intra-mart(ERPフロントシステム)
パナソニックグループ13万人が利用する
ワークフロー基盤を「intra-mart」に刷新
「パナソニック デジタル株式会社」は、パナソニックグループのIT事業会社です(2026年4月にパナソニック インフォメーションシステムズ株式会社、パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社、パナソニック ネットソリューションズ株式会社と統合し、 新会社としてパナソニック デジタル株式会社が発足)。
グループ全体の変革「Panasonic Transformation(PX)」を牽引し、グループ全体の事業と経営を支えるITソリューションの企画・開発・運用を担っています。
同社が現在進めている大規模プロジェクトの一つが、グループ全社員約13万人が利用する大規模ワークフローシステムの刷新です。新たなワークフロー基盤には「intra-mart」を採用し、PXの基盤として機能し始めています。
課題
グループ全社のワークフローシステムがサポート終了を迎えることになった。
13万ユーザー、約9000本のワークフロー、約7TBのドキュメントデータに対応できる移行先を選定する必要があった。
パナソニックグループ独自の階層型権限管理「CUG」にも対応できる柔軟な権限設定も必須要件だった。
効果
旧システムのサポート終了によるリスクを回避
- NTTデータ関西がプロジェクトをリードし、スケジュールどおりのサービスインを実現したことで、旧システムのサポート終了によるリスクを回避。
「クレームゼロ」が示す高品質な基盤構築
- 導入済みの部門からクレームは上がっておらず、ユーザーにとって違和感のない移行を実現し、スムーズな業務継続を支えることができている。
現場主導の業務改革マインドが向上
- 新基盤では、旧システムでは実現が難しかった他システムとのAPI連携などが容易になり、新基盤を活用した現場主体で業務改善を推進する機運が高まっている。
ワークフロー基盤として intra-mart を導入した背景は?
- 長谷川氏
パナソニック デジタルは、パナソニックグループ全体の事業と経営を支えるITソリューションを企画・開発・運用しています。現在進めている大規模プロジェクトの一つが、グループ全社で利用するワークフローシステムの刷新です。
2023年の後半に、旧システムのベンダーからサポートが2028年9月末に終了するとの連絡を受け、5年後には使えなくなることが判明しました。パナソニックグループのワークフローシステムは13万人が利用しており、ワークフローのフロー数は約9,000本、ドキュメントデータ量は約7TBにも及びます。旧システムのサポート終了前に新システムに移行しなければならなくなり、早急に乗り換え先を検討する必要がありました。- 小田切氏
新システムの選定にあたって要件として重視したのは、13万ユーザーを1テナントに格納できるスケーラビリティがあること、旧システムの複雑な承認ルートが再現できること、そしてパナソニックグループ独自の階層型権限管理の仕組みである「CUG(Closed User Group)」に対応できることでした。CUGは組織やプロジェクトごとのグループを階層化して管理する仕組みであり、全社のあらゆるシステムにおける権限管理の基盤となっています。
また、旧システムでは、グループの各事業会社の情報システム部門や現場部門が、自らの業務に合わせて帳票や申請フォームを作成、運用する「自立運用」が定着していました。
13万人が利用するという環境下で、全てのグループ会社や部署の業務を当社が一括でサポートするのはほぼ不可能です。現場に任せられる部分は任せるという方針を今後も継続できるプラットフォームであることも不可欠な要素でした。
これらの要件を全て満たすワークフロー基盤として、intra-martを採用しました。intra-martはCPUベースの価格体系で、コストの観点でも大規模利用時のメリットが大きかったこと、他社事例で当社以上の規模での運用実績があったことも評価しました。
NTTデータ関西を選定したポイントは?
- 小田切氏
NTTデータ関西によるintra-mart導入の提案は、パナソニックグループのニーズに寄り添ったものでした。当社が提示した機能要件は約1000項目にも及ぶ膨大なものでしたが、これらをしっかりと消化した上で、過不足ない提案をしてもらったと評価しています。
また、長谷川が申し上げたとおり、旧システムのサポート期限が2028年9月末に迫っています。そのため、本プロジェクトは2025年10月に新基盤をサービスイン、ワークフロー9000本の新基盤への移行は2027年度中に完了、7TBのドキュメントも2028年度前半までに移行を終える予定になっています。この厳しいスケジュール上の要求に対して、「ご希望どおりに実現できます」と確約してくれたことも、大変心強かったですね。
採用後、システム導入から稼動するまではいかがでしたか?
- 小田切氏
グループ各社の業務に支障をきたすことなくワークフロー機能を維持しなければならないという事情から、新しいワークフロー基盤の導入プロジェクトは、旧システムの機能を完全にintra-mart上で再現するという方針で進めることになりました。
- 中馬氏
最も大変だったのは、やはりCUGの実装です。intra-martと旧システムではグループ権限の取り扱い方式が異なっていました。そこで、intra-martのロール設定機能を使って解決を試みたのですが、CUGのグループ数は約10万、階層は20以上に達するため、大量のロール設定により処理負荷が増大し、レスポンスが著しく低下してしまったのです。最終的には、キャッシュ機能を効果的に活用することで問題を解消し、実用に耐え得るパフォーマンスを確保できました。
また、アプリケーションの機能面では、「旧システムでできていたことは全て新システムでもできる」状態を実現するために約200のアドオンを開発したのですが、それでも全ての機能は網羅できませんでした。これについてはintra-mart側のアップデートに弊社の要望をスピーディーに反映していただき、当社としては満足できる結果になったと考えています。
こうしたハードルを乗り越えることができたのは、NTTデータ関西が、開発元のNTTデータ イントラマートも巻き込んで課題解決をリードしてくれたからだと評価しています。おかげでスケジュールの遅延も防ぐことができました。- 國澤氏
ワークフロー基盤を構築した後は、サービスインの前に先行移行期間を設けました。9000本ものワークフローを2027年度末までに完全移行する計画ですので、スムーズな移行を推進するために、NTTデータ関西と連携して旧システムの定義ファイルを解析し、intra-mart用に自動変換するツールを独自に開発しました。先行移行期間では、移行難易度の低い帳票はこのツールを使って事業会社自身で移行してもらい、難易度の高いものはパナソニックデジタルが支援するという体制を整えました。
ユーザーに新しいワークフロー基盤に触れてもらって初めて出てくる要望も多かった印象です。ユーザーに満足してもらえる形に仕上げるためには、ある程度長い先行移行期間を設ける必要があると実感しました。
intra-mart導入後の効果は?
- 小田切氏
2025年10月に新ワークフロー基盤は予定通りサービスインを迎えることができました。現在、intra-mart上の新環境では約1300本のワークフローを構築しており、順次利用を開始しています。少なくとも、導入済みの部門からクレームが上がっておらず、これは当社の立場では非常に大きな成果だと考えています。13万ユーザーという巨大な規模、かつ長年使い慣れた旧システムからの刷新であるにもかかわらず、ユーザーにとって違和感のない移行を実現し、スムーズな業務継続を支えることができているという手ごたえがあります。
新基盤の導入効果は、現場の意識変革という形でも表れ始めています。intra-martがパナソニックグループの標準ワークフロー基盤として定着するにつれ、これまで自部門でワークフローを作成していなかったユーザー部門でも内製の動きが拡大しています。さらに、自分たちが導入している他システムとintra-martを連携させたいといった前向きな要望が寄せられるようにもなっています。レガシーな旧システムでは実現が難しかったAPI連携などが容易になり、現場主体で業務改善を推進する機運が高まっていると感じます。
今後の課題・方針は?
- 長谷川氏
新ワークフロー基盤の稼働は順調ですが、プロジェクトはまだ道半ばです。まずはワークフローとドキュメントの移行を予定どおりに完了できるようにパナソニックグループ全体として現場を巻き込んだ移行の取り組みを推進していくことが、当社としての注力ポイントです。
- 八木氏
移行が進むにつれてintra-martの活用はさらに拡大し、現場からの要望も増えていくと想定しています。そうした要望を整理しつつ、必要な機能拡充も進めていきます。例えばワークフローのエンジンにはintra-martを利用しつつ、申請から承認までのワークフローデータおよび関連ファイルをSharePoint Onlineに保存したい、また承認依頼の通知をMicrosoft Teamsで受け取りたいといった声は既にさまざまな部署から上がっていますので、Microsoft 365との連携は強化していきます。また、PDFファイルへの捺印機能なども実装を進めているところで、現場のニーズに沿った効率的な業務環境を整備していきたいと考えています。
- 國澤氏
海外拠点とも一気通貫した業務プロセスを実現するためのグローバル対応も進行中です。また、各事業会社がintra-martの機能を最大限に活用できるよう、マニュアル提供にとどまらない、導入推進サポートや教育体制の強化も進める方針です。
- 長谷川氏
その先には、AI活用の拡大を見据えています。2028年度の移行完了と同時に、AI活用でスタートダッシュが切れるように準備を進める必要があります。起案文案の作成支援や承認ポイントのチェック支援はもちろん、日々大量に流れる決裁データをAIで総合的に分析し、経営判断や業務プロセス改善に役立てるといったことも可能になると見ています。
今後、NTTデータ関西に要望、期待することは?
- 長谷川氏
ワークフロー基盤としてはデファクトスタンダードに近い製品であるintra-martを採用したことで、新しいテクノロジーがプラットフォームにどんどん実装され、AIをより効率的・効果的に使えるようになると期待しています。NTTデータ関西には、そうしたメーカー側のロードマップをいち早く共有していただくとともに、具体的な機能の実装にも引き続き伴走してくれることを期待しています。
※本文中表記のお客様の部署名・ご担当者などの諸情報は、取材当時のものです。


