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長年の業務で生み出された独自ルールを脱却。
ブラックボックスをなくし、合理的、スリムな業務フローを実現!

1902年に藤島由太郎氏がバルブ製造のため個人経営の工場を開業以来、115年にわたりバルブ一筋の「フシマン株式会社」。東京に本社を、福島に工場を持ち、各種の流体を管理・制御して常にベストなコンディションに保ち続けるバルブを製造している。
素材ひとつにもノウハウが活かされた自社開発の製品は、20世紀の産業発展にも大きく寄与。まさに、"日本のバルブ工業の歴史そのもの"と言われる企業だ。
21世紀、バルブ専門メーカーとして、同社の技術にかかる期待はますます大きくなり、官公庁、オフィス、マンションなどの高層ビルや、製鉄、石油精製など各種プラント、空港施設、遊園地、レジャースポット等でフシマンの技術が活かされている。

※本文表記中の「Biz∫SCAW製番管理システム」は、取材当時の名称であり、現在の「BIZXIM製番」のこととなります。

課題

長年積み重なった独自ルールが乱立。
ブラックボックス化した業務をクリアにしたい

販売・生産管理と、財務会計を別システムで管理。
ダブルコストを解消したい

効果

  • 受注から一連の流れが把握でき、部品の在庫削減に成功!
    以前は部品切れの不安から、"多め"に在庫する傾向にあった。システム導入後は、受注から製造、会計までシステムを一元化したことにより、必要な部品の在庫数をより正確に把握できるようになった。
  • 現場の工数を増やさず、製造の進捗管理が可能に!
    製番ごとに製造の進捗モニタリングが可能に。遅れがないかなどをリアルタイムに把握できるようになった。作業者の配置などの対策が打てるので、生産性向上に役立っている。
  • 部門間の業務連携、コミュニケーションがスムーズに!
    それまで部署ごとに独自のルールで業務を行っており、担当者だけが把握している事情"ブラックボックス"が存在していた。また、紙の伝票でやりとりしていた業務もシステム化することで、情報の流れがクリアになった。

導入以前の状況は?

藤原氏

生産管理システムの見直しとともに当社の全体的な業務の仕方を見直そうと考えました。歴史を積み重ねる過程で、独自の管理方法が定着していました。その中には非効率なものや、担当者しか把握できていないものも少なからずあったのです。
これらのことから、「パッケージ製品に体を合わせる」ことが重要なテーマになりました。つまり、慣れ親しんできた業務の仕方に合わせた生産管理システムを構築するのではなく、既存のパッケージ製品に私たちの業務を合わせていくのです。また、生産管理システムから得られる情報を経営に活かしていきたいという思いも強く持っていました。

導入以前の業務管理の状態は?

岡田氏

弊社は歴史の長い会社です。長く仕事を続ける中で、よくも悪くも独自のルールがたくさんできていました。「昔はこうだった」というような。こうした独自ルールは、"イレギュラーなことにも柔軟に対応できる"など、もちろんメリットも多いのですが、業務の担当者だけが知っている事情、いわゆるブラックボックスが多いことは会社全体としては良くないことです。部分的な改善ではなく、会社全体としての業務改善が必要だと感じていました。

清水氏

私は財務を担当しています。「Biz∫SCAW製番管理システム」導入以前は、製造管理と会計は別システムを使っていましたので、営業・製造・会計がぶつ切りになっていました。そのため、営業担当は自身が受注した案件の入金状況を知ることはできませんでした。また、逆に営業担当だけが知っている顧客事情を私たちが把握することもできていませんでした。

高島氏

正直に言うと、現状のままでいいんじゃないか、と思っていました。スタートは、トップダウンでした。でも、システムの保守コストの話なども聞いていましたので、仕方がないのかな、という感覚でした。

岡田氏

以前のシステムがちょうど保守更新のタイミングに来ていて、継続するにしても費用がかかる。であれば、このタイミングで入れ替えを検討しようと思いました。

システム変更プロジェクト

岡田氏

先にお伝えしたように、長年の業務の中でできた独自ルールを一掃するため、業務改革が必要でした。根付いた習慣を整理するには、一般的なパッケージのフローをベースとして、業務を合わせるというのが良いのではないかと考えていました。
現場としては、以前出来たことができなくなるというのは、どうしても受け入れにくいと思うんですね。でも、やらなきゃいけない。そこで社長をトップとして、各部署からメンバーを招集し、プロジェクト化しました。トップダウンで「やるぞ!」ということを宣言し、スタートしました。

製品とベンダー選定のポイントは?

岡田氏

まずベンダー9社からカタログを取り寄せて比較しました。メンバー全員でチェックポイントを点数化して4社に絞り、4社から実際に提案を受けました。
「パッケージに合わせて業務を標準化する」というところを理念としていましたので、標準仕様のレベルが高いことが必要条件でした。「何でもカスタマイズできますよ」と言われるベンダーさんもありましたが、NTTデータ関西さんには、標準仕様で、できることを具体的に提示して頂いたため、パッケージに自信を持っていることが分かり信頼できると判断しました。
また、私たちは福島の工場で震災を経験したので、"データセンターが利用できること"は大きなポイントでしたね。

泉氏

システムを変更するということは、今までの業務のやり方が変わるということ。それも現場のみんなが変更された業務を新システム上で回せるようにならないといけない。当初はそれがとても不安でした。
NTTデータ関西は、プレゼンでの説明が圧倒的に分かりやすかったのが印象的でした。なんとなく「こうやればできるのかな」というイメージがついたというか。

助川氏

各部署の代表メンバーが集まってプレゼンを聞いたのですが、各部署からかなり質問が出ました。「今、うちではこういうことをしているが、このシステムではどうなるのか?」などです。やはり、自分が関わる業務がどうなるのかは一番気になりますし。NTTデータ関西は、そのひとつひとつに丁寧に答えていただけたので安心できました。

設計からリリースまでのプロセス

高島氏

NTTデータフロンティアやNTTデータ関西のSEは、私たちの業務をよく理解してくれていましたね。当初のヒアリングだけでなく、構築や導入時も現場にも入ってコミュニケーションを取ってくれました。かなり無理なお願いもしたと思いますが、本当によく対応してくれました。現場もスムーズに移行対応できたと思います。
※本プロジェクトは、NTTデータフロンティアとNTTデータ関西の共同プロジェクトです。

泉氏

できること、できないことの説明もわかりやすく、業務に合わせた調整も気持ちよく対応いただけました。スケジュールの管理もきっちりしていて、「いついつまでにこれを決めてください」など、プッシュされることも多かったのですが(笑)。それもプロジェクトを進めるために必要なこと。仕切っていただいて本当に助かりました。

岡田氏

担当のSEたちは"頑固"でしたね(笑)。パッケージに自信を持っているんだろうな、というのが本当によく伝わりました。こちらからの要望に対して、なんでも「はいはい」と言われると「大丈夫かな?」と不安になるものですが、安易に対応するのではなく、状況を理解した上できちんと"ベストな提案"をしてくれる。とても安心できました。

清水氏

以前使用していた会計データの引き継ぎもスムーズにできましたし、混乱なく移行できました。それまで曖昧なまま放置していた情報を「Biz∫SCAW製番管理システム」に移行するにあたりクリアにしていくのが大変でしたが、その分、今はグレーな部分がなくなりクリアになりました。

導入後の効果は?

岡田氏

工場を見ていただくとわかるのですが、在庫はかなり減っているはずです。現場としては部品切れの不安から、どうしても"多め"に在庫を持ちたいという心理が働きます。今は、生産の予測ができますので、必要以上の在庫を保つ必要がない。在庫が減ると資金の回転がよくなるという効果があります。
また、「Biz∫SCAW製番管理システム」はデータベースを公開しているので、ACCESS等を使ってオリジナルでデータ分析ができたり、出力しやすいのも便利ですね。

高島氏

在庫の話で言いますと、丸棒材の管理方法が、以前は物によって、長さや重量にばらつきがありました。そして、それがシステムからは分からない状態だったので、重さで管理しているものに、長さで入力してしまうというような混乱が度々起きていました。システム変更にあたって、すべて"長さ"に統一。棚卸しはずいぶん楽になりましたね。

泉氏

年度末の棚卸し入力にかかる工数が大幅に減りました。今までは4人で3~4時間かけて手入力していたのですが、「Biz∫SCAW製番管理システム」にしてからはCSVデータのインポートができるようになったので、1人で10分かからないくらいに減りました。工数が減ったのと同時に間違いもなくなったので助かっています。

助川氏

細かいことですが、BOMの作成で品番などがコピー&ペーストできるようになったのは嬉しいポイントです。入力桁数が多いと面倒な作業でしたし、打ち間違いも防げるようになりました。

清水氏

会計面で言いますと、「Biz∫SCAW製番管理システム」にしたことで、融通が効かなくなったというのはありますね。これまでは端数が出ていたら「まぁ、手数料なんだろうな」と曖昧なままにしていた部分がありますが、今はそうはいかない。ひとつひとつ確認してクリアにしています。ブラックボックス化できないので、営業も財務も緊張感を持って管理するようになりました。
また、これまでは、営業、製造、会計が別々で動いていました。例えば、未入金などが発生すると、財務担当が営業担当に状況をヒアリングして...、ということを一件一件行っていたんですが、今は営業担当が、受注した案件を入金されたところまで確認できます。今まで把握できていなかった数字が"見える化"されたので、今のやり方が本来の姿なんだろうと思います。それができるようになったのは大きいですね。

今後の展望は?

岡田氏

今、コンサルタントの指導のもとで現場改善を進めています。様々なデータを"見える化"することが改善のベースになるので、現場での実情に合わせてさらに改善を進めていきたいと思っています。
また、業務の流れ、情報をみんなが把握できるようになりました。今までは、自分が担当する情報しかわかりませんでしたし、それを"どうにか処理すること"が仕事の能力という感じになっていて、やりづらいことや困ることがあっても他の部署にフィードバックするような動きはありませんでした。今は他の部署の動きもわかりますので、「こうしてもらわないと動けないよ」というような、より良く働くためのフィードバックやコミュニケーションにつなげられればと思っています。

高島氏

現在管理している数値は、ほぼ「Biz∫SCAW製番管理システム」で管理できています。現場での入力負荷はこれまでと変わりませんが、製造の遅れがないかなど様々なデータがモニタリングできますので、マネジメントはしやすくなったと思います。
一方で、まだ使いこなせていないなと感じる部分もあります。
「Biz∫SCAW製番管理システム」で管理する情報を増やしていけば、生産管理の精度を高めていくことができる。例えば、生産実績の入力は、作業者の負荷を考えてまだ対応していないのですが、それができれば原価管理につなげられます。実際に対応するかどうかは現場の実情に合わせての判断になりますが、まだまだうまく使える可能性があると思っています。

岡田氏

「システムを導入したから、すべて完了」ということは絶対にないんです。世の中も変わっていきますし、その時その時で状況に合わせて"対応していく""変えていく"という考え方が大事だと思っています。今回、社内のメンバーも巻き込んで、一緒に改善プロジェクトを進めてきました。そのメンバーたちが、今後も継続して改善を進めていってくれると思っています。NTTデータグループの皆様には、今後も弊社の業務改善をサポートしてもらいたいと思います。