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自社流から脱却!ノンカスタマイズを軸に
「Biz∫SCAW製番管理システム」を導入。
業務の見える化・効率化と意識向上を実現

西菱電機エンジニアリング様は、無線通信装置/システム、電力制御装置、配電盤などの社会インフラ分野において設計から製造・検査まで一貫生産をされておられます。
同社の前身であるコーナン電子様は1956年創業という長い歴史を持っておられましたが、2013年に西菱電機様がコーナン電子様を事業承継され、西菱電機グループの一員になられました。
これを機に「自社流」から脱却すべく、社内体制や業務を見直し、業務の見える化・効率化、意識改革などに着手され、開発設計・製造・品質保証と経営を支える生産管理システムとして「Biz∫SCAW製番管理システム」(以下、SCAW)が導入されました。

※本文表記中の「Biz∫SCAW製番管理システム」は、取材当時の名称であり、現在の「BIZXIM製番」のこととなります。

課題

「自社流」の生産管理システムは、情報の一貫性、効率性、可視化等必ずしも満足の得られるものではなかった

経営判断に活かせる情報を素早く抽出したいが、このような視点での生産管理システムではなかった

効果

  • 「自社流」からの脱却
    あえてカスタマイズを避けてパッケージ製品を導入することで、「自社流」の業務処理から社会一般で認められている業務管理への移行が実現できた。
  • 経営状況のリアルタイム把握
    売上や利益、原価などの数字を抽出してレポート化する機能を活用。リアルタイムに経営の現状を把握し、先を見越した方策を立てられるようになった。
  • 社内の一体感と改善意識の向上
    経営状況が従業員にフィードバックされることで、課題や目標を全社的に共有。社内の一体感が高まった。また、各部門でのSCAWを軸とした業務改善の実施により効果を体感することでさらに改善を生むという好循環につながっている。

SCAW導入を通じてプロジェクトチームが目指したものは?

藤原氏

生産管理システムの見直しとともに当社の全体的な業務の仕方を見直そうと考えました。歴史を積み重ねる過程で、独自の管理方法が定着していました。その中には非効率なものや、担当者しか把握できていないものも少なからずあったのです。
これらのことから、「パッケージ製品に体を合わせる」ことが重要なテーマになりました。つまり、慣れ親しんできた業務の仕方に合わせた生産管理システムを構築するのではなく、既存のパッケージ製品に私たちの業務を合わせていくのです。また、生産管理システムから得られる情報を経営に活かしていきたいという思いも強く持っていました。

導入以前の業務管理の状態は?

矢野氏

これまでは、オフコンで自社流システムを構築し利用していました。この仕組みは、購買部門が主体になって導入されたものでした。手配~材料投入までは、非常に手が込んだものだったのですが、生産管理という観点からは、受注~売上までの可視化が難しいものでした。

田淵氏

自社流システムでは、製番単位での大まかな管理しか行われておらず、それぞれの製品の製造がどこまで進んでいるのかは把握できなかったのです。製造部分の工程を管理していなかったこともあり、工事の完成日を入力することもなかったのです。

大木本氏

自社流システムでは、部品が製品の品目ごとに管理されていたため、同一の部品が重複して発注され、無駄な在庫となっていることがあったのです。

パッケージとベンダー選定のポイントは?

矢野氏

選定にあたっては、「カスタマイズなしでどこまで当社の業務に当てはまるか」が大きなポイントでした。複数のベンダーから話を聞き、パッケージの機能や導入事例を当社の業務に置き換えながら「使えるかどうか」を考えていきました。プロジェクトには各部門のキーマンがメンバーとして加わっていました。ベンダー各社の説明を受けたあと、キーマンがそれぞれの生産管理システムについてメリット・デメリットの評価を行ったのですが、そこで最も高い評価を得たのがSCAWでした。

藤原氏

経営を支える生産管理システムですので、導入後のサポートなど、ベンダーの会社としての体制も気になるポイントでした。その点、NTTデータ関西は実績も会社組織も信頼できる。担当の方々と顔を合わせて話を聞く過程で、その思いを強くしていきました。

矢野氏

NTTデータ関西は、導入する生産管理システムを使って、当社の業務や経営をどのように発展させていくのかというPDCAサイクルまで説明してもらい、「なるほどな」と思ったことをよく覚えています。

SCAW導入後、どのような変化や効果が現れましたか?

矢野氏

受注~売上に至る全体の進捗状況が可視化・数値化できたことは期待通りの効果です。また、「どこで進捗が止まっているのか」が見えることは、「なぜそこで止まっているのか」という原因を浮かび上がらせることにもなります。その結果、「では、どうすればいいのか」という対策を立てることにもつながる。改善や効率的な業務への意識は随分と高まりました。

田淵氏

自社流システムでは製造部門が入力を行うことがなかったのですが、SCAWでは一つの業務完了ごとに「完了」を入力する必要があり、その習慣がようやく定着しました。

大木本氏

先ほど、自社流システムでは部品を品目ごとに管理していたお話をしました。これをSCAWでは改めて、きちんと部品単位で管理できるようにしました。それだけでなく、SCAWの導入にともなって扱う品目コードの統廃合を行うことで部品数自体の整理と必要在庫数の削減に取り組みました。その結果、二重購入の回避や管理する労力の削減効果は大きいと感じています。

藤原氏

売上や利益といった数字を、リアルタイムで見ることができるようになりました。予定や実績、仕掛品の状況も見ることができます。経営にとって、「見えている」ということは大きな安心材料になります。例えその時々の状況が厳しかろうとも、「厳しい」ということが認識できればそこから対策も立てられますからね。この点については、NTTデータグループ会社のソリューションであるBIツール「Data Nature Smart」を導入し、SCAWと連携することで、経営状況を把握するために必要な情報を自由に抽出することができています。これにより経営の見える化が進みました。

矢野氏

SCAWから得られた情報は社長にも随時報告され、社長自ら分析されたデータを使って、朝礼で従業員に報告をしています。SCAWがリアルタイムに経営状況を知らせてくれることで、従業員と目標や課題を共有しやすくなりました。こういった状況を生み出すには、「SCAWを活用しよう」という従業員の意識も大きなポイントになったように思います。

大木本氏

SCAWに登録された情報やそこから得られる情報は、権限の与えられた従業員は誰でも見ることができます。効果が上がっていることを実感できることがさらに活用を後押しし、そのことが効果を高めるという好循環を生み出したのではないでしょうか。

今後の課題・目標は?

藤原氏

量産品ではないものの、ある程度の量(台数)をまとめて製作する「中量産品」が多いのが当社の特長の一つです。現在、中量産品の管理にはかなりの手間がかかっています。これを効率化できる機能がSCAWに加わることを期待しています。

矢野氏

より製造現場に密着した生産管理システムとして活用範囲を広げていきたいです。例えば、SCAWを軸としながら、そこから得られた情報を各部署が独自に加工・活用できればと考えています。また、設計のIT化も検討したいと思っています。設計部門とSCAWが連動すれば生産性は飛躍的に向上するのではないでしょうか。

田淵氏

バーコードやタブレット端末の活用により情報の入力方法を簡略化したいと思っています。生産現場は今まで以上に"ものづくり"に専念できる生産管理システムの構築を目指しています。

藤原氏

SCAWに合わせるために運用面を中心に産みの苦しみを導入後1年間は経験しましたが、各部門のキーマンの指導もあり現在は収斂しております。
導入当初の狙いであった、業務をSCAWに合わせる、経営管理の強化につなげる、従業員の意識を変えるなどは多くの部分で実現できたと感じております。
SCAWを中心にソリューションツールを周辺に展開することにより、SCAWデータの活用をさらに高め、業務の効率化を拡大すべく生産管理システム全体の進化と同時に従業員の理解浸透も怠ることなく続けていきます。