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DX推進にクラウド活用は必須。活用事例を紹介

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DXを進めるにあたり、従来の業務のデジタルへの移行が必要になります。手作業で行っていた業務を自動化できるように変更したり、紙媒体で保存していたものをデータ保存に変更したり、さまざまな場面でデジタルの活用が進められます。その際、データを保存するためのストレージや、おおもとのシステムをどのように構築するのかを考える必要があります。コスト面、システムの更新、事業継続の観点から、クラウドの活用は有用な手段だといえます。今回は、クラウド活用の有用性と活用事例を紹介しましょう。

DXの意義

いま、企業や自治体、さまざまな組織において、DX推進の動きが加速しています。政府が「DXレポート」のなかで懸念している2025年の崖を回避するためにも、業務プロセスを見直し、古くなったシステムやソフトウエアを刷新しながら、よりよく変革することがDXの目的です。

デジタルデータを効果的に活用してビジネスモデルや業務プロセスを改革

企業や自治体においては、 デジタルデータを活用して、市民の利便性を高め、より安心して暮らしていける社会を提供できるように、また製品やビジネスモデル、業務プロセスを変革することで、新しい価値を創造し、競争力を高めるためにDXに取り組んでいます。

DXを推進するためには、 膨大な情報をデジタルデータとして有効に活用することが重要 であり、そうしたデジタルデータを使える環境を整備していくことは、企業にとって必須事項となります。

目の前に迫る2025年の崖

2025年の崖というのは、2018年に経済産業省が「DXレポート」のなかで示した企業が抱える大きな課題のひとつです。その内容は、 多くの企業が現在使用している既存の基幹システムやソフトウエアなどがレガシー化し、そうした状態が2025年まで放置された場合には、最大で年間12兆円もの損失が出るおそれがある というものです。ではなぜレガシー化したシステムやソフトウエアを使い続けると、経済損失が出るのでしょうか。大まかな理由を見てみましょう。

膨大なデータを活用できず、効果的な経営戦略が打ち出せない

デジタル技術は常に新しい技術によって更新されています。しかし、古いシステムやソフトウエアを使用していると、更新ができないままになる可能性が高くなります。こうした状況が続けば、爆発的に増加するデータを活用できず、デジタルデータを生かしたデータドリブン経営ができない状態や、ビジネスチャンスを失う結果になるかもしれません。

ブラックボックス化したシステムのメンテナンスに費用がかかる

また、レガシー化したシステムは、いままでに必要なタイミングで社内独自にカスタマイズされてきた可能性があります。そしてその管理やメンテナンスは特定の担当者や業者が対応してきたケースが少なくありません。そうなると、システムのメンテナンスや扱いはブラックボックス化し、新しい担当者に入れ替えることも、システムを改修することも難しくなります。

いいかえれば、 ブラックボックス化したシステムが存在するかぎり、新たな業務プロセスへと移行し、業務の効率化や新しい価値創造のためのプロジェクトを効果的に可動させることが困難 ともいえるのです。

こうした状況もビジネスチャンスを逃し、大きな損失を出すことにつながりかねません。

セキュリティの脆弱性による不安がある

膨大なデータにアクセスし安全に利用するためには、セキュリティリスクに備える必要があります。 セキュリティを高めておくためには、システムやソフトウエアを常に最新の状態へと更新しておくことが重要 です。ところが、システムやソフトウエアがレガシー化していると、最新のデータへとアップデートされず、セキュリティリスクが高まることになります。

サイバー攻撃はセキュリティが脆弱なところをねらってくるため、レガシー化したシステムは顧客情報や重要データの漏えい、またはシステムの乗っ取りなど、セキュリティ面で多くの不安を抱えることになります。万が一、情報漏えいといった事件が発生すれば、顧客との信頼関係が崩れたり、企業イメージの低下を招いたりするおそれもあります。

2025年の崖に関しては次の記事もご参考にしてください。

2025年の崖とは?直面する課題と回避方法を詳しく解説

クラウドを活用すると何がどう変わるのか

DXを推進することは、目の前に迫った2025年の崖を回避し、新しい価値を創造できるビジネスモデルの創出をめざすことです。そして、よりよい社会やより競争力の高い企業へと変革することが目的です。

DXを推進するにあたっては、デジタイゼーション、デジタライゼーションを経て、デジタルデータを十分に経営に生かす環境を整えることが重要 です。そうしたなか、有効な手段とされるのがクラウドの活用です。では、クラウドとはどういったものなのか、確認しておきましょう。

クラウドとは

クラウドとは、自社のサーバーやストレージ、ソフトウエアを所有していなくても、インターネットを通じて、必要なサービスを必要な分だけ利用することができる形態、あるいはそうした考え方を指しています。

クラウドはクラウド・コンピューティングとも呼ばれることがあります。

つまり、自分のパソコン内に使いたいソフトウエアがインストールされていなくても、インターネットが使える環境で、クラウドサービスのアカウントを持っていれば、そのクラウドサービスを介して、使いたいソフトウエアを使うことができる、というものです。

こうしたクラウドサービスにはいくつか種類があり、ソフトウエアを提供するクラウドサービス(SaaS)、開発環境を提供するクラウドサービス(PaaS)、サーバーを提供するクラウドサービス(IaaS)に大別されます。

クラウドリフトをワンストップでサポートするNTTデータ関西の「xCooS(クロスコース)」は クラウドを構築するためのサポートから、クラウド環境構築後の保守、運用の監視など、全般をサポートするサービスを提供 しています。

▼ xCooSについて

xCooS(クロスコース) - クラウドおまかせワンストップサービス | ソリューション | 株式会社NTTデータ関西

また、NTTデータ関西の「xCooS(クロスコース)」のビジネス責任者のインタビュー記事もご参考にしてください。

NTTデータグループのプロフェッショナルが伴走するクラウド活用支援サービス「xCooS(クロスコース)」

クラウドとオンプレミスの違い

2025年の崖で問題にされている、レガシー化しているシステムやソフトウエアの多くがオンプレミスで運用されているものです。

オンプレミスというのは、システムを運用するとき、必要なハードウエアやソフトウエアを自前で保有して、管理運用する形態のものを指します。自社に合ったシステムを独自に構築することが可能なので、従来は多くの企業がオンプレミスでの運用を基本としてきました。

初期の導入費用や維持費用はメンテナンス費用も含め、高額となる傾向にありますが、カスタマイズ性に優れているため、独自の機能を必要とする企業では頻繁に採用されます。この カスタマイズ性に優れている点がオンプレミスの特徴であり最大のメリット といえます。

一方クラウドは先にも触れたとおり、サーバーやストレージといったハードウエアや必要なソフトウエアを自前で保有することなしに、インターネットを介して使用する形態です。

クラウドを活用する場合は、 初期費用や維持費用は低額で抑えることができます。また、ソフトウエアなどのアップデートも提供側が行いますので、安心して最新の状況を維持できます。 また導入から活用するまで時間がかからない、つまりすぐに使えるという点もクラウドの特徴といえるでしょう。しかし、カスタマイズ性はオンプレミスに比べると低い傾向があります。

クラウド活用で何がどう変わる(メリット、期待できる効果)

ではクラウドを活用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

初期投資を抑えてシステム開発が可能
オンプレミスで自社のシステムを構築しているとサーバーやストレージ、ソフトウエアなど多くのものを自前でそろえる必要があります。また、システムを構築する際にもIT技術や知識を持った人材を必要とします。つまり、設備費にも人件費にもコストがかかります。 クラウドサービスはすでに構築されたソフトウエアをユーザーが誰でも使用できるため、月額あるいは年額の使用料のみで使えます。
また、PaaSのクラウドサービスを活用してシステム開発を行う場合でも、利用したリソース分を支払う契約のものを選べば、無駄のないコストが維持できます。
情報共有がしやすくなる
クラウドサービスは、インターネット環境さえあれば場所や時間を問わず利用できます。 つまり、社内にいなくても必要な情報にアクセスできるようになります。
共有フォルダをクラウドストレージ内に用意しておくだけで、どこからでも必要な人がアクセスすることができます。こうした場所や時間に縛られずに、社内と同様の作業環境が実現できれば、各地に分散したメンバーとプロジェクトを動かすこともできますし、テレワークを導入した働き方改革も進めやすくなります。また事業継続計画の一環として、万が一社屋が被災した場合にも、別の場所で事業再開にいちはやく取り組める可能性が高まります。
意思決定までの時間が短縮される
情報共有がしやすい環境が構築されれば、現場からの情報を早く正確に経営へ反映することができる ようになります。意思決定が必要なときに、すぐに情報を共有して決定を下すことで、ビジネスチャンスを広げる可能性も高まります。
負担を抑えて運用・拡張ができる
クラウドサービスの活用を進める過程で、さらに性能を高めたいと判断した場合、クラウド上で必要なリソースを選択するだけで、必要な性能を備えた新たな環境を簡単に構築することができます。また使わないと判断したリソースや環境は削除することもできます。つまり、 IT知識を持った外部の人材にメンテナンスやアップデートを依頼しなくても、自社で現状に合わせた環境を構築することが可能 になります。
さらに、インフラ面での保守運用はクラウドサービスの提供者が行うので、ユーザーが独自に行う必要もありません。サーバーやソフトウエアは常に最新の状態が保たれます。
セキュリティ面も安心して使える
クラウドサービスを導入する際に、多くの企業が最も心配するのが、セキュリティ上のリスクでしょう。しかし、多くのクラウドサービスはセキュリティの専門家による対策を講じています。
NTTデータ関西では、高度化するサイバー攻撃に対して最新の対策方法を企画・運用支援するサービスを提供しています。
セキュリティ導入・運用支援ソリューション | ソリューション | 株式会社NTTデータ関西

クラウド活用でDXを推進した事例

ではクラウドサービスを活用して、課題を解決し、新たなビジネス価値を創出したDX成功事例を見ていきましょう。

オリックス銀行:CRMソリューションSalesforceと地図サービスLocation Managerを活用して、不動産に強い銀行に

オリックス銀行は不動産ローン事業を主力として成長してきました。投資用不動産ローン事業を成功させるためには、物件の価値のみならず、周辺情報を把握することが必要です。オリックス銀行では、こうした知識と経験を持ったベテラン行員が業務を担っていましたが、世代交代といった事業引継が課題でした。また、業務のデジタル化に伴い、業務プロセスも変わっていくなか、経験によって培われてきた知識やノウハウは希薄化するのではないかという懸念もありました。

以前から、物件情報を可視化する地図システムを導入して対応していたのですが、データベースとは別のシステムで、連携がとれていませんでした。そのため、融資状況を確認するためには、複数のシステムから情報を引き出す必要がありましたし、情報を整理するときでもデータベースから地図システムに転記しなくてはなりませんでした。またCRMソリューションSalesforceを導入していましたが、既存の地図システムとは連携ができていませんでした。そこで、地図情報コンテンツと業務アプリケーションを連携させるクラウドサービスLocation Managerを導入することにしました。

非常に使いやすく、Salesforceの画面内にLocation Managerの地図が確認できるため、必要な情報にひとつの画面でアクセスすることができます。情報の検索性や操作性が格段に効率化し、業務プロセスの削減が期待できる環境になりました。

京葉ガス株式会社:会計業務と購買業務を効率化 テレワークも可能な環境に

京葉ガス株式会社では、紙ベースで請求書等の帳票を管理し、承認処理においても押印による手続きを行っていました。そのため決裁までの時間が長く、業務がスムーズに進まないことも少なくありませんでした。また、購買業務では取引先とのやり取りはFAXか書面においてなされていたため、こちらも業務が完了するまでに長時間を要しました。こうした作業は紙ベースの書類内容をシステムに入力する手間が発生するのみならず、入力ミスの発生も懸念されます。このような業務プロセスを見直し、効率化を図るために、会計購買システムを刷新するに踏み切りました。

選定したのはBiz∫です。大きな目的は業務を抜本的に効率化することです。導入後は各種帳票の保管、確認といった作業が格段に効率化されています。業務のスピードアップにも貢献しています。

またBiz∫に標準機能として搭載されている、固定資産管理機能を活用して膨大な設備といった固定資産を管理できるようになったことも大きな改革でした。

株式会社大創産業:グループ会計基盤を構築して、飛躍的な業務拡大を実現

100円ショップの最大手「ダイソー」は データや数値を管理・活用するために会社全般のシステムにおいて見直しを進め、会計領域をERPパッケージ「Biz∫会計」と複数のソリューションを組み合わせたシステム基盤へ刷新 しました。ベンダー選定にあたっては、「Biz∫会計」を中心として、ソリューションの組み合わせやコスト面、業務効率性を踏まえた提案の適切性を重視し、NTTデータ関西を選びました。

きっかけは、月次決算が遅延しがちであり、早期化が必要 であったことや、マニュアル作業に伴う 経理業務の負荷が増大 してきたことです。さらに、膨大なデータを活用した人事評価や財務分析を行うためには、 レガシーシステムの刷新が急務 と判断したからです。

ERPパッケージ「Biz∫会計」と複数のソリューションを組み合わせたシステム基盤へと刷新したことで、決算にかかっていた日数が 1カ月から10日へと大幅に短縮 しました。

経理処置の時間が50%削減できたほか、管理会計のためのデータ収集と分析基盤が構築できたことで、データに基づいた評価、戦略が可能 となりました。

▼ 本事例の詳細について

株式会社大創産業様 | 導入事例 | 株式会社NTTデータ関西

▼ Biz∫会計の詳細について

財務会計システム「Biz∫会計」 | ソリューション | 株式会社NTTデータ関西

株式会社竹中工務店:ワークフローを電子化し、スマートワークに適した基盤を構築。建設業界の課題解決にデジタル技術を積極的に活用

竹中工務店では、 建築業界の課題でもある「働き方改革」と「人材不足・技術者不足の解消」に対応 すべく、デジタル技術を積極的に活用し、業務改善を実現しています。

きっかけとなったのは、 会計システムの会計基準変更と税法改正への対応が既存のシステムでは限界であった ことです。また、紙による伝票承認をしていたため、会計処理関連担当者の業務効率の改善が困難であったことも、働き方改革の課題となっていました。こうした レガシーシステムを使った業務では、月次処理のためのタイムリーな情報把握もできず、データを活用したデータドリブン経営への転換は難しい状況 でした。

こうした状況を改善すべく、最新のデジタル技術をフル活用した会計システムへ刷新するために、基本構想に着手しました。 ベンダーやサービスの選定にあたっては、「自社に寄り添い、伴走型でプロジェクトをやり遂げてくれるベンダーか」という点を重視 。また、操作性や視認性、日本独自の商慣習への適応力、アドオン・カスタマイズの自由度、さらにはコストパフォーマンスや提案内容の実現性といった点を総合的に評価し、NTTデータ関西が提案する「Biz∫」を選びました。

新しい会計システムは2022年1月から可動を開始しました。その結果は、多様なニーズを網羅できるワークフロー機能を有する、intra-mart(イントラマート)を基盤としているBiz∫の特徴を実感できるものでした。 全店の経理部門が1〜2日をかけて対応していた書庫整理や廃棄業務を大幅に効率化できた ほか、監査対応も迅速化されました。さらに、登録内容がリアルタイムに反映されるようになったことで、常に最新のデータが確認できるようになったため、タイムリーなデータ分析が可能となりました。収集したデータをクラウド上のプラットフォームに集約することで、生産性向上とさらなる業務効率化へとワークフローの改変ができると期待しています。

▼ 本事例の詳細について

株式会社 竹中工務店様 | 導入事例 | 株式会社NTTデータ関西

▼ Biz∫(ビズインテグラル)について

Biz∫ビズインテグラ:ERPを超えた次世代ビジネスプラットフォーム

DX推進、クラウド活用に関しては次の記事もご参考にしてください。

DX推進・成功事例から実施のヒントを探る~国内・海外成功事例22選~

BCP対策とはなにをどうしておけばよいの?〜クラウド活用は有効な対策案のひとつになる〜

バックオフィス業務を効率化するための対策と活用ツール 〜人材不足にも対応できる体制をめざして〜

まとめ: クラウド活用は、DX推進のみならず事業継続計画の充実にも有効

DXを進め、 新しい価値の創出やビジネスモデルの改善実現するためには、データを有効に活用することが必須 です。また他社との競争力を高めるには、現状、市場の動き、顧客のニーズを的確に分析して、いちはやく対応することが欠かせません。そうした戦略にはデータをいかに活用できるか、が決め手となります。

さらに、災害が多発する日本においては、事業継続計画を充実させ、確実に実行できる体制を整えておかねばなりません。

これらを実現するひとつの手段がクラウドの活用です。さまざまな部署において、顧客との接点から集まるデータを保存し、必要に応じて分析し、経営戦略に活用するには、安全に、確実にデータを集積、保存、活用できる環境が必要です。それが可能になるのがシステムのクラウド化です。

また、クラウドは、たとえ社屋が被災した場合にも、いつ、どこからでもデータにアクセスができます。事業の復旧や継続できる環境を構築するためにも、クラウド活用は有効です。

こうした 環境の整備には、現状の把握と、ベンダーやクラウドサービス、それに対応するソフトウエアの選定も重要なポイント になります。NTTデータ関西では、豊富な経験とさまざまなソリューションについての専門知識を生かして、課題解決に適切な提案をいたします。

まずは、自社の現状を見直し、優先的に解消したい課題の把握から始めてみてはいかがでしょうか。