学校現場が抱える最新の教育問題を徹底解説!小中高から大学まで、ICT活用による解決事例も紹介

変化の激しい現代社会において、学校現場ではさまざまな教育問題が浮上しています。長時間労働に悩む教員、増加の一途をたどるいじめ問題、ICT活用の遅れなど、課題は山積みです。また、生成AIの登場により、新たな問題への対応も迫られています。
こうした教育課題は初等中等教育だけでなく、高等教育機関である大学においても深刻化しています。それぞれの教育段階で適切な対応が求められる今、デジタル技術を活用した問題解決が注目されています。
本記事では、学校現場が抱える最新の教育問題を小中高から大学まで幅広く解説するとともに、それらの問題解決につながるNEXT GIGAや大学DXソリューションについて詳しく解説します。
目次
学校現場が抱える5つの教育問題
学校現場が抱える問題は、社会情勢や時代の流れとともに移り変わります。ここでは、小中学校における最新の教育課題を5つご紹介します。
1.教員の長時間労働と休日勤務
現代の教育現場における大きな問題のひとつが、教員の長時間労働と休日勤務です。
令和4年度に実施された文部科学省による「教員勤務実態調査(令和4年度)」によると、平成28年度と比べて在校時間は減少しています。しかし、平日1日あたりの在校時間は約10〜11時間と、労働時間は依然として長く、長時間労働の問題は残されたままです。また同調査によると、土日も30分から2時間ほどの勤務が発生しています。
こういった労働の負担が重なると、教員のメンタルヘルスの問題が起こる可能性もあります。問題解決のために、勤務時間の適正化や業務の効率化を早急に進める必要があるでしょう。
2.いじめ問題の増加
いじめ問題も深刻化しています。文部科学省が令和5年度に発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、小・中・高等学校及び特別支援学校のいじめ認知件数は732,568件にもおよび、過去最多を更新しました。
令和2・3年度は新型コロナウイルスの影響により、いじめの件数が減少・横ばいに抑えられていたものの、令和4年度では再び増加傾向が見られました。
認知件数が増加した要因のひとつには、アンケートや教育相談などいじめに気づきやすい仕組みづくりが強化されたことが挙げられます。
いじめが見逃されにくくなっているという点では状況は改善しているともいえますが、いじめ件数の減少にはつながっていません。引き続き早期発見・早期対応のための相談体制の強化と、いじめ減少に向けた取り組みが求められます。
教育におけるウェルビーイングの追求については、こちらの記事もご覧ください。
3.ICT活用への対応
学校教育のICT化が加速しています。具体的な取り組みとしては、文部科学省のGIGAスクール構想に基づいた、全国の小中学校での1人1台の学習用端末と高速ネットワーク環境の整備が挙げられるでしょう。こういったICTの普及に対して、教員のICT活用指導力には課題が残ります。ICT機器の操作に不慣れな教員も多く、効果的な活用方法の習得が必要です。
また、導入するツールの選定や、指導方法の策定なども各校が積極的に取り組む必要があります。社会情勢の変化やテクノロジーのアップデートが激しいなかで、柔軟ですばやい対応が求められるでしょう。
4.生成AIの適切な活用
生成AIの活用も教育現場において注目されていますが、その適切な運用には課題が残ります。特に、保護者からの理解を得ること、個人情報の保護、著作権侵害への対応などが重要です。
政府からは「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」も発表されています。ガイドラインでは、生成AIの概要や教育利用における方向性や注意点についてまとめられています。
こういったガイドラインをうまく活用しながら、各校がAI対応の方針を定めていく必要があるでしょう。
教育現場を含めた自治体のAI活用事例については、こちらの記事もご覧ください。
5.問題を解決できる教員の不足
教育現場では、こどもの多様性や社会の変化に対応できる教員が不足しています。
特に、上述したICTを活用できるデジタルに強い教員(DX人材)の不足が顕著です。デジタル端末の操作スキルだけでなく、ICTを活用した授業設計や、データを活用した児童生徒の学習状況の分析など、求められる能力は多岐にわたります。
また、いじめや不登校など複雑化する教育課題に対応できる専門性を持った教員の確保も急務です。この問題を解決するためには、教員の採用と育成において新たなスキルセットの獲得を支援する体制づくりが必要です。
DX人材の概念や育成については、こちらの記事もご覧ください。
高等学校が抱える教育課題
高等学校では、小中学校で顕在化している問題に加えて、高校特有の課題も浮上しています。
大学入試改革への対応や探究学習の導入など、新しい教育方針への対応が求められています。また、進路指導の複雑化や、普通科・専門学科・総合学科それぞれの特性に応じた教育内容の充実も課題です。
さらに、高校生特有のSNSトラブルやネットいじめ、進路選択にかかわる情報格差など、デジタル社会特有の問題も深刻化しており、ICTリテラシー教育やキャリア教育の重要性が高まっています。こうした課題に対しても、GIGAスクール構想で整備されたICT環境を活用した解決策が期待されています。
教育問題の解決につながる「NEXT GIGA」とは
NEXT GIGAは、GIGAスクール構想の次の段階を指す言葉です。GIGA2.0やアフターGIGAと呼ばれることもあります。GIGAスクール構想の概要とあわせて、これから取り組むべきNEXT GIGAについて詳しく見ていきましょう。
GIGAスクール構想とは
GIGAスクール構想は、すべての児童・生徒にICTを活用した教育を提供することを目指した取り組みです。
この構想は、日本のICT利活用の整備状況がぜい弱で世界に遅れを取っていることから、文部科学省が推進している構想です。
特に、全国の小中学校の児童に対して、1人1台学習端末を配布し、個別最適化された学習環境を提供することを大きな目的として掲げています。これにより、教育の質の向上と、児童・生徒一人ひとりに合わせた学びの実現が期待されています。
NEXT GIGAの目的
GIGAスクール構想により、全国の小中学校で1人1台端末と高速ネットワークの整備がほぼ完了しました。
NEXT GIGAでは、GIGAスクール構想の実施のあとに残された課題の解決を求められています。具体的には、自治体によってICT活用の進行度にばらつきがあることや、教員の指導力不足が挙げられます。
こういった課題の解決を進めながら、ICTを活用した学びの充実や働き方改革のさらなる推進を目的としています。
大学が抱える教育問題
高等教育機関である大学においても、さまざまな課題が顕在化しています。初等中等教育とは異なる固有の問題に直面しており、デジタル技術を活用した抜本的な改革が求められています。
| 課題 | 影響を受ける領域 | 主な問題点 |
|---|---|---|
| 業務効率化の遅れ | 教育・研究・経営 | データ分散、二重入力 |
| デジタル化の遅れ | 学生サービス | 手続きの煩雑さ |
| システム選定の難しさ | 情報システム部 | 専門知識の不足 |
| データ活用の遅れ | 大学経営 | 統合分析不可 |
1.複雑化する大学業務と業務効率化の遅れ
大学では、教育・研究・経営という3つの領域それぞれで業務が複雑化しています。学生情報の管理、履修登録システム、成績管理、研究費の管理、施設予約など、多岐にわたる業務がシステム間で連携されておらず、職員の業務負担が増大しています。
特に、複数のレガシーシステムが並立している大学では、データの一元管理ができず、業務の属人化や二重入力などの非効率が発生しています。こうした状況は、限られた人的リソースのなかで大学運営の質を低下させる要因となっています。
2.デジタル化の遅れと学生サービスの質
多くの大学では、紙ベースの手続きや対面での窓口対応が依然として残っており、学生サービスのデジタル化が遅れています。履修登録、証明書発行、奨学金申請などの手続きに時間がかかり、学生の利便性が低い状況です。
また、コロナ禍を経てオンライン授業の環境は整備されたものの、対面授業とのハイブリッド化や学習履歴のデータ活用など、次世代の教育サービスへの展開は十分に進んでいません。学生のニーズに応える質の高いデジタルサービスの提供が課題となっています。
3.システム選定と導入の難しさ
大学がDXを推進しようとする際、最大の障壁となるのがシステム選定と導入のプロセスです。市場には多様なソリューションが存在する一方で、大学の実情に合ったシステムを選定する専門知識を持つ人材が不足しています。
また、現行業務の可視化が不十分なまま新システムを導入すると、かえって業務が複雑化したり、投資対効果が得られなかったりするリスクがあります。システム導入には、大学業務とIT業界のトレンドへの深い理解を両立した専門的なコンサルティングが欠かせません。
こうした課題に対して、NTTデータ関西の「大学向けシステム導入コンサル」では、現行業務の可視化と要求仕様書の作成を支援し、費用対効果の高いシステム導入を実現します。
4.データ活用による意思決定の遅れ
大学経営においては、エビデンスに基づく意思決定(EBPM)の重要性が高まっています。しかし、多くの大学では学生データや財務データ、研究データなどが分散しており、統合的なデータ分析ができていません。
学生の学習状況や中退リスクの早期発見、研究成果の可視化、経営資源の最適配分など、データを活用した戦略的な大学運営が求められているなかで、データ基盤の整備とデータリテラシーの向上が急務となっています。
こうしたデータ基盤の整備とデータ活用を包括的に支援するのが、NTTデータ関西の「Plat-Campus」です。教育・研究・経営データを統合管理し、戦略的な大学運営を実現します。
NTTデータ関西による大学運営支援の取り組みについては、次の担当者インタビューをご参照ください。
学校現場が抱える問題を解決するための3つのポイント
NEXT GIGAや大学DXを実現させ、教育問題を解決していくためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- ICT利活用の格差をなくす
- 教育DXを積極的に進める
- 日常的にデジタルツールを活用する
ICT利活用の格差をなくす
初等中等教育では、GIGA構想によるICT環境の整備は全国で進んでいますが、活用状況には自治体間で差が見られます。高等教育においても、大学間でデジタル化の進展に大きな差があります。
児童生徒や学生の学習機会の平等を保障する観点から、ICT教育の底上げが急務です。国は自治体や大学の取り組み事例を共有しながら、全国的な水準確保に向けて支援を強化する必要があります。
教育DXを積極的に進める
国からの支援もうまく活用しながら、教育現場では積極的にDXを進める必要があります。
教育DXを成功させるためには、デジタル技術の導入と運用に精通した教員の育成が不可欠です。また、学校現場でのICT活用を支援するための体制整備も重要です。教育DXを推進することで、教育の質を向上させるとともに、児童・生徒の多様なニーズに応えられるでしょう。
教育DXについては、こちらの記事もご覧ください。
日常的にデジタルツールを活用する
日常的にデジタルツールを活用できる環境を作ることで、ICT活用を効率的に進められます。自治体や教育現場はその環境づくりに取り組み、保護者や児童は習慣化できるよう意識することが重要です。
特に、オンライン授業やデジタル教材の活用を促進し、児童・生徒の学びの幅を広げることが求められます。これにより、児童・生徒の学習意欲を高め、個別最適化された教育を実現しやすくなるでしょう。
学校の問題解決に向けたICT活用事例
学校の問題解決に向けて、全国の教育現場ではICTをどのように活用しているのでしょうか。ここでは、初等中等教育から高等教育まで、実際に成果を上げている具体的な事例をご紹介します。
事例1. 大阪府枚方市|相談チャットアプリでこどもに関する問題を早期発見
枚方市では、いじめ問題をはじめとしたこどもに関わる問題の早期発見・早期対処を実現するために、こども相談チャットアプリを導入しました。問題の早期発見には、こどもが悩みを早急かつ気軽に相談しやすいアプリやオンラインシステムの活用が有効です。
心身の状況に関するアンケートを定期的に実施して不調を早期に発見したり、匿名相談チャット機能で小さな悩みでも相談しやすい環境を整備したりしています。
枚方市では、2024年5月時点で63校3万人弱の小・中学生がこのアプリを活用しながら、相談や悩みの解消につなげています。
GIGAスクール端末を支給されていない学生は、スマートフォンやパソコン・タブレットからアプリを利用できます。
事例2. 北海道石狩市|ドリルソフトで習熟度に合わせた問題を提供
石狩市では、児童一人ひとりに合わせた学習を提供するため、習熟の程度や誤答傾向に応じた情報端末向けのドリルソフトを活用しました。
ドリルでは、児童の理解度ごとに異なる問題が出題されるので、児童は自分のペースで効率的に学習を進められます。
また、ドリルには学習履歴も残るため、個人の進捗や誤答傾向に加え、クラス全体の傾向も把握できます。教員は、こうしたクラスの傾向や習熟度を踏まえた授業を実施できるので、適切な指導につながります。
事例3. 山形県寒河江市|自宅でのタブレット活用でICT活用を日常化
寒河江市は、ICT活用を日常化させるため、タブレットPCを自宅に持ち帰ってもらい、自宅から授業を受けられるようにしました。
具体的には、タブレットPCで国語科課題のパンフレット制作を行っています。
また、制作したパンフレットは電子黒板に掲示して、オフラインの授業でクラス全体へ共有し感想を交換しています。
学校でも自宅でも、ICTを活用する環境をつくることで、ICT活用の習慣化を実現させています。
事例4. 大阪経済大学|システム導入コンサルで学事システムの老朽化問題を解決
大阪経済大学では、学事システムの老朽化とカスタマイズ肥大化による課題を解決するため、「大学向けシステム導入コンサル」を導入しました。人的リソースが不足するなか、各部署のヒアリングを専門家が担当することで、RFPの作成を効率化できました。
このコンサルティングにより、膨大な業務要件の整理と長期利用可能なシステム構想の策定が実現しました。また、専門家の支援によってベンダー選定時の費用対効果分析も行われ、教職員の負担を大幅に軽減できています。
構築フェーズでも協力が継続され、将来の業務拡大に対応したDX基盤の強化が進んでいます。大学のシステム更改モデルとして参考になる事例です。
本事例の詳細については、次のページをご参照ください。
まとめ:学校現場が抱える問題の解決には教育段階に応じたICT活用
教育現場が抱える多くの問題に対処するためには、最新の情報と事例をもとにした対応が求められます。
小中学校では、教員の長時間労働の改善やいじめ問題の対策、ICTや生成AIの適切な活用、そして問題を解決できる教員の育成が不可欠です。GIGAスクール構想やNEXT GIGAの実現に向けて、自治体間の格差をなくし、教育DXを推進することが求められます。
高等学校では、大学入試改革や探究学習への対応、多様な学科特性に応じた教育の充実、そしてICTリテラシー教育やキャリア教育の強化が重要な課題です。
大学では、複雑化する業務の効率化、学生サービスのデジタル化、適切なシステム選定と導入、データ活用による意思決定の高度化が課題です。包括的なDXソリューションと専門的なシステム導入コンサルティングを活用することで、これらの課題を効果的に解決できます。
初等中等教育から高等教育まで、それぞれの教育段階に応じたICT活用の取り組みを通じて教育現場の課題を解決することで、より良い学習環境を提供できるでしょう。
NTTデータ関西の提供する「Plat-Campus」は、大学のDXを実現するための基盤と仕組みを構築し、教育・研究・経営の高度化や新たな価値創出を支援します。これからの社会に求められる大学モデルの創造を促進し、未来への跳躍を果たすことを目指しています。







