銀行(金融機関)の相続手続き業務をデジタル化|システム導入で実現する業務効率化と顧客満足度向上

銀行の相続手続きは平均1〜2カ月を要し、複数の書類提出と来店が必要となる煩雑なプロセスです。高齢化社会の進展により相続件数は年々増加し、それに伴い金融機関でも手続き業務の負荷が増大しています。デジタル化により手続き期間を大幅に短縮し、顧客満足度を向上させながら行員の作業時間を削減できる事例が増えています。
本記事では、相続手続きのデジタル化を実現するシステム導入の具体的な方法と期待される効果について解説します。
目次
相続手続き業務が抱える課題
相続手続きは金融機関にとって避けられない業務でありながら、多くの課題を内包しています。手続きの複雑さは顧客の負担となるだけでなく、金融機関側の業務コストも増大させる要因となっているのです。
煩雑な手続きプロセスによる顧客負担
相続手続きでは、戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書、登記簿謄本、遺言書(ある場合)、被相続人の除籍謄本などを含め、10種類以上の書類が必要となるケースが一般的です。相続人全員の印鑑証明書を揃えるだけで数週間を要することは珍しくありません。
複数回の来店が求められる現状は、遠方に住む相続人にとって大きな負担となります。特に高齢の相続人は移動自体が困難な場合もあり、手続きの遅延につながっています。書類の不備による差し戻しも頻発し、顧客の不満が蓄積する結果となっているのです。
金融機関側の業務負荷増大
相続案件は書類の確認や審査に多くの時間を要します。書類の確認作業は細心の注意を要し、専門知識を持つ行員の配置が不可欠です。
また、高齢化社会の進展により、相続件数は今後さらに増加することが見込まれています。現行の手続き体制では対応しきれない事態が目前に迫っているのです。人材確保が困難ななか、業務効率化は喫緊の課題となっています。
コンプライアンスリスクの増大
相続手続きでは本人確認や相続権の確認が法的に求められます。書類のチェック漏れは法的トラブルに直結するリスクを抱えているのです。
手作業による確認作業ではヒューマンエラーを完全に排除することは困難です。特に相続人が多数に及ぶ案件では確認項目が膨大となり、ミスの発生確率が高まります。デジタル化によるチェック機能の標準化がリスク低減のカギとなっています。
デジタル化がもたらす3つのメリット
相続手続きのデジタル化は、顧客体験の向上と業務効率化を同時に実現します。投資対効果の高い施策として、多くの金融機関が注目している領域です。
金融機関全体のDX推進についてより詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
金融業界に新たなビジネスモデル創出とデータドリブン経営を実現するためにもDXは必要
申請・審査手続き期間の大幅短縮
オンライン申請システムの導入により、書類提出から審査完了までの期間を大幅に短縮できます。システムによる一元管理で書類管理や審査プロセスが効率化され、確認作業もスピードアップします。手続き期間の短縮は、相続人などの当事者の精神的な負担軽減にもつながります。
業務の可視化による処理時間と保管コストの削減
システム化により一件あたりの処理時間を大幅に削減できます。システム上での進捗管理により業務の可視化が進み、管理コストの削減にもつながります。削減された時間をより付加価値の高い業務にシフトすることで、金融機関全体の生産性向上が期待できるのです。
来店不要の手続きによる顧客満足度の向上
来店不要で申請手続きが完結するオンラインサービスは、顧客の利便性を大きく高めます。進捗状況をリアルタイムで確認できる機能は、不安の解消にもつながっているのです。
24時間いつでも手続きを進められる環境は、働く世代の相続人にとって特に価値があります。スマートフォンからの申請にも対応することで、デジタルネイティブ世代のニーズにも応えられます。顧客体験の向上は、金融機関のブランド価値向上にも寄与しているのです。
相続手続きデジタル化の実装方法
効果的なデジタル化を実現するには、段階的なアプローチが重要です。業務フローの見直しとシステム選定を適切に行うことで、スムーズな導入が可能となります。
業務フローの可視化とボトルネックの特定
デジタル化の第一歩は現行の業務フローを可視化することです。各工程にかかる時間とコストを数値化し、ボトルネックを特定します。
行員へのヒアリングを通じて、現場が感じている課題を収集することも重要です。顧客からの問い合わせ内容を分析すれば、改善すべきポイントが明確になります。データに基づいた課題設定が、効果的なシステム導入につながるのです。
必要な機能の明確化と既存システムとの連携設計
必要な機能を明確にすることがシステム選定の基盤となります。オンライン申請機能、審査プロセスの効率化、進捗管理機能は基本要件です。
他のシステムとのデータの受け渡しも考慮する必要があります。データを既存の管理システムで活用できる形式で出力できることで、業務全体の効率化が進みます。将来的な機能拡張も見据えた柔軟な設計が望ましいでしょう。
ベンダー選定と導入計画
金融機関向けの実績を持つベンダーを選ぶことが重要です。導入後のサポート体制や法改正への対応力も重要な選定基準となります。
また、計画的な導入スケジュールにより、リスクを最小化できます。事前の要件整理と行員への十分な説明・研修を経てから本稼働することが重要です。導入後のサポート体制も確認しておくことで、スムーズな業務移行を実現します。
相続手続きの負担を軽減するサービス
NTTデータ関西では、相続人が複数の利用金融機関に対し、オンライン上で一括で相続手続きを申請できる受付サービス「TSUGI+(つぎたす)」を提供しています。
相続人は銀行窓口へ何度も足を運ぶことなく、共働き世帯や遠方に住む相続人にとって便利なサービスです。また、手続きに不慣れな人でも安心して利用できる使いやすい操作性になっています。
金融機関は、対面受付業務の負担を軽減でき、被相続人や相続人へのコンサルティング業務など、より付加価値の高いサービスに時間をあてることができます。
詳しくは以下のニュースリリースを参照ください。
業界初、相続手続きをオンラインで一括申請できる受付サービス「TSUGI+」を提供開始~相続人と金融機関の相続手続の負担を軽減~ | ニュースリリース・お知らせ
導入時に考慮すべきポイント
システム導入を成功させるには、技術面だけでなく組織面の準備も欠かせません。リスク管理と変革管理を適切に行うことが、効果的な運用の基盤となります。
セキュリティ対策の徹底
相続手続きでは機密性の高い個人情報を扱うため、堅牢なセキュリティ対策が必須です。適切な認証機能の導入により、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
データの暗号化は通信時だけでなく、保管時にも適用する必要があります。定期的な脆弱性診断とセキュリティアップデートにより、最新の脅威にも対応します。金融機関向けのセキュリティ基準をクリアしたシステムを選ぶことが重要です。
法規制への対応
相続手続きに関する法律は不定期に改正される可能性があります。システムが法改正に柔軟に対応できる設計となっているか確認が必要です。
電子署名法や本人確認に関する規制を遵守する機能も不可欠です。監査証跡を自動で記録する仕組みがあれば、コンプライアンス対応も効率化できます。ベンダーが法改正時に迅速にシステムを更新できる体制を持つことも選定基準となります。
組織体制の整備
デジタル化により業務フローが大きく変わるため、組織の変革管理が重要です。行員への十分な研修時間を確保し、新システムへの理解を深めます。
専任のプロジェクトチームを組成し、導入から定着まで管理することが望ましいでしょう。経営層のコミットメントを明確にすることで、組織全体の変革意識が高まります。段階的な移行により、現場の混乱を最小限に抑えられます。
これからの相続手続きデジタル化の展望
テクノロジーの進化により、相続手続きのさらなる高度化が期待されます。将来を見据えた戦略的な投資が、競争力の源泉となるでしょう。
AI・自動化技術のさらなる活用
生成AIの活用により、複雑な相続案件の最適な手続きフローを自動提案できるようになります。過去の事例データを学習したAIが、個別の状況に応じた助言を行う時代が到来しています。
音声認識技術との組み合わせにより、高齢者でも簡単に申請できるインターフェースも実現可能です。自然言語での問い合わせに対して、AIが適切な回答を返すシステムの精度も向上しています。
ブロックチェーン技術の応用
遺言書や相続関連書類をブロックチェーン上で管理する取り組みも始まっています。改ざん不可能な記録により、信頼性が大きく向上します。
スマートコントラクト(あらかじめ設定した条件を満たすと自動的に契約が実行される仕組み)を活用すれば、条件を満たした時点で自動的に相続手続きが開始される仕組みも構築できます。相続人間のトラブルを防ぐ効果も期待されているのです。
他業界との連携強化
法務や不動産業界とのデータ連携により、相続に関わる全ての手続きをワンストップで提供できる可能性があります。顧客は金融機関を窓口として、煩雑な相続関連業務を一括で完了できるようになります。
デジタル庁が推進するマイナンバーカードの活用も拡大していくでしょう。行政サービスとの連携により、さらなる利便性向上が見込まれています。
まとめ:今すぐ始める相続手続きデジタル化
相続手続きのデジタル化は、顧客満足度向上と業務効率化を同時に実現する重要な取り組みです。高齢化社会の進展により相続案件が増加するなか、早期の取り組みが競争優位性を生み出します。
段階的な導入アプローチにより、リスクを抑えながら効果を最大化できます。現状分析から始め、適切なシステム選定と組織体制の整備を進めることが成功につながります。すでに多くの金融機関が成果を上げており、投資対効果の高さが実証されているのです。
NTTデータ関西が提供する「TSUGI+」は、相続人が複数の利用金融機関に対し、一括で相続手続きを申請できるクラウド型の共同プラットフォームサービスです。煩雑な相続申請手続きをオンライン化し、セキュアな環境で効率的な業務遂行を実現します。デジタル化をお考えの銀行・金融機関の方は、是非一度ご相談ください。









