ビッグデータの種類や使い方を解説。有効活用して迅速な経営判断を
ビッグデータを活用して経営判断を迅速に行うことで、企業の競争力を高めたり、組織力の強い企業へと成長させたりするデータドリブン経営に注目が集まっています。 マーケティング戦略においてもデータ活用は必須と言われる時代 です。多くの企業で顧客情報や社会の動きなど、さまざまなデータを収集し、蓄積しています。しかし、そもそもビッグデータとは何なのか、そして、どう活用すると求める効果が得られるのか。それらを詳しく説明できない企業家は少なくありません。深く理解しないまま、ビッグデータの重要性という言葉が一人歩きしている状態なのかもしれません。今回は、ビッグデータとは何かを知り、効果的に活用するためのポイントを探ってみましょう。
「【基礎編】データドリブンとは?いま注目の理由と必要なツール8選をわかりやすく解説」
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ビッグデータとは何か
言葉から判断すると、ビッグデータとは大量のデータだと想像できます。しかし、ビジネスの現場で使われるビッグデータとは、ただ膨大な数のデータが集まった状態を指しているのでしょうか。
多様な形式の、多様な要素を含んだ、多様な種類のデータ
ビッグデータに明確な定義があるわけではありませんが、IT用語辞典では、「ビッグデータとは単に量が多いだけでなく、 さまざまな種類・形式が含まれる非構造化データ・非定型的データであり、さらに、日々膨大に生成・記録される時系列性・リアルタイム性のあるようなもの を指すことが多い」とし、続けて「今までは管理しきれないために見過ごされてきたそのような データ群を記録・保管して即座に解析することで、ビジネスや社会に有用な知見を得たり、これまでにないような新たな仕組みやシステムを生み出したりする可能性が高まる 」としています。
また、アメリカ大手のIT調査会社ガートナー社では、ビッグデータの特徴として3つのVを挙げています。
その3つとは、Volume(データの大きさ)、Velocity(入出力や処理の速度)、Variety(種類や情報源の多様性)であり、これらのいずれか、あるいは、複数の要素が極めて高いものがビッグデータであるとしています。
さらにVeracity(正確性)としてリアルタイムのデータであることや、Value(価値)として活用することで経済的価値が発生するものであることを加える考え方もあります。
こうした要素から考えると、 ビッグデータは多様な種類があり、形式も統一的でないために使いづらく、今までは利用できていなかったけれども多くの要素を含んでいるため、活用すれば新たな仕組みやシステム、ビジネスチャンスを広げる可能性が高いもの だといえます。
ビッグデータの種類
ビッグデータには多様な種類が存在すると前項で紹介しました。種類については総務省が示している「平成29年版 情報通信白書」で、大きく4つに分類できるとしています。
オープンデータ:政府や地方公共団体が提供するデータ
オープンデータとされているものは、政府や地方公共団体など公的な機関が保有している公共情報についてオープン化することを強く推進すべきであるとされるデータを指します。
知のデジタル化:企業がノウハウをデジタル化・構造化したデータ
このデータが指すものは、今まで企業や組織の活動経験のなかで、暗黙知として蓄積されてきたデータであり、企業や組織のパーソナルデータ(個人情報)以外の部分です。
M2M:ストリーミングデータ
ストリーミングデータというのは、さまざまなIoT機器から収集されるデータです。
パーソナルデータ:個人の属性に係るデータ
パーソナルデータというのは、個人の属性や行動・購買履歴、ウェアラブル機器から収集された個人情報などを含むものです。
ビッグデータを活用する方法
では、日々蓄積される膨大な数のデータを企業活動に、あるいは自治体が提供するサービスの向上に活用するにはどのような使い方をすればよいのでしょうか。その手法を見てみましょう。
- データの収集・蓄積
- データを効果的に使ってマーケティング戦略を練るにしても、経営判断を的確かつ迅速に行うためにも、論拠となるデータ分析結果が必要です。分析をするためには、十分なデータの量がなくてはなりません。そのため、 顧客情報、SNS、IoT機器など、さまざまな方法でデータを集め蓄積 します。
- データのクレンジング、可視化
- 収集し蓄積されたデータはすべて正しい情報であるとは限りません。たとえば、同じことを表現していても異なった単語が使われていることもあれば、誤記、間違った認識(誤認)、デマが含まれていることもあります。そうした 多様で品質が一定しない膨大なデータを、一定の基準でふるいにかけ、最適化する必要があります。 こうした作業をデータのクレンジングといいます。
- また、ただの数値の羅列にすぎないデータを、たとえばグラフやチャート、画像などに変換してデータ内に含まれている情報を表示させることによって、数値の羅列に隠されていた現象の関係性などが理解できるようになります。これをデータの可視化といいます。
- 数値でしかないデータをクレンジングして可視化することで、目的に適した使い方ができるようになります。
- データの分析・解析
- クレンジングし可視化したデータで、たとえば顧客の行動を促すための戦略を練る際に、行動履歴と顧客の属性の関連性を分析したり、どのような場合に顧客が購買行動を起こすのかといった行動予想を出したり、さまざまな分析・解析、予想を立てられます。 具体的な分析、解析、予想を基にすることで、実施すべき戦略が見えてくるのです。 データ分析について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
他社に勝つ経営、マーケティング戦略のカギはデータ分析〜目的に合った分析手法を紹介〜
https://www.nttdata-kansai.co.jp/media/014/NTTデータ関西は、目的に応じたデータ分析・活用基盤の構想策定、構築・運用から全社定着まで一気通貫で支援しています。詳細は下記サイトをご覧ください。
NTTデータ関西 データ分析のソリューション一覧
https://www.nttdata-kansai.co.jp/analysis/ビッグデータ活用の注意点と事例
ビッグデータを実際の企業活動に活かすためにはいくつか注意しておきたい点があります。「環境」「人材」「セキュリティ」です。ここでは、それらの3つの注意点と実際にビッグデータを活用している企業の事例を見ておきましょう。
3つの注意点
ビッグデータを活用するにあたり、特に注意したいことは以下の3つです。
1.企業内のシステム環境を整備する
ビッグデータを扱うためのシステム環境を企業内に構築する必要があります。ビッグデータを保存するためのストレージをはじめ、精細な分析ができるだけのスペックを持ったコンピュータなどを準備します。 また、企業内のシステムがレガシーであったり、データがそれぞれの部署や担当者によって個別に保存されていたりする状況も改善しておく必要があります。 データは一元管理ができるようにソリューションを活用して環境構築をすすめましょう。
2.ビッグデータを可視化、分析できる人材を確保する
ビッグデータはそのままでは数値の羅列でしかありません。 それを 目的に応じて要素を抜き出し、分析して、誰にでも理解できる形に表示させる必要があります。 こうした作業が行える人材は不可欠です。また、こうしたIT人材は、IT技術や知識があるだけではなく、企業が目指すビジネスの在り方を理解し、反映できるマインドをもっていることも重要です。
3.組織全体のセキュリティ対策を講じる
膨大なデータを活用するにあたっては、セキュリティ対策は万全を期す必要があります。ビッグデータには個人情報も含まれますので、そうした情報の扱い方や保存の仕方が企業全体で徹底されていないと、法的に問われるだけでなく、企業の信頼も失うことになります。
セキュリティの高いシステムを選ぶことと、データを扱うすべての従業員のセキュリティ意識を高めていく必要もあります。
活用事例:株式会社NTTドコモ「誰もがデータを基に意思決定できる」環境を実現
長年にわたり、顧客の情報をさまざまな接点から高鮮度、高精度のデータを収集してきたNTTドコモは、「データドリブンによる価値創造を新しいあたりまえにすること」の実現に向けて、さらなるデータ活用を推進していました。データ活用にあたってはBIツール「Tableau」を利用して、誰もが素早く簡単に状況確認できる定型レポート「ダッシュボード」と、自由レポート「セルフBI」、意思決定の高度化を実現するための「経営ダッシュボード」、営業、マーケティング、店舗スタッフが販売やサービス向上のために活用できる「販売日報・店頭日報ダッシュボード」などを全社に提供しました。環境を整えることで、それぞれの店舗で、自店のデータを簡単に見られるようになったほか、支社のスタッフがそれぞれ統括しているドコモショップに対してデータを基にした指導が容易になりました。
NTTドコモは技術的、スキル的にサポートを依頼したNTTデータ関西とともに、ディスカッションを重ね、マインドを理解してもらいながら、こうした環境を実現してきました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
NTTドコモの「全社データドリブン経営」推進を支える、NTTデータ関西のダッシュボード開発、データマネジメント支援
https://www.nttdata-kansai.co.jp/media/016/まとめ: ビッグデータを目的に応じて使いこなし、競争力を高める
膨大なデータを蓄積しているだけでは、企業活動に活かせません。データに含まれるさまざまな要素を目的に応じて抜き出し分析することで、動向を明らかにしたり予測を立てたりできるようになります。そして、経営に必要な意思決定を迅速に、的確に行えるようになります。言い換えれば、 データを可視化し、目的に応じた分析ができなければ、ビッグデータの価値は実感できない ということです。どのように使いこなすのかを理解したうえで、システム環境、人材などデータの利活用に必要な体制づくりをすすめましょう。
NTTデータ関西には、ビッグデータを活用しデータを可視化・分析するための「Tableau」や、分析し予測する「Alteryx」といった一気通貫でサポートできるソリューションが豊富にそろっています。ぜひご相談ください。
NTTデータ関西 データ分析のソリューション一覧
https://www.nttdata-kansai.co.jp/analysis/