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intra-mart(ERPフロントソリューション、経費旅費精算)

基幹システム刷新に合わせて採用した
統合プラットフォーム「intra-mart」により
全社のITガバナンスや人材不足の解決に貢献

「株式会社日本触媒」は、紙おむつの原料となる高吸水性樹脂で世界トップクラスのシェアを誇る化学メーカーです。高吸水性樹脂の主原料であるアクリル酸や、洗剤の主要成分である界面活性剤の原料となる酸化エチレンなど、基礎化学品の生産技術に強みを持ちますが、近年、より高付加価値で成長が見込まれる「ソリューションズ事業」の拡大を目指しています。
そのための基盤を整備すべく、情報システムの刷新にも取り組んでおり、ERPのフロントソリューションに「intra-mart」と「intra-mart Accel Kaiden!」を採用しました。

課題

ERPの刷新に伴い、拡張性の高いERPフロントを網羅的に整理する必要があった。

従来の申請・承認にはアナログなフローが散在しており、ERPフロントの整備にあたってはワークフロー承認機能の強化と利便性向上が重要課題だった。

ERP側に経費・旅費精算モジュールがなく、別途最適な製品を選定・導入しなければならなかった。

効果

  • 旅費・経費精算を大幅に効率化

    旅費・経費精算システムのユーザビリティが向上し、当該事務業務に充てる時間が大幅に削減できた。
  • リモート勤務で対応可能な業務を拡充

    アナログなワークフローをデジタルに置き換え、ペーパーレス化を促進するとともに承認リードタイムを短縮でき、柔軟な働き方が可能となった。
  • ITガバナンス強化やIT人材不足の解決策に

    本稼働後もintra-martの活用範囲はどんどん広がっており、グループ会社も含めた全社共通の統合プラットフォームになりつつある。グループ全体のITガバナンス強化やIT部門のリソース不足解決に大いに期待する。

ERPフロント、経費旅費にintra-martを導入した背景は?

鈴木氏

日本触媒は高品質素材を安定的に大量生産するビジネスモデルで成長してきましたが、現在、個々の顧客課題に応じて独自のソリューションを提供する「ソリューションズ事業」を拡大し、より高収益なビジネスの比率を高めようとしています。そのための経営改革の一環でデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでおり、デジタルテクノロジーへの投資も活発に行っています。
これらの取り組みは最近になって突然始めたわけではなく、前段階として2018年度から基幹システムの刷新に取り組んできました。当時の中期経営計画として、ITを活用した業務見直しによる生産性向上や働き方改革を進めることになっていましたし、従来活用していたERP「SAP ECC6.0」の標準サポートが2025年に期限切れになるという事情もあり、SAPの最新「S/4HANA」を導入するとともに、ERPのフロントソリューションについても網羅的に整備することにしました。



平井氏

ERPフロントの整備にあたっては、基幹システム構築プロジェクトのテーマのひとつに、「ワークフロー承認機能の強化と利便性向上」がありました。当社ではSAP導入当初より、システム周辺業務において、人の手を介する業務が数多く存在し、その中でもワークフローにおいては、紙に押印といった昔ながらの承認プロセスが課題となっていました。これを解決するために、必要な承認情報の書き込みや資料ファイル添付機能を有していること、また一覧性を持った承認画面の作成や現在のワークスタイルにあったモバイル経由での社外からの承認可能な仕組みが求められました。
もう1点、テーマとして、「データ入力の簡素化・省力化」がありました。SAP機能において、特に煩雑なオペレーションの中から、幅広い従業員が使用する経費・旅費精算の入力・承認機能の負荷低減を取り組むこととしました。また、SAPが当該モジュールを提供しないことになったので、別途ツールを採用する必要もありました。これらの課題に対するソリューションとして、intra-martとAccel Kaiden!(intra-mart基盤上で動作する、経費・旅費精算機能を備えたバックオフィス業務向けアプリケーション)を導入することにしました。

NTTデータ関西を選定したポイントは?

鈴木氏

intra-mart製品群については、日本企業特有の組織構造や意思決定の仕組みなどに柔軟に対応できること、ある程度の開発やメンテナンスを将来的に内製化できそうな環境が整っていること、SAPをはじめとする ERPのフロントソリューションとしての機能や実績などを評価して採用を決めました。導入に際しては、ERPとの連携が前提なので、スクラッチで柔軟な開発ができる体制をつくりたいと考えていました。
実は基幹システムの刷新プロジェクト以前に、社内の情報共有ポータルの構築にintra-martを採用し、これをNTTデータ関西に構築から支援まで対応していただいた実績がありました。ここでの仕事をしっかり対応いただきましたし、intra-martの提供元であるNTTデータイントラマートと同じ企業グループに属しているため、基幹システム領域のプロジェクトも安心して任せられると考えました。

採用後、システム導入から稼動するまではいかがでしたか?

岸根氏

私はSAP R/3で旅費経費精算のモジュールを担当していたこともあり、Accel Kaiden!の導入に携わりました。
初めて導入する製品ですので、操作方法や機能を詳細かつ丁寧に教えていただきましたし、ミーティングで決定した事項や残課題を都度綺麗に整理していただきましたので、スムーズにプロジェクトを進めることができました。
エンドユーザーの使いやすさを考慮した画面カスタマイズやマニュアル作成にもご協力いただき、SAPとのマスター連携なども、SAPの導入ベンダーとNTTデータ関西とで協議しながらサポートしてくださいました。NTTデータ関西には、きめ細かく支援していただいたというのが率直な感想です。

佐野氏

ワークフロー承認機能の強化と利便性向上という観点では、購買や販売価格変更の申請・承認処理についてintra-martでワークフローを構築しました。Accel Kaiden!と合わせて本稼働しているのですが、当社が構築したワークフローは順次、各グループ会社にも展開しており、ここでもNTTデータ関西に支援していただいています。
私は購買の担当なのですが、NTTデータ関西には、当社グループの要件を丁寧にヒアリングしていただきました。購買側でも課題や開発途中のタスクを適切に管理頂いていました。開発状況も定期的にご報告頂いて、常に情報共有を意識されているという姿勢が伝わってきました。
当初はintra-martに関して深く理解しきれていない部分もいろいろとありましたが、基本的な質問にも丁寧かつ迅速に答えていただけたのもありがたかったです。グループ会社でも、「システムの知識が乏しい担当メンバーからの質問にも根気強く答えていただいた」という声は多いです。

平井氏

マネジメントの立場から申し上げますと、intra-martは日本触媒本体および現在は国内グループ会社へ導入中のため、複数年にわたるプロジェクトとなり、導入コストは、できるだけ抑えたいと常に考えております。そうしたユーザー側の相談にも、親身になって対応していただきました。例えば、プロジェクト後半となるグループ会社への展開では、ガイド的なシートをご提案いただき、当社のプロジェクトメンバーがグループ会社のメンバ―に対して、要件定義を主導できるよう、スキルトランスファーを実施していただきました。結果として、コスト低減に繋げることができました。今後も、ユーザー本意の提案をぜひお願いしたいです。

intra-mart導入後の効果は?

岸根氏

旅費・経費精算については、社内、グループ会社のユーザーから非常に使い勝手がよくなったと評価してもらっています。経路検索サービス「駅すぱあと」との連携や証憑添付などはAccel Kaiden!の導入で実現した機能ですが、特に好評です。
また、Accel Kaiden!では経費タイプの選択が容易になったことも使いやすさに寄与していると思います。

佐野氏

従来の購買や販売価格変更の申請・承認は、ERP画面のスクリーンショットを紙に印刷して申請し押印する、というフローでした。intra-mart導入によりアナログなフローは解消され、Webブラウザ上で申請から承認までをほぼ完結できるようになりました。ペーパーレス化につながっていますし、在宅勤務もしやすくなったことで、多くの社員に喜ばれています。

平井氏

intra-martを基幹システムの補完機能として導入できたことで、各種データが入力し易くなっただけではなく、入力ミスが圧倒的に少なくなり、当然ながら差し戻しも大幅に減りました。プロジェクトの刷新ポイントである「データ入力の簡素化・省力化」および「ワークフロー承認機能の強化と利便性向上」に大きく貢献できたと考えております。また、長年の課題であったシステム外で対応していた手作業の解消や業務フローが電子化されたことで、ユーザーの皆さんにとって、創造的な時間の創出に繋がる業務基盤の一助になっていることは間違いありません。

今後の課題・方針は?

鈴木氏

ERPフロントとしての導入後、intra-martの活用範囲はどんどん広がっています。グループ会社への展開は今後さらに推進していきますし、適用業務も拡充しており、例えばERPのマスター登録などにもintra-martのワークフローを既に活用しています。ITに関する申請など、ERPフロント以外の領域もintra-martでワークフローを構築していく方針です。グループ全体が、できるだけ幅広い業務で共通の入口から業務基盤に入り、共通のルールで仕事を進められるようにするのが目指すかたちです。
こうした全社共通の統合プラットフォームの整備を進めることで、定常業務を効率化できますし、グループ全体のITガバナンス強化にもつながります。各グループ会社がIT部門に十分なリソースを独自に確保するのはなかなか難しいですが、そうした課題の解決策にもなり得ると期待しています。

平井氏

intra-martの導入にあたっては、自社である程度の開発やメンテナンスができるようになることも視野に入れています。現時点では100%内製化を目指すという方針ではなく、内製と外注のハイブリッドを前提に、最適な運用体制の検討と社内人材のスキルアップにも取り組んでいます。そして、SAP周辺業務に限定せず、intra-mart基盤のさらなる利活用を推進していきます。

今後、NTTデータ関西への要望、期待することは?

平井氏

2点、要望がございます。
1点目は、intra-martを利活用していく上で、当社で内製をできることがポイントとなります。intra-martは他の同様のローコード開発ツールに比べ、スキル習得面で、若干ハードルが高いと感じておりますので、システム部門の観点からも、迅速な開発や早期に運用定着できる仕様へと近づけていただきたいです。
2点目は、海外展開を見据え、システム面で言語機能は対応していますが、体制面において、海外拠点導入を想定し、充実を図っていただきたいと考えております。
最後に、今回のプロジェクトに携わり、intra-martは、点在するアナログな業務に対して、適用可能な柔軟性・拡張性の高い仕組みであると認識しましたので、この基盤をさらに広げていくために、よりユーザーフレンドリーなシステムへのバージョンアップに期待しております。

※本文中表記のお客様の部署名・ご担当者などの諸情報は、取材当時のものです。