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intra-mart(ERPフロントシステム)

基幹システム刷新に合わせて
乱立したワークフローを統一基盤に移行

三洋化成工業株式会社は、界面活性剤をはじめとする機能化学品を主力製品とする化学メーカーです。「化学の枠を越えたイノベーションで環境や社会課題の解決に貢献する」という目標を掲げて経営変革に取り組んでおり、「新中期経営計画2025」では、DX を活用したサプライチェーン全体の業務プロセス改革を重点課題に掲げています。
メインフレームで稼動する基幹システムをERPパッケージに移行するとともに、「intra-mart」を採用したフロントシステムも新たに整備しました。

課題

ワークフローが業務システムごとに乱立していた。

運用保守業務が複雑化するとともに属人化していた。

基幹システムの刷新に合わせて柔軟なデータ連携機能を備えたフロントシステムが必要だった。

効果

  • ワークフローシステムの利便性が向上

    業務システムごとに乱立していたワークフローをintra-martに集約したことで、ユーザーにとってはワークフローの操作性が統一され、使いやすくなった。
  • 運用保守業務の属人化の解消に目処

    intra-martの本格導入を通じてシステムの運用保守業務を標準化し、属人化を解消できる目処が立った。業務の引き継ぎや組織としてのノウハウ、ナレッジの蓄積がしやすくなった。
  • ERPフロントシステムとしての高いメンテナンス性を実現

    ローコード開発環境を備えシステムが部品化されているintra-martを採用したことで、ERPフロントシステムの改修や機能追加が容易になった。

ERPフロントシステムにintra-martを導入した背景は?

長村氏

三洋化成工業の「新中期経営計画2025」では、DXの推進によりデジタルの力をフル活用し、「ものづくり大改革」のスローガンの下、サプライチェーンの大規模な業務プロセス改革・改善を進めているところです。
近年、DXの基盤の一つとして導入したのがSAPのERP製品である「S/4HANA」です。2002年以来、フルスクラッチで開発したメインフレームの基幹システムを使ってきましたが、保守期限が近づいてきたこともあり、最新のデジタル技術を活用できる基幹システムに刷新しようと考えました。

臼井氏

基幹システムの刷新と合わせて検討しなければならなかったのが、ERPのフロントシステムをどうするかという問題です。従来環境ではERPのフロントシステムとして業務システムごとにワークフローがかなり自由につくり込まれて乱立している状態でした。そのため運用保守業務も複雑になり、結果的に属人化してしまっているという課題がありました。
また、社内のユーザーからは複雑なワークフローをシステム化してほしいという要望も多かったのですが、それも難しかったのが実情です。

S/4HANAのフロントシステムではこうした課題を解決したいと考えていました。乱立していた既存のワークフローを移行しやすく、複雑なワークフローを実装可能で、ERPフロントに求められる柔軟なデータ連携機能を備えた製品を導入したかった。
当社のニーズを満たす可能性のある製品をまずはスモールスタートで使ってみようということで導入したのが「intra-mart」です。ワークフローとしての機能性の高さはもちろん、スクラッチ開発にもローコード開発にも対応し、要件に応じて最適な開発手法を選択できる点も魅力でした。さらに、ERP製品との連携実績が豊富であること、9,500社以上の導入実績がある点も安心できる材料でした。

中山氏

実際にローコード開発ツールを使って一部のワークフローをintra-martに移行してみて、ワークフロー基盤として申し分ない性能を備えていることを確認できましたし、intra-martのナレッジとノウハウも養うことができました。この経験を通して、パッケージで対応できない従来システムのフロント機能もintra-martでつくりこむことができるという手応えも得ましたので、S/4HANAのフロントシステム、そしてワークフローの統一基盤としてintra-martを全面採用することにしました。既存のワークフローの約8割にあたる28申請156フローをintra-martに移行したほか、物流管理システムをintra-martで構築し、S/4HANAと同じタイミングで本稼動しています。

NTTデータ関西を選定したポイントは?

臼井氏

新たなワークフロー基盤をスモールスタートで使ってみようというタイミングで、intra-martを提案してくれたのがNTTデータ関西でした。中山が申し上げたとおり、一旦は内製でワークフローを構築し、自社でナレッジとノウハウを得ることを重視したのですが、S/4HANAのフロントシステムとして全面採用する際は、既存ワークフローの整理や移行対象の検討といった要件定義の前段階から本稼動まで、NTTデータ関西に網羅的に支援していただきました。
intra-martの実績も豊富で相談相手として信頼できましたし、S/4HANAの導入やインフラ構築はNTTデータグローバルソリューションズが手掛けたため、同じNTTデータグループの企業同士、スムーズに連携してくれるのではないかという期待もありました。

採用後、システム導入から稼動するまではいかがでしたか?

中山氏

内製で一部のワークフローをintra-mart上に構築した際は、ローコード開発ツールの「IM-FormaDesigner」をとにかく使い倒しました。その結果、標準機能でできることの限界について細かいところまで把握することができたと思います。ERPフロントシステムとしては複雑なワークフローの実装ニーズにも応える必要がありましたので、IM-FormaDesignerでは対応が難しいことも想定され、スクラッチ開発も視野に入れるべきか考えていたのですが、それには手間と時間がかかり過ぎます。
そんな時に新たな画面作成ツールとして「IM-BloomMaker」が登場したので、NTTデータ関西にも協力してもらいながら、開発手法・開発ツールの調査・検討を進めました。最終的にはIM-BloomMakerならローコード開発でも高度かつ複雑な要求に応えた自由度の高い開発が可能という結論になり、申請画面の作成ツールはIM-BloomMakerで統一することにしました。
NTTデータ関西はそれぞれのツール・手法のメリット、デメリットを細かく挙げてくれ、当社がやりたいことをよく理解した上で一緒に検討を進めてくれました。

臼井氏

ERPであるS/4HANAの導入と並行して進めたプロジェクトだったので、ERP側で変更が生じると、intra-mart側もそれに対応して仕様を変えなければならない場面もありました。要件定義が終わって設計に入った後にそうした変更が生じたこともありましたが、NTTデータ関西がそうしたアクシデントにも柔軟に対応してくれたのはありがたかったですね。

intra-mart導入後の効果は?

臼井氏

ユーザーの利便性が向上したことは一つの成果です。従来は申請内容ごとに異なる操作を覚えなければならなかったのですが、ワークフローをintra-martに集約したことで操作性が統一されましたので、使い勝手は向上したと言えます。

中山氏

システムのメンテナンスも容易になりました。既存システムでは、どこを直したら影響がどこまで広がるのか把握するのが難しく、ユーザーから新しい要望があってもなかなかシステムに反映できないという課題がありました。
intra-martはローコード開発環境でシステムが部品化されているので、システムを直したときの影響範囲が分かりやすいです。そのおかげで改修や機能追加のハードルが下がり、ユーザーの要望にスピーディーかつ柔軟に応えられる環境ができました。

長村氏

私の立場では、運用保守業務の属人化を解消する土台ができた点も大きな進化です。intra-martの本格導入を通じてシステムの運用保守業務を標準化できる目処が立ちました。
業務の引き継ぎや、ノウハウ、ナレッジの蓄積・共有がしやすくなったという手応えがあります。

今後の課題・方針は?

臼井氏

既存のワークフローの約8割をintra-martに移行済みだと申し上げましたが、ERPと本稼動のタイミングを合わせることを優先したため、移行対象から漏れたものもあります。そうしたワークフローについてもintra-martに移してほしいという要望がありますので、優先順位を見極めながらintra-martへの集約をさらに進めていきたいと考えています。
ERPのフロントシステムとしての機能以外でも、汎用的なアプリケーション開発基盤としてintra-martの活用範囲を拡大していく方針です。IT資産管理システムやシステム改善依頼のワークフローなどの開発にも積極的に使っていきたいですね。

長村氏

新中期経営計画2025では、社内の全部署がプロフィットセンターになるというスローガンを掲げています。IT推進部も例外ではなく、会社の利益にどう貢献するかが問われています。ERPや周辺システムのデータを分析・解析して経営や事業の意思決定にスピーディーかつ効率よく活用できるようにするのは、われわれが果たすべき大きな役割だと思っています。その役割を果たすために、intra-martの活用によってどう貢献できるかも考えていかなければなりません。

今後、NTTデータ関西への要望、期待することは?

臼井氏

ERPのデータを経営の意思決定に役立てる仕組みをつくるような取り組みは、当社にとって新しい取り組みであり、手探りの部分もあります。NTTデータ関西のエンタープライズITやDXの知見を活かして、幅広い支援をしていただけるとありがたいです。
難易度の高いお願いかもしれませんが、当社の課題やニーズ、これから向かう先を理解していただいた上で、われわれの想像を超えるような提案を期待したいです。intra-martの活用についても同様ですね。画期的な事例の情報などをフックに「こんなことができるのか」と思わせられるような提案をしてくれるベンダーこそが、ユーザー企業にとっては信頼できるパートナーだと言えるのではないでしょうか。

※本文中表記のお客様の部署名・ご担当者などの諸情報は、取材当時のものです。