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複雑に連携させていた業務システムを一本化。
正確でスピーディーな業務を実現する。

本社を置く神戸をはじめ、東京・横浜・名古屋など、国内外の主要な港湾都市を拠点にして物流業や通関業を展開する義勇海運株式会社。メーカーや商社などの頼れるパートナーとして、海運を中心にしてスムーズなモノの流れを支える企業です。昭和初期から世界とつながり、また、海貨業界には独自の手続きや書類のやり取りがあります。それらは時代の変化に応じてシステム化が進められてきましたが、同社ではさらなる効率化をめざし、抜本的にシステムのリプレースを行うことを決断。そこで選ばれたのが、NTTデータ関西の「海貨業務システム」です。

課題

業務ごとにシステムが乱立しており、連携が複雑で非効率な業務の要因に

自社の独自システムでは将来の保守管理が不透明

効果

  • 自社の独自システムでは将来の保守管理が不透明

    すべての事業拠点で統一したシステムが利用できるようなった。そのことにより、郵送や書類の手渡しによる情報共有は不要に。情報をシステムに入力すると同時に、他拠点でも情報を共有できるようになった。
  • 業務システムが一元化され、ミスのリスクを低減
    海貨や通関、会計など、複数のシステムが存在していたことにより、情報の再入力が必要な場面があった。これらのシステムが一元化されたことで再入力は不要になり、ミスのリスクを低減できた。同様に、社外から受け取ったデータも取り込むことが可能になり、データ品質の向上につながっている。また、システムの刷新で業務効率と業務品質が向上し、 さらにBIツールとの連携が実現したことで経理業務、および経営判断のスピード向上につながった。
  • 仕事の「見える化」により、仕事への意識が向上
    全社的にシステムがつながり合ったことで、他拠点の仕事ぶりや自身の仕事の前後の工程が見えるように。刺激を受けたり責任感が高まったりと、仕事に対する意識が向上した。

導入以前のシステムと業務の状況は?
システム導入の狙いは?

加納氏

当社では30数年前からオフコンを利用し、自社開発したシステムを業務に用いてきました。ここに、今回のシステムリプレースに至る2つの大きな要因がありました。
1つ目は、システムを構築するOSや言語が一昔前のものであったことです。このため、取引先をはじめとして社外から受け取ったデータを、当社システムではひと手間加えて連携が必要という不便な状況を生んでいました。また、このOSや言語を扱える人材が社内にも限られており、将来的には「誰もシステムを触れない」という状況が生まれることが危惧されていました。
もう1つは、業務ごとにシステムが分かれていたことです。例えば当社では、お客様からの依頼を受けて荷物を受け取り、通関手続きをして船に荷物を積み込み、関係各所に支払いや請求を行うという業務を行っています。これらは1つの流れなのですが、使っているシステムは「海貨」「請求」「伝票」「会計」など、ばらばらになっていたのです。このことが業務の非効率化やミスの原因にもなっていました。

藤田氏

お客様から届いたエクセルのデータを取り込めないし、そのデータをそのままシステムへコピー&ペーストもできないという状況もありました。仕方なく自分たちで入力し直すのですが、時間がかかりますし、入力間違いも起こりかねません。業務の随所で、そういった不便さが生まれていました。

加納氏

現場から届くそういった悩みの声を受けて、解決するためその都度プログラムの追加や改修をしていました。業務システム間の連携も同様に、さまざまなプログラムを追加したり改修したりしてつなぎ合わせていました。しかし、そうすればするほど、全体としてのシステムは複雑になり、メンテナンスできる人が限られるようになり……という悩ましい状況に陥っていました。

武田氏

経営的側面から考えたとき、将来の維持管理は大きな問題でした。社内的にメンテナンスできる人材がいなくなることに加え、遠くない将来にはハードの更新時期もやってくる。課題の多い現在のシステムを更新費用を投じてまで使い続けるのか、それとも新たなシステムに切り替えるのかという判断が迫られていたのです。

パッケージとベンダー選びのポイントは?
導入開始までの期間中で印象的だったことは?

加納氏

いずれシステムのリプレースが必要になることはわかっていたので、10年ほど前から情報収集は行っていました。その結果、機能的には備わっているが、望んだように効率的に業務を行うことができないことから、パッケージシステムをそのまま導入することは無理だろうという答えに至りました。海運業・海貨業には他の業種とは違った業務や手続きが非常に多いので、一般的な業務システムを当てはめることは難しいからです。かといって、スクラッチで開発するのは大変です。となると、パッケージとスクラッチの中間的な存在で、当社の要望に合わせてカスタマイズしやすいシステムが望ましいことになります。そこで候補に挙がったのがNTTデータ関西の「海貨業務システム」です。「テンプレート型」と呼ばれ、必要な機能を取捨選択して組み合わせながら当社に合ったものを開発し、場合によってはカスタマイズできるところが、当社の事情にマッチしました。

武田氏

私たちの業務にとって欠かすことのできないのが、税関が用いているシステムである「NACCS」です。このシステムを開発したのがNTTデータであり、グループ会社であるNTTデータ関西もNACCSに精通しているという点は、非常に心強かったです。
作り込みの段階では、NTTデータ関西のみなさんの人となりが非常に印象的でした。今回のプロジェクトでは、「旧システムでできていたことを、不足なく新システムでも行える」ことが必達のゴールでした。そのためには、海運業・海貨業がどのような仕組みになっていて、私たちが旧システムを使ってどんなことを行っていたかを正確に理解してもらう必要がありました。システム開発を本業にされているNTTデータ関西の方にとっては難しい話も多かったと思うのですが、熱心に勉強し、理解に努めてくれました。

松田氏

私も、NTTデータ関西のみなさんの熱心な仕事ぶりが印象的でした。私たちユーザーの目線に立って提案をしてくれたり、細かな要望もなんとか実現しようと工夫してくれたことがとてもありがたかったです。

加納氏

旧システム時代に、請求と支払に関する情報は1枚の帳票に記載されていました。私たちはそれにすっかり慣れていたので、新システムでも同じような使用感にしたいと考えていました。これに関しては画面構成などさまざまな工夫と思考を凝らしカスタマイズを行っていただき、要望を実現することができました。

武田氏

データ移行をスムーズに行えたことも非常に助かりました。もちろん最終の詰めの時期には、当社メンバーもNTTデータ関西のみなさんも大変だったと思います。ただ、本番に向けて2回のテストを行い、課題点を抽出しては解決するというプロセスを重ねたことや、最終の移行に向けて綿密にコミュニケーションを重ねられたことが、スムーズなリプレースにつながったと感じています。非常にいい協力関係を築くことができました。

システム導入後、どのような変化や効果が現れましたか?

藤田氏

現場での業務レベルではさまざまな効果を実感しています。例えば業務のスピードアップです。これまでは帳票に記載される業務間で連携が必要な細やかな情報を拠点間で共有するには、帳票を郵送するしかありませんでした。当然、どんなに早くても発送の翌日まで相手先には帳票は届きません。投函したり宅配便に持ち込む時間の締切もありますから、それを逃すと1日遅れてしまうという不便さもありました。それが今では、システムにそれらの情報を入力すれば瞬時に共有できるようになりました。

松田氏

スピードアップという点では、離れた現場でも情報が共有されることが大きいですね。例えば事務所から現場に船積み指示を送る場合、旧システムでは指示書を出力し、捺印し、現場へ届けるというプロセスが必要でした。それが今では、システムに入力してクリックすれば完了です。文字通り、一瞬で指示が伝達できるようになりました。
また、情報の検索性が飛躍的に高まりました。旧システムには十分な検索機能が備わっておらず、台帳と突き合わせながら該当の情報を探していました。また、「探しやすいように」と、社員が自分で一覧表などを作っていました。それが新システムでは、ストレスなく探している情報を見つけられるようになりました。

加納氏

新システムでは、旧システムが抱えていた「業務ごとにバラバラのシステム」という課題を解決し、受注から輸出入手続、支払や請求の業務、債権や債務の管理まで、海貨業務を一元的に管理できるようになりました。その結果、同じ情報を入力し直す必要がなくなりました。これは業務のスピードアップを可能にすると同時に、誤入力のリスクを減らすことにつながりました。

武田氏

新システムの導入前は、拠点ごとで異なる業務に沿ったそれぞれのシステムを利用していたので、システムに登録された情報であっても拠点間で共有できないという課題もありました。それが今回のプロジェクトにより、全拠点でシステムが共通化されました。「どこにいても、どの情報も見ることができる」という状態になったのです。このことにより、「他の拠点はいま、どんな仕事の状況なのだろうか?」「自分が担当したあの仕事は、いま、どうなっているだろう?」といった、自分の仕事“以外”の部分に視野が広がりました。前後の工程が見えることで自身の仕事に対する責任感が高まったり、他拠点の仕事ぶりを見ることで刺激を受けたりという、マインドの面での効果も生まれたように思います。

今後の課題・目標は?

武田氏

先ほどお話したように、今回のプロジェクトでは「旧システムでできていたことを、不足なく新システムでも行える」ことをゴールにしていました。これは、「できることならこうしたい」という部分にまでは手を広げなかったという意味でもあります。今後はその部分に着手していきたいです。すでに、他拠点に比べて量産品を扱うことが多い拠点の要望を受けて、量産品対応の機能追加をしました。こういった、プロジェクトの“第二期”ともいえる取り組みを進めていきたいです。

加納氏

メンテナンス体制の構築が課題です。これまではずっと社内でメンテナンスをしてきましたから、ある意味、融通が効きました。それに、コストもさほど気にする必要がありませんでした。それが今後は、社外に依頼することになります。どこまでお願いしていいのか、どんなフローで依頼するのか、費用はどうするのかなど、快適で安定的にシステムを運用するための仕組みを作っていきたいです。

武田氏

新システムでは、経営に活かすことができる情報を簡単に抽出するBIツールとも連携されています。これを有効活用し、情報システムが業務だけでなく経営にも貢献できるようにしたいと考えています。

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