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ステークホルダーの多い貿易物流業界の情報連携を迅速にする、NTTデータ関西の打ち手とは?

 |  インタビュー

電子帳簿保存法における猶予期限を目前にデジタル化が一層加速する中、「自社はデジタル化を進めたい考えだが、取引先からは書類現物が郵送、FAXされてくることもしばしば……」といったケースも、まだまだ耳にする昨今。やり取りに関わる先が多ければ多いほど、こうした問題は複雑化しがちです。

今回は、NTTデータ関西 第二法人事業部の山田にインタビューしました。開発系エンジニア出身の営業職というマルチなキャリアを持つ山田。技術者としても、営業としても携わってきた貿易物流業界の抱える課題やその解決策について語ってもらいました。

プロフィール

株式会社NTTデータ関西 山田 隆史

山田 隆史 (やまだ たかし)

株式会社NTTデータ関西 第二法人事業部 第三ソリューション担当営業課長
海貨業者向けWeb基幹業務システム「海貨業務システム」、共同利用型貿易書類プラットフォームサービス「B2B TradeCloud®」を主力とする貿易物流をはじめ、ローコードツールとしての機能を持ち業務改善プラットフォームとして様々な特性を持つintra-martビジネスなどの営業を担当している。

技術者から営業へ、開発時に携わってきたシステムを提案する立場に

山田さんは、営業職に就く前は開発系エンジニアだったこともあるそうですね。

はい、入社当初は会計システムのSEとして業務に従事していました。その後、国内グループ会社へ生産管理システムを展開するプロジェクトのマネージャーや、intra-mart(NTTデータ イントラマート社が提供する業務改善プラットフォーム)をベースにした海貨業者向けWeb基幹業務システム開発のプロジェクトマネージャを担当してきました。その後、営業職として配属され、今に至ります。

営業職としては、エンジニア時代に携わっていた生産管理システムを海外へ納めるという社内初の案件や、会計システム「Biz∫会計」を担当した後、今回のテーマである貿易物流関連、先ほどの「海貨業務システム」や、共同利用型貿易書類プラットフォームサービス「B2B TradeCloud®」に関わるマネージャーとして対応しています。

貿易物流はステークホルダーが多く複雑で、なかなかデジタル化が進まない

貿易物流業界を担当しているとのことですが、今、業界全体としてはどのような課題を抱えているのでしょうか?

諸外国との国際物流における貿易業務の中でも、私が対応してきた範囲においての話ではありますが、以前からの紙文化が多く残っていると感じています。この業界は他の業界と比べてかなり関係するステークホルダーが多いのが特徴です。紙文化が残る背景として、荷主、物流業者、船舶・航空会社、保険会社など、国内外の関係者と密にコミュニケーションを取り、連携してようやく貨物が運ばれていくという成り立ちが影響しているのかもしれません。

連携するためには各種手続きが必要ですし、運ぶ貨物それぞれの荷姿などによっても、申請書類などが変わってきます。単に物を運ぶだけではなく、安全面なども確認しなければならないですから。こういった業務は、通関士という専門資格も必要なほど複雑化しているのです。

近年は業界を問わずデジタル化が進んでいますが、貿易物流業界ではそうした動きはあまり見られないのでしょうか?

いいえ、各ステークホルダーの方々との業務間連携を紙からデジタルへ改革していこうということで、2020年NTTデータを筆頭に民間大手十数社が出資して「株式会社トレードワルツ」を設立し、SaaSの貿易プラットフォーム「TradeWaltz®」を提供しています。

また、国土交通省も港湾管理者に関連する行政手続や調査・統計業務の電子化・効率化を図る「Cyber Port」を立ち上げ、運営しています。国も民間も一緒になって業界のデジタル化を進めているのです。こうして遅まきながら、貿易物流業界もデジタル化に向けて各社の取り組みが盛んになっているところではあります。ただ、業界としては依然紙の書類のやり取りが多く残っている印象ですね。

デジタル化がなかなか進まないのには、どういった事情があるのでしょうか。

輸出入の業務量が多い大手商社などは、デジタル化が業務効率化に直結しますからスピード感を持って取り組んでいる印象ですが、その一方で輸出入の業務量がそれほど多くない企業などは、プラットフォームや大掛かりなシステムを導入するにもコストがかかるということもあり、様子を見ているような感じもします。しかし、次のポイントとしては2024年、改正電子帳簿法によって電子取引の電子データ保存が義務化されますので、ここへ向けてより一層デジタル化が進むのではないかと見ています。

20年以上貿易業務の基幹システムをWebアプリケーションで運用してきた

業界全体の課題も解決が待たれますが、その一方で、特定のステークホルダーならではの課題などもあるのでしょうか?

「物流業者」の業務効率化ですね。いわゆる「荷主」は、商社や製造業などですから膨大な数の企業があります。その一方で物流業者は、荷主よりも数が少なく、1社で多数の荷主と取引するのが一般的です。さらに、荷主によって貨物の形態や、品目、例えば食物であれば検疫を通して……といった風に必要な手続きもさまざまに違いますから、物流業者のやるべき業務は「多くの荷主×それぞれ違う対応内容」で非常に煩雑になってしまうのです。

ただこの課題も、デジタル化による業務効率化が解決につながるはずですので、そこにどう貢献できるかが、今後の私たちの使命だと感じています。NTTデータ関西が扱っている海貨業務システムやB2B TradeCloud®は、今後TradeWaltz®との連携も目指しています。業務効率化への貢献はもとより、各ステークホルダー間のコミュニケーションを密に、円滑に進めるためにもお役に立てるはずです。

海貨業務システムならではの強みはどこにあると感じていますか。

海貨業務システムのベースになっているintra-martはリリースから20年以上になります。私たちも同じくして貿易物流業界への基幹システムとして船社システムを開発し、その後現在の海貨業務システムの開発に至ります。Webブラウザで操作できることから、クライアント端末にモジュールをインストールする手間も必要ないという、近年、ようやく当たり前になってきた仕様を、クラサバが主流だった当時から業界の先駆け的に展開してきました。それによって蓄積したノウハウは大きな強みではないでしょうか。業務システムにもいろいろありますが、intra-martは各業務システムをまとめる統一したプラットフォームとなり得ます。お客様がそれぞれのシステム間のマスタ連携等を意識することなく、同じプラットフォーム上にさまざまなアプリケーションが構築できるので、便利につながれるのです。

業務効率化で言えば、B2B TradeCloud®もお客様のお役に立ちそうです。

そうですね。プリンター複合機のメーカーなどは文書管理ソリューションを提供していることも多いですから、お客様にも「文書管理のシステムならもう持っている」と言われることはあります。でもそれは、「書類をデジタル化して、指定のフォルダーに入れて、タグをつけて検索しやすくする」というような、どんな業界・業種でも使ういわゆる汎用品です。B2B TradeCloud®は貿易物流業務の書類管理に特化しており、自社で管理するだけではなくステークホルダーの方々も利用できるため、メール等による書類のやり取りが省けます。また貿易文書の自動作成までもできるため、お客様の手を煩わせず業務の効率化が図れるのです。単純な文書管理だけではなく、さらなる付加価値が見込めます。逆に言えば「なかなかうちの業務にフィットするツールがない」と感じていらっしゃるお客様にピタッとはまるサービスだと思っています。

当初「貿易書類の文書管理システム」として打ち出した私たち自身ですら、お客様から「B2B TradeCloud®は輸出入の該非判定に使えないのか?」、「お客様とのやり取りを軽減するポータルサイトにB2B TradeCloud®が使えないのか?」といったお問い合わせを受けて、「これはもはや単純な『貿易書類の文書管理システム』ではないな」と感心しているくらいですから。

NTTデータ関西は貿易物流の知見を活かしさまざまな提案ができる

長年にわたり貿易物流に携わってきた経験やノウハウそのものも、活かされているのではないですか。

はい。だからこそNTTデータ関西は海貨業務システムやB2B TradeCloud®をベースにして、貿易物流の知見を活かしたさまざまなご提案ができます。グループとしても、NTTデータが通関情報処理システム「NACCS」の開発に携わっていて、そこにつながる国際貨物業務オンラインシステムも提供している。グループを挙げて貿易物流の課題解決をご提案できるのは大きな強みですね。

今後、貿易物流に関わるビジネスをどのように展開していきたいと考えていますか。

一般の方が、貿易物流を意識される機会はあまりないかもしれません。しかし実は、海に囲まれている日本だからこそ、日常生活に関わるさまざまなモノを輸出入なくしては語れない状況にありますし、今後はさらに活性化が見込まれます。私たちもその重要性を改めて認識しつつ、お客様の課題を解決することで、貿易物流に貢献していきたいと考えています。

この取材がきっかけで、これから輸入品などに触れる際の意識も変わりそうです。今後、貿易物流業界のデジタル化がスムーズに進み、携わっている皆様がより一層働きやすくなることを待ち望んでいます。