ローコード開発の4つのメリット!注目されている理由と成功のポイントも解説
2025年の崖問題をはじめ、企業や自治体、さまざまな団体組織において既存システムの状況や業務フローなど、従来のあり方を見直す動きが加速しています。そのうえで、新しい価値を創造し、市場における競争力を強化して、企業活動を向上させるための取り組みが推進されています。それは、DXを実現して、デジタル社会においてより社会貢献のできる理想の企業を目指しての一貫した動きだといえるでしょう。
こうした動きのなか、激変するビジネス環境や市場ニーズにも迅速に対応するためのアプリケーション開発手法に注目が集まっています。それがローコード開発です。今回はローコード開発とはなにか、そのメリット・デメリット、成功のポイントなどについて紹介します。
目次
ローコード開発とは?
ローコード開発とは、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)でプラットフォーム側が用意したテンプレートと部品を組み合わせるようにしてアプリケーションをつくり上げていく手法です。
GUIは、コンピュータに出す命令や指示などを、画面上で視覚的に指定できるものです。
GUIでアプリケーションを開発できるローコード開発では、ソースコード(以下、コードという)のほとんどが不要で、直感的に操作できるのが特徴だといえます。
ローコード開発はアプリケーション開発が手軽になる反面、フルスクラッチで開発するアプリケーションに比べると、開発の自由度に制限があります。 また、開発したいアプリケーションによってはローコード開発に向かないものもあるため、どういったアプリケーションを開発するのかを見極めることがローコード開発を利用するときの注意点になります。
ローコード開発についての詳細は、下記の記事でも解説しています。
DX時代に不可欠!ローコード開発の基本とメリット・デメリットを解説
ローコード開発とノーコード開発の違い
ローコード開発とノーコード開発は、 どちらもプログラミングの知識が少ない人でもアプリケーションを開発できる手法 です。
ローコード開発は、前述の通りコードのほとんどが不要で、柔軟性が高く、ある程度のカスタマイズが可能な点が特長です。
一方、 ノーコード開発は、コードをまったく必要としません。 あらかじめ用意されたテンプレートや機能を組み合わせることで、簡単にアプリケーションを作成できます。そのため、 誰でも活用できて開発スピードも速い という大きなメリットがありますが、 ローコード開発に比べて柔軟性は低く、高度なカスタマイズは難しい というデメリットがあります。
シンプルなアプリケーションを素早く開発したい場合はノーコード開発が適しており、より複雑で柔軟性の高いアプリケーションを開発したい場合はローコード開発が適しているといえるでしょう。
ローコード・ノーコードの違いについては、下記の記事が参考になります。
【ローコードvsノーコード】開発手法の違いとメリットを比較!DX実現への近道
ローコード開発が注目されている理由
いま、ローコード開発が注目されているのはなぜでしょうか。2025年の崖問題やDXへの取り組みを踏まえ考えてみましょう。
DXの進展
多くの企業がDX実現に向けて取り組んでいます。 DXは、単純に業務をデジタル化して効率化するというだけではありません。膨大なデータを利用できる環境を構築し、新しい価値を創造することで市場における競争力を付け、企業価値を高めるための取り組み です。
こうした取り組みを迅速に行うためには、それぞれの業務に適した使いやすいアプリケーションの開発が必要です。また、IT人材が不足している状況でも、アプリケーションの開発ができる手法を選択することも必要です。これらの状況からローコード開発が注目を集めていると考えられます。
DXについての詳細は、以下の記事でも解説しています。
DX徹底解説。定義と目的、導入時の手順と課題のほか、成功事例を紹介
アプリケーション開発方法の転換
デジタルテクノロジーの発展にあわせて、アプリケーションの開発方法を改善しようと動きはじめている企業が増えています。
従来、それぞれの業務に適したアプリケーションを開発するためには、IT知識や技術をもったエンジニアが対応したり、開発企業に委託をしたりするのが一般的なやり方でした。
そのため、アプリケーション開発やメンテナンス、更新といった作業においては、担当者が固定されてしまう属人化が起こっていました。限定されたメンバーのみが作業する状態だと、業務アプリケーションとしては不十分です。従来のやり方を繰り返していたのでは、時間もコストもかかるうえ、業務の属人化を招くおそれは解消されません。
そこでいま、変化の激しいビジネス環境に対応するためにも、 業務を担うすべての担当者が保守・管理できるアプリケーションを作ろうという開発方法の転換 が起きています。
2025年の崖への対策強化
経済産業省は2018年のDXレポートにおいて2025年の崖問題を指摘するなかで、約7割の企業が老朽化したシステムを刷新できておらず、それがDXの足かせとなっているとしています。この問題により、膨大な額の経済損失(最大で年間12兆円)が生じる可能性があります。
2025年の崖は、経済損失だけでなく、人材不足を引き起こす可能性があります。こういった 2025年の崖による課題の対策として有効であると期待されているのがローコード開発 です。
経済損失、人材不足、それぞれの課題に対してローコード開発がなぜ有効なのか見ていきましょう。
コストを削減し経済損失に対応
必要な機能を搭載したアプリケーションをフルスクラッチでコードをすべて書く方式で開発するには、プログラミングに関する専門知識と経験をもつエンジニアが必要になります。また、開発には、費用や時間がかかります。
ローコード開発では、開発スピードが速く、開発工数が少ないため、レガシーシステムの刷新にかかるコストを大幅に削減 できます。また、 レガシーシステムを速やかに刷新することで、システム停止によるビジネス損失を未然に防ぐことも可能 になるでしょう。
だれでも開発しやすい環境を整備し専門人材の不足を解消
ローコード開発では専門的なプログラミングに関する知識はほとんど必要ではありません。
「開発ツールの使い方が理解できる」「独自に開発したい一部分のコード書き込みなどに対応できる」といった少し知識のある担当者であれば、十分に開発が可能です。また、開発後も現場の状況に応じて、修正やメンテナンスを行いやすいのもローコード開発が注目される理由のひとつです。
2025年の崖についての詳細は、以下の記事でも解説しています。
また、2025年の崖をどのように乗り越えるべきかについては以下のインタビュー記事でも語っています。
▼ インタビュー記事
「2025年の崖」を乗り切るだけでなく、その先も見据えた基幹システム更改に
ローコード開発の4つのメリット
ローコード開発を利用してアプリケーションをつくる4つのメリットについて確認しておきましょう。
1.現場の要望を反映しながら開発できる
従来は、実際にアプリケーションを使う人(企業)と開発者は別々でした。
そのため、アプリケーションを開発するには、アプリケーションを使う人が求めているものはどのような機能であるのかを、開発者がヒアリングし理解する工程が必要でした。
一方、ローコード開発においては、専門知識がほとんど不要なため、アプリケーションを活用して仕事をする現場の担当者が開発に関われます。担当者は、具体的に何をどのようにしたいのか、どのような作業に使うためのアプリケーションが必要なのかを理解しているはずです。そのため、使い勝手や必要不可欠な機能を考えながら、使いやすいアプリを開発できます。
2.短期間で開発できる
ローコード開発ツールには、 あらかじめテンプレートや部品が用意されており、それらを組み合わせて必要とする機能を盛り込んでいきます。 作業を実行する担当者が直接開発に関わることも可能なので、要件定義のための打ち合わせ時間も省略できます。
それ以外の工程においても、動作確認後の修正依頼の手間など一連の開発工程が必要であったものを簡略化できるので、 開発から始動までの時間が短縮 されます。
また 少ない開発者でプロジェクトを進められるため人件費の削減にも効果的 です。
3.開発ミスを減らせる
開発のミスを大幅に削減できるのもメリットです。
GUIを用いた開発が基本なので、 設計が「見える化」され、必要とする動作と実際の動作のズレが少なくなります。 さらに、設計情報からプログラミングを自動で生成できる開発ツールであれば、人的ミスによるバグも防げます。
また、現場で機能が想定通りに稼働しているかどうかといった状況を確認しながら開発を進められることもミスを減らせる要因です。
ミスを減らせると品質の向上につながるため、企業のサービスの質全体を押し上げられるでしょう。
4.アプリケーション完成後も改修しやすい
自社内製で開発ができると、アプリケーション完成後の改修も容易 になります。
通常、アプリケーションを開発した後は、実際の業務で活用し、必要な作業がこなせるかを検証する必要があります。検証の結果、不具合が見つかれば修正を重ねることになります。また、業務内容が変更になった場合には、それに合わせてアプリケーションの動作を改修しなければならないこともあります。
こうしたケースにおいても、自社内製ができるローコード開発であれば、容易に対応できます。専門知識を持ったエンジニアに依頼することなく、現場の担当者自身が迅速に改修作業を行えるからです。これにより、アプリケーションを常に最適な状態に保てるようになるでしょう。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発におけるデメリットを理解して利用することが、アプリケーション開発を成功させることにつながります。ローコード開発のデメリットを4つみておきましょう。
開発ツールの機能に制限がある
ローコード開発では、開発ツールにあらかじめ用意されたテンプレートや部品を組み合わせてアプリケーションを作ります。そのため、開発ツールの機能によっては制作が制限されます。 用意された機能以外を細かな設定で実装するのは難しいケースもある でしょう。
開発ツールの習熟が必要
ローコード開発は、コードを知らなくても開発できるのがメリットです。しかし、開発ツールの操作や実装したい機能によっては、ある程度のコード記述が必要な場合もあります。
開発内容によっては専門的なプログラミング知識が必要になることもあると知っておきましょう。
セキュリティ対策がベンダーに依存する
ローコード開発のセキュリティ対策は、開発ツールを提供しているベンダーの管理範囲に依存します。自社独自のセキュリティポリシーと合致しない場合もあるため、自社のポリシーに準じた対策を別途施す必要があります。
アプリケーションの乱立とブラックボックス化のリスク
ローコード開発の最大のメリットともいえるのは、現場の作業担当者が参加して、使い勝手の良いアプリケーションを現場で開発できることです。
しかし、それぞれの現場で最適化されたアプリケーションが乱立すると、連携が取りにくくなってしまうリスクもあります。その結果、アプリケーションのブラックボックス化やデータのサイロ化が起こりやすくなります。
ローコード開発を成功させるポイント
ローコード開発を成功させるためには、ポイントを理解した上で必要な手順を踏むことが重要です。ここでは3つのポイントを紹介します。
開発目的を明確にする
ローコード開発を活用する前に、どのようなアプリケーションをつくり、どういった業務課題を解消したいのかなど、目的を明確にしておきます。目的の明確化が重要な理由は、ローコードには開発が不向きなアプリケーションがあるからです。
たとえば、ローコード開発は複雑でカスタマイズ性が高いアプリケーションの開発には向きません。ローコード開発はあらかじめ用意されているテンプレートを利用して部品を組み合わせることで、コードを利用することなく開発できるのがメリットですが、逆に言えば、コードをすべて書いて開発するフルスクラッチ開発に比べるとかなり自由度が低いといえます。そのため、細かな作業や複雑な作業をするためのアプリケーション開発には向いていないのです。
ツール選びは慎重に行う
ローコード開発に使用するツールを選ぶときに注意すべき点を確認し、ツールを選択しましょう。
ツールを選ぶ際に見るべき3つの要素をお伝えします。
1.基本的な機能の搭載状況
業務課題を解決するためのアプリケーションを開発するにあたり、その解決に資する機能が実装できるのかを判断する必要があります。
2.セキュリティ
次に、セキュリティ面の確認も重要です。セキュリティはローコード開発ツールを提供しているベンダーが用意している内容に左右しますので、内容を確認しておきましょう。
3.価格
価格が適正かどうかも判断しましょう。ローコード開発ツールの料金はクラウド型かオンプレミス型かによって異なります。必要な機能と対応デバイスなどの要件と費用が見合っているかを確認しましょう。
ベンダーのサポートが充実しているかどうか確認する
ベンダーのサポート体制も確認しておきましょう。
ローコード開発ツールを活用して、アプリケーションを内製化する際に、開発サポートやアドバイスをしてもらえるかも事前に確認しておくことが重要 です。
サポートが充実しているツールで開発を進めたいという方には、NTTデータ関西が提供する「intra-mart内製化支援サービス」がおすすめです。
intra-martとは、ローコード開発機能やワークフロー開発機能など多くのモジュール(機能部品)を保有、デジタル化や自動化などを行い、多様な業務のDX推進に取り組めるシステム共通基盤(業務改善プラットフォーム)です。 業務に合わせた カスタマイズが容易で、開発が速く、システム間の連携がしやすい のが特徴です。
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まとめ:ローコード開発をうまく活用して既存システムの刷新や業務環境改善を加速させる
ローコード開発は、プログラミングの専門知識や経験が少なくても、必要な機能を搭載したアプリケーションを開発できる手法 です。ただし、各現場が独自に開発することで、アプリケーションの乱立や連携不足などの問題が生じる可能性もあります。
ローコード開発をうまく活用するには、 業務環境全体を把握し、計画的に開発を進めることが重要 です。また、ローコード開発では実装できる機能に制限があるため、ある程度のコード記述ができる担当者を配置したり、ベンダーと相談したりできる関係を築いておくことも必要でしょう。
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intra-mart内製化支援サービスの特長|NTTデータ関西
下記の記事では、intra-martの開発背景やDX推進の現状と課題について語っています。
▼ インタビュー記事
「全体最適視点のローコード開発が業務変革と効率化の鍵」NTTデータ関西が見据える「DX推進」とは?
実際にintra-martをご利用いただきました企業様の声は下記インタビュー記事が参考になります。
▼ ご利用企業様のインタビュー