースはもっと付加価値のある業務に専念できる体制を構築しました。一方、複数のロボットを活用するにあたり、メーカーごとに異なる複数のロボットを管理することが課題となりました。そこで、ロボットポータルサーバという社内のロボットを一元管理する統合プラットフォームを内製して構築しました。ロボットを管理するためのロボット体制を構築したことで、それぞれのロボットを効率的に管理しながら的確な作業が自動化できるようになりました。

ユニ・チャーム株式会社:デジタル技術を活用して新商品開発を強化

新商品の開発や改良、新規のカテゴリーの開発につながる顧客インサイトの発見を目的にDXに取り組みを進めています。そのなかで、デジタル技術を駆使して「デジタルスクラムシステム」を導入しました。このシステムは遠隔の現場における顧客の表情や、繊維の微細な変化、設備の点検や修理箇所の特定などが臨場感を持って把握できるというものです。このシステムを導入したことで、世界各国にある生産設備稼働の点検や調整が可能になったばかりでなく、幼児や高齢者、ペットの居住空間を24時間モニタリングすることも可能となり、顧客ニーズの即した新商品開発の可能性を高めています。

株式会社良品計画(無印良品):デジタルマーケティングを通して顧客が開発に参加する機会を提供するなど、顧客との結びつきを強化

MUJI Passportを導入して、オンラインとオフラインを横断した顧客とのコミュニケーションやマーケティング施策の可視化などに成功しました。これによって、顧客の好みや行動を分析し、ひとつの商品から得られた情報を他の商品にも応用したり、新店舗の戦略に活用したりしています。また、オンライン施策として顧客自身が商品に対しての使い方や意見を発信しやすくし、新たな商品開発のヒントとすることや、顧客が商品に主体的に関わっている実感を持つことができる状況を作ることで購買意欲の増大にもつなげています。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス:AIを活用して営業内容の標準化を実施し、生産性の大幅改善を実現

生産性の向上と新規ビジネスの創出を軸にDXを推進しています。営業部門における生産性の向上をめざした取り組みとしては、データベースマーケティングにAIを活用して、顧客データと顧客アンケートや株価などの外部データを加味したうえで、「商品別購買確率予測リスト」を作成しました。これを基に営業内容を標準化して、営業の質を安定化させたことで生産性の向上を実現しました。

株式会社日立物流:3つのDXソリューションを開発し、業務の最適化を図る

3つのDXソリューションを開発し、事業領域の拡大とともに、業界全体のDXにも貢献しています。 3つのDXソリューションは、サプライチェーンに関わるSCDOS(Supply Chain Design & Optimization Services)、輸送に関わるSSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)、Eコマース事業者向けに在庫保管・梱包・発想・データ連携という物流業務を自動化・標準化するためのSWH(Smart Warehouse)です。SCDOSは顧客のサプライチェーン上の情報を一元管理し、可視化して、課題を分析・解決するためのもので、シミュレーションによって業務の最適化を図ることができるシステムです。SSCVはIoTを駆使した輸送事業者の業務効率化と事故ゼロ化を支援するためのものです。これらのソリューションを活用・提供することで持続可能な物流の構築と新事業・サービスの創出もめざしています。

日本郵便:ドローンを活用して荷物輸送を開始。配達員の負担軽減と物流業界の人材不足へも対応

ネット通販が拡大するなか、物流量が増加しています。一方で人材不足は物流業界においても深刻な状況で、配達員の負担が増大する傾向にありました。そこで、輸送コストがかかる地域を優先的に選び、ドローンによる荷物輸送を開始しました。ドローンには自立飛行機能が搭載されており、陸路の配送や倉庫へは自動化できる仕組みになっています。現状は法律の規制があるため完全自動化配送ができる地域は限定的ですが、ドローン輸送を活用することで、配達員の負担軽減、配達時間の短縮の実現をめざしています。

株式会社今野製作所:プロセス参照モデルを活用して、業務を可視化し、プロセスの最適化を実現

複雑化した業務プロセス全体をフロー図化することで不足する人材や改善すべきポイントを明らかにするために「プロセス参照モデル」の活用を開始しました。これにより、事業のスタイルをオーダーメイド型に移行し、高い付加価値を生み出すことをめざしています。また、現状業務プロセスを可視化することで、設計業務と調達業務の間や在庫管理とエンジニアリング、販売管理の間で手作業によるデータ転記プロセスを自動化するなど業務効率化を図りました。

株式会社アイデン:職人の知見を標準化・可視化するデジタルツールを開発・導入し、作業と品質の安定化につなげる

主力事業である制御盤製造は配線作業が一点一様であったため、製造担当者の知見に依存していました。また、作業工程が分業できていなかったため、最初から最後まで同じ作業者が担当することになり、作業進捗や工程管理は担当者任せになっていました。こうした作業内容を行程ごとにデジタル化し、標準化・可視化しました。こうすることで、属人化していた作業の一部機械化を実現し、技能習熟度に応じた柔軟な分業体制が構築できるようになり、作業量の明確化、材料の必要量の把握、品質の安定なども図れるようになりました。

まとめ

業務効率化を図ることで、時間的なコスト削減、従業員のモチベーション向上、人的リソースの有効活用などさまざまなメリットがあります。これらはどれも生産性の向上をめざす際に実現していくべき項目でもあります。企業や組織全体のDXを進めようとする企業は少なくありませんが、一気に取り組んでもすぐに実現できるものではありません。部分的な課題や現場に即した対策を判断しながら進めるのが効果的です。

業務効率化を図るためのDXとして成功事例を参考に、まずは業務効率化には何をすべきか、自社の状況と照らし合わせヒントにしてください。