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データ分析のはじめ方:自社推進とコンサル活用、成功への最適な選択は

 |  データドリブン

多くの企業がデータ活用の重要性を認識している一方で、その具体的な進め方について悩んでいます。「まずは自社で取り組むべきか」、それとも「外部の知見を活用すべきか」という選択に直面している企業も少なくありません。本記事では、経営層やDX推進担当者の視点から、自社でのデータ分析推進とコンサルティング活用それぞれのアプローチを比較し、企業の状況に応じた最適な選択肢を提示します。

データ分析プロジェクトの全体像を理解する

データ分析プロジェクトの成否は、その目的設定と推進体制に大きく左右されます。 単なるツール導入や分析作業の外注では、真の企業価値を生み出すことはできません。 本節では、成功するデータ分析プロジェクトの基本的な要素と、検討すべき重要なポイントを解説します。

データ分析プロジェクトの標準的な進め方とスケジュール

データ分析プロジェクトは、一般的に「準備期」「実行期」「定着期」の3段階で進みます。準備期(2-3ヶ月)では、課題定義、データ整備、分析環境の構築を行います。実行期(3-6ヶ月)では、データ分析、施策立案、効果検証を実施します。定着期(3-6ヶ月)では、分析プロセスの標準化と組織への定着を図ります(継続的な改善活動も含む)。

各段階の期間はプロジェクト規模で変動し、実際には段階間の重複も生じます。

データ分析で解決できる経営課題

データ分析は様々な経営課題の解決に貢献します。

例えば、製造業では設備の稼働データを分析して故障の予兆を検知し、計画外の停止を防ぐことで生産性を向上させることができます。小売業では購買履歴とWebアクセスログを組み合わせて顧客行動を分析し、効果的なマーケティング施策の実現が可能になります。また、物流企業では配送データを活用して最適な配送ルートを導き出し、燃料コストの削減につなげることができます。

このように、データ分析は具体的な経営課題の解決に直結します。しかし、その効果を最大化するには、「なぜその分析が必要か」という経営戦略との明確な紐付けと、現場の理解・協力が不可欠です。単なる分析のための分析では、真の企業価値は生まれません。

データから経営方針を導き出すデータドリブン経営については、こちらの記事もご覧ください。

データドリブン経営で社会・消費者のニーズに応える企業になる

「データ分析・活用ソリューション」の担当者インタビューもあわせてご参照ください。

構想から定着までデータ活用の道のり -お客様と共に歩むNTTデータ関西

必要なリソースと体制の見極め

データ分析を成功させるには、データサイエンティストだけでなく、業務知識を持つ現場担当者やデータ基盤の整備を担うエンジニアなど、多様な人材の協力が必要です。まずは自社の既存リソースを客観的に評価し、どの部分を補強・強化すべきかを見極めることが重要です。

自社でのデータ分析推進のポイント

限られたリソースの中で効果的にデータ分析を推進するには、段階的なアプローチが有効です。本節では、自社でデータ分析を進める際の具体的なステップと各段階で押さえるべきポイントを解説します。

データ分析手法とその選択方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

データ分析の手法を徹底解説。課題別アプローチと具体的な活用事例

小規模プロジェクトからの段階的な展開

まずは現場の課題に直結する小規模なプロジェクトから取り組み、成功体験を積み重ねることで組織全体のデータ活用能力を段階的に向上させていきます。既存の業務データを活用した改善活動からスタートし、徐々に分析の範囲と深度を拡大していく戦略が効果的です。

社内人材の育成と体制構築

データリテラシーの向上は組織全体で取り組むべき重要な課題です。経営層から現場担当者に至るまで、各層に必要なスキルを明確に定義し、計画的な人材育成を推進します。同時に、部門の垣根を越えたデータ活用推進体制を構築し、組織全体での知見の共有と効果的な展開を図ります。

人材育成については、次の記事も参考になります。

DX推進をリードするDX人材に求められる能力とは

データ分析コンサルティング活用の判断と選定のポイント

データ分析の取り組みを加速させるため、外部のデータ分析コンサルティングの活用を検討する企業が増えています。投資効果を高めるためには、目的に応じた適切な選定が欠かせません。本節では、コンサルティング活用を検討すべき状況、期待できる効果、そして最適なパートナー選定の基準を解説します。

コンサルティング活用を検討すべき状況

専門性の高い分析手法の導入や短期での成果創出が求められる場合、外部知見の活用が効果的です。また、社内の推進体制が十分でない段階で、経営層からの強い期待がある場合にも、外部支援は有効な選択肢となります。

特に以下のようなケースでは、データ分析コンサルティングの活用が大きな価値を生み出します。

  • 専門知識の迅速な導入が必要な場合: AI・機械学習などの高度な分析技術を短期間で取り入れたい。
  • 全社的なデータ活用基盤の構築が必要な場合: 散在するデータを統合し、組織全体で活用できる環境を整備したい。
  • 現場への定着・浸透に課題がある場合: 分析結果を実際のビジネス改善につなげる運用体制を確立したい。

内部リソースでは克服が難しい課題の見極め

コンサルティングを活用する判断をする際は、自社リソースだけでは対応が難しい課題を明確にすることが重要です。一般的に以下のような課題がある場合、外部の専門知見が有効です。

  • 業界横断的な知見やベストプラクティスの獲得
  • 特殊な分析手法や最新技術の導入
  • 短期での専門人材の確保
  • 社内の政治的な要因や部門間の利害調整

これらの課題がある場合、外部の客観的な視点と専門性が大きな価値を生み出します。

業界横断的な知見の獲得、特殊な分析手法の導入、短期での専門人材の確保など、内部リソースだけでは対応が難しい課題があります。また、社内の政治的な要因や部門間の利害調整が必要な場合、外部の客観的な視点が有効です。

NTTデータ関西ではこのような課題に対応した「 データ分析・活用ソリューション 」を提供しています。 データ分析・活用基盤の構想策定から構築・運用、さらには全社定着までを一貫して支援 しています。

コスト対効果の見極め方

データ分析コンサルティングの費用は一定規模の投資を必要とします。そのため、期待する成果と必要な投資を明確に定義し、ROI(投資対効果)の観点から判断することが重要です。

効果的な投資判断をするには、短期的な財務効果と中長期的な組織能力の向上という2つの視点からバランスよく評価することが大切です。たとえば、コスト削減や売上向上といった定量的効果だけでなく、知見の内部移転や社内のデータ活用文化の醸成といった数値化しにくい中長期的な効果も考慮すべきです。

予算設定の目安としては、中小企業の場合は年間売上高の1〜3%程度、大企業の場合はプロジェクト型で年間1億円を超える予算を組むケースもあります。いずれの場合も、自社の状況と目的に応じて適切な投資規模を見極めることが重要です。

最適なパートナー選定の基準

コンサルティングパートナーを選定する際は、以下の基準を明確にした上で、最適なパートナーを選定することが重要です。

  • 業界知識と実績: 自社と同業種や類似規模の企業での成功実績があるか
  • 技術力と分析手法: 最新の分析技術やツールを活用できる能力があるか
  • 知識移転の姿勢: 自社への知見の移転・内製化を重視しているか
  • 柔軟な対応力: プロジェクト途中での要件変更や新たな課題への対応力があるか
  • チームの相性: 自社の文化やワークスタイルと相性が良いか

契約形態の選択と注意点

データ分析コンサルティングの契約形態は、プロジェクトの性質や目的によって適切に選択する必要があります。主な契約形態として、以下の3つがあります。

1. 準委任契約型

一定期間の支援を前提とした契約で、月額固定での専門家アサインが特徴です。柔軟な支援内容の変更が可能で、特に推進初期の体制構築フェーズに適しています。

2. 請負契約型

明確な成果物を定義し、固定費用で契約を結びます。具体的な分析モデル開発などに適していますが、スコープの明確な定義が重要です。

3. 成果報酬型

達成した成果に応じて報酬が変動する契約形態です。リスクとリターンを共有する形となりますが、KPIの適切な設定と効果測定方法の事前合意が必須となります。

契約時には、知的財産権の帰属、機密保持条項、契約変更・解約条件、データの取り扱いに関する責任範囲など、詳細な取り決めが必要です。これらの条件を慎重に検討し、自社の状況に最適な契約形態を選択することが重要です。

ハイブリッドアプローチの実践

多くの場合、自社推進と外部活用を組み合わせたハイブリッドアプローチが最も効果的です。本節では、両者の強みを生かした具体的な進め方と、成功のポイントを解説します。

段階的な内製化の進め方

外部コンサルティングの専門的支援を受けながら、段階的に自社の体制を整備していくアプローチが効果的です。プロジェクト開始時から知見の移転計画を明確に定め、それに基づいた計画的な人材育成を進めることが、長期的な成功につながります。

たとえば、初期フェーズでは外部コンサルタントが主導し、自社メンバーはOJTを通じて実践的なスキルを習得します。中期フェーズでは両者が協働し、自社メンバーの主体性を徐々に高めていきます。最終フェーズでは、外部コンサルタントはアドバイザー的な役割に移行し、自社メンバーが中心となってプロジェクトを推進します。

このような段階的な移行によって、知識とスキルの確実な定着が図れます。

効果的な役割分担

自社チームとコンサルティングチーム、それぞれの強みを生かした役割分担が重要です。特に、業務知識とデータ分析の専門性を組み合わせることで、より実効性の高い施策を導き出すことができます。

自社チームは業務プロセスやデータの文脈、組織文化に関する深い理解を持ち、実行可能性の高い施策の検討や現場への展開を担当します。一方、コンサルティングチームは最新の分析手法や業界横断的な知見、客観的な視点を提供し、分析の質と効率を高める役割を果たします。

持続的な発展に向けて

データ分析の取り組みを一過性のものとせず、持続的な競争力の源泉とするためのポイントを解説します。単なるプロジェクト成功にとどまらず、組織全体の変革につなげる視点が重要です。

データドリブン文化の醸成

データに基づく意思決定を当たり前にする組織文化の醸成が長期的な成功の鍵となります。この文化を根付かせるためには、トップダウンとボトムアップの両面からのアプローチが効果的です。

経営層のコミットメントとしては、データを活用した意思決定の実践と発信が重要です。経営会議などの場で「なぜそう考えるのか」「そのデータはあるのか」といった問いかけを繰り返すことで、組織全体にデータ重視のマインドが浸透していきます。

同時に、現場レベルでの小さな成功事例を可視化し、組織内で共有する仕組みも重要です。日常業務の中で「データを見て判断する」経験を積み重ねることで、自然とデータドリブンな思考が身につきます。定期的なデータ分析コンテストや成功事例発表会などを開催し、全社的な機運を高める取り組みも効果的です。

データドリブンの基本概念について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

【基礎編】データドリブンとは?いま注目の理由と必要なツール8選をわかりやすく解説

継続的な改善サイクルの確立

データ分析の取り組みは一度の成功で終わらせてはいけません。分析結果の効果測定、新たな課題の特定、さらなる改善施策の立案というPDCAサイクルを確立することが重要です。

このサイクルを効果的に回すためには、まず適切なKPIの設定が欠かせません。「何をもって成功とするか」を明確に定義し、定期的に測定・評価する習慣をつけましょう。KPIの設定には、短期的な業績指標だけでなく、データ活用度や組織能力の向上といった中長期的な指標も含めることが望ましいです。

組織間連携の強化

データ分析の価値を最大化するためには、分析部門と事業部門の緊密な連携が不可欠です。

効果的な連携のためには、「データトランスレーター」と呼ばれる橋渡し役の育成が効果的です。これは、データサイエンスの知識とビジネスへの理解の両方を持ち、分析結果を現場が活用できる形に「翻訳」する人材です。また、定期的な合同ワークショップやローテーション人事などを通じて、互いの理解と信頼関係を深めることも有効な手段となります。

まとめ:自社に最適なアプローチの選択

本記事では、データ分析の推進における自社での取り組みと外部活用、それぞれのメリットとポイントを解説してきました。最適なアプローチは企業によって異なりますが、いずれの場合も明確な目的設定と段階的な展開が重要です。

自社の現状を客観的に評価し、「何を達成したいのか」「どのようなリソースが利用可能か」「どのくらいの期間で成果を出す必要があるか」といった基本的な問いに答えることから始めましょう。短期的な成果と長期的な組織能力の向上、両方のバランスを考慮したアプローチが成功への鍵となります。

NTTデータ関西では、 データ分析・活用基盤の構想策定、構築・運用から全社定着まで支援する「データ分析・活用ソリューション」を提供 しています。

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「データ分析・活用ソリューション」の担当者インタビューもあわせてご参照ください。

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