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グループ販社の営業力強化が急務!
SFA/CRM基盤の構築で情報共有の一元化が可能に

フォークリフトをはじめ、物流システム・港湾荷役システムなど、世界のあらゆる物流シーンで活躍するソリューションを手掛ける総合物流機器メーカーの三菱ロジスネクスト。
国内フォークリフトメーカー4社を源流に発足した同社は、日本国内に9社の地域販売子会社(以下:販社)を保有。販社もこれまでの再編に伴いサイロ化し、顧客情報管理、営業活動管理に課題を抱えていました。この課題を解決するために販社全体の営業情報一元化を目指すSFA/CRM基盤構築プロジェクトを始動。その基盤として選定されたのが、NTTデータ・NTTデータ関西が提供する「Salesforceソリューション」でした。本番運用後は販社全体の情報共有や業務平準化、効果的な営業活動が可能になり、営業力強化につながっています。

課題

営業部門の業務プロセスや情報管理が販社ごとにばらばらの状態になっていた

Excelベースの業務フローだったため営業活動が属人化し、本社(メーカー機能)側から販社の営業現場が見えにくいという課題を抱えていた

顧客や案件の情報を販社間で共有できておらず、グループ力を生かした一体としての営業活動ができていなかった

帳票の二重管理や日報等の報告は帰社しないと対応できない業務で営業の事務的負荷が高く、本来営業が多くの時間を割くべき訪問活動が思うようにできていない状態であった

効果

営業活動に関する情報がリアルタイムに共有できるようになり、スムーズな商談や効率的な営業活動が可能になった

顧客情報をはじめ、関連する案件や訪問活動の情報の一元管理化が可能となり、さらにそれらを本社、および販社間で情報共有することで、グループ力を強みとした営業力の強化につながった

情報の一元化により二重管理をなくし、またモバイルアプリの導入により営業活動の業務効率化につながった

NTTデータ関西による定着化支援により、導入して1年が経った今も100%近いログイン率を維持し、さらなる活用促進も進められている。またヘルプデスクを担当する情報システム部門の業務負荷を大幅に軽減できた

販社ごとに情報管理がばらばらで営業現場が“見えにくい”状態に

三菱ロジスネクストは、三菱重工グループの国内大手総合物流機器メーカーです。日本輸送機(ニチユ)が三菱重工業のフォークリフト事業を継承して設立したニチユ三菱フォークリフト、およびTCM(日立建機グループ)と日産フォークリフトの合併で設立されたユニキャリアを前身とし、両社が経営統合する形で2017年に発足しました。現在も源流企業由来である「ニチユ」「三菱」「TCM」の各ブランドを引き続き使用し、世界のあらゆる物流ニーズに応える輸送・物流機器を提供しています。
このような経緯からしばらくの間は旧ニチユ三菱系と旧ユニキャリア系の販社ネットワークを維持していた同社でしたが、2020年10月に強固な販売体制を確立するために2系列11社あった直系販社を1系列9社へ再編しました。ところがこの販社の再編にあたっては、大きな課題がありました。


早野氏

これまでは営業部門の業務プロセスや情報管理が販社ごとにばらばらで、業務が属人化して効率的な営業活動が難しい状況でした。本社側でも営業の現場が見えにくいことが大きな課題となっていました。

この課題を解決するために、三菱ロジスネクストは本社主導による新たな営業支援・顧客管理システムの導入を検討。業務部門とIT部門が一丸となって「SFA/CRM基盤構築プロジェクト」を立ち上げました。


長山氏

新会社発足後に進めてきた基幹システムの統合が完了して一段落したこともあり、それまで手付かずだった営業支援・顧客管理システムの整備に向けたプロジェクトをスタートさせました。

機能性やコスト面を評価しSalesforceを導入、NTTデータの課題解決力と提案力にも期待

SFA/CRM基盤構築プロジェクトを立ち上げた三菱ロジスネクストが最初に取り組んだのが、営業現場への聞き取りと現状把握でした。


長山氏

営業関連システムを導入する際には、現場に『使いたい』という意思がなければ失敗することも考えられます。これを避けるためにも、まずは本社の業務部門と直系販社からの聞き取りを入念に行って現状を把握するところから始めました。

続いて進めたのが、システム基盤として導入するソリューションの選定でした。

長山氏

基幹システムの統合によって顧客マスターがすでに完成していたこともあり、基幹システムと連携できることを前提にソリューションを調査しました。複数のソリューションを比較検討した結果、『大口顧客の情報を一元的に管理しながら販社ごとの権限設定が柔軟に行えること』『複雑なカスタマイズを行うことなく、ローコードで迅速に開発し、導入後も柔軟に当社の要望をかなえられそうなこと』を評価し、『Salesforce』が有力な導入候補に挙がりました。
しかし、当社の業務部門や営業現場が必要とする機能要件、導入・運用にかかるコスト負担の観点から、Salesforceを選んでよいのか決めあぐねていました。

そこで、販社が使用する販売管理システムの導入・運用で取引関係にあったNTTデータ関西に相談を持ち掛けました。NTTデータ関西は、Salesforceビジネスの経験豊富な親会社のNTTデータも巻き込み、我々の望む要望に対し、様々なソリューションの比較検討まで含めた提案をしてくれました。

荻野氏

NTTデータからは『要件に合わせて作り込みが必要な他社のSFA/CRMソリューションよりもSalesforceのほうが適していること』『Salesforceの複数の種類のライセンスをハイブリッドで利用すれば高額なライセンスコストを抑えながら要件を実現できること』といったメリットを挙げ、三菱ロジスネクスト様にはSalesforceが最適であることを改めて提案しました。

この提案内容や実績を総合的に評価し、三菱ロジスネクストはSalesforceの導入を決断。NTTデータ・NTTデータ関西をプロジェクトのパートナーに迎えることにしました。


早野氏

私たち業務部門もパートナーの選定には深く関与しましたが、NTTデータ・NTTデータ関西からは『一緒につくり上げていこう』という気構えを強く感じました。従来からの取引関係から当社の内情を深く理解しているという安心感も、NTTデータ・NTTデータ関西をパートナーに選んだ決め手になりました。提案内容も現場の課題感を汲み取った解決策を先回りした非常に良いものであり、『この人たちならば大丈夫』という信頼感も持てました。

本社・販社間でのリアルタイムの情報共有によりスムーズな商談と業務効率化が可能に

プロジェクトの開始前には、約2か月間の短期集中で、改めてビジョンの合意、構想策定を実施し、要件を固めていきました。その後構築プロジェクトをスタート。そこから基盤構築と開発を進め、現在、Salesforceを基盤とした営業支援・顧客管理システムを国内9販社、1,000名以上の営業関連部門担当者が日々利用しています。


早野氏

私たち業務部門が感じた最大の導入効果は、お客様への営業活動に関する情報が本社と販社の間でリアルタイムに共有できるようになったことです。これまでは全国各地で取引している大口のお客様であっても、東京の商談内容が近畿の販社に情報共有に時間がかかり、効果的な営業活動が困難でした。それが今回のSalesforceによって商談内容や顧客情報などがリアルタイムかつ自動的に連携するため、いつどこでどのような取引があったのかを把握したうえでスムーズに商談を進められるようになりました。

さらに、営業担当者ごとにばらつきのあった業務の平準化も実現できています。過去の取引実績の確認、商談の進捗管理や営業日報の入力などもスマートフォンを使って外出先からできるので、営業担当者の業務効率化にもつながりました。
また機種ごとの引合台数、受注した台数、受注が決まるまでの期間といった詳細な情報もつぶさに入手できるようになり、「引合が何台あるから今月中に何台の受注が見込まれる」といった予測分析も可能になったこともSalesforceの導入効果だと実感しているそうです。ただし、受注台数や売上増といった具体的な数字で示すことのできる定量的な導入効果が実際に表れてくるのはこれからになると早野氏は話します。
一方、営業現場へのSalesforceの導入に関しては、NTTデータ・NTTデータ関西から手厚い支援を行いました。


久保田

運用開始にあたっては、当社(NTTデータ関西)から操作マニュアルを提供しました。また各販社の現場に定着させるため、三菱ロジスネクスト様とともに各販社を行脚し、教育トレーニングに協力させていただきました。現在は週次のミーティングを開催することで絶えずご要望を吸い上げ、継続的にシステムを進化させていくとともに、データ活用やSalesforceを活用した現場のマネジメント手法など、よりステップを進めた内容にもお客様と一緒に取り組んでいます。結果的にこれら取り組みが三菱ロジスネクスト様ならびにNTTデータ・NTTデータ関西における関係性の強化にもつながっていると感じています。

こうしたNTTデータ・NTTデータ関西の支援が奏功し、現在はIT部門の運用負荷も大きく軽減されているとのことです。


長山氏

運用フェーズに入ってから私たちIT部門は主にヘルプデスクを担当しています。内容を取りまとめてNTTデータ関西へ問い合わせをするという業務が中心ですが、運用開始から丸1年が経過した現在は、問い合わせ数も落ち着き、業務負荷を感じることはありません。

MAツールとの連携による受注拡大に向けた施策への活用に期待

こうしてSalesforceの運用が軌道に乗った三菱ロジスネクストでは、今後もSalesforce活用の幅を広げていく方針です。


早野氏

いま進めているのは、製品が受注した理由から自社の強みを分析するという取り組みです。営業活動の状況と受注台数・受注率の相関関係から受注見込み台数を予測することも可能になったので、今後は失注した商談の要因分析も行いながら、受注拡大に向けた施策を講じていくために活用していく予定です。

また今後の取り組みとして、マーケティングオートメーション(MA)ツールとの連携も検討しています。


早野氏

主力のフォークリフト事業だけでなく、これから成長が見込まれる物流システム事業の発展を支えていくためにも、イベント・展示会で入手した見込み客の情報を効率よく商談に結び付けていくことを視野に入れています。

NTTデータ関西は引き続きSalesforceの運用を支援し、三菱ロジスネクスト様のさらなる営業力強化に貢献していきたいと考えています。


Salesforceによる情報流の変化

図1 Salesforceによる情報流の変化

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※本文中表記のお客様の部署名・ご担当者などの諸情報は、取材当時のものです。