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地方創生とDXの融合で実現する、持続可能な地域づくりへの道筋

 |  DX

日本の地方自治体は大きな転換期を迎えています。人口減少や少子高齢化の加速、地域産業の衰退、そして新型コロナウイルス感染症がもたらした社会変革など、課題は山積しています。

こうした困難な状況の中で、新たな可能性を開く鍵として注目を集めているのが、 DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した地方創生 です。

本記事では、地方創生とDXの本質的な意義から、実践的な進め方、そして具体的な成功事例まで、持続可能な地域づくりの実現に向けたポイントを詳しく解説していきます。

DXの概要については、次の記事をご覧ください。

DX徹底解説。定義と目的、導入時の手順と課題のほか、成功事例を紹介

地方創生とは

地方創生の定義と目的

地方創生とは、人口減少・超高齢化という国家的課題に対して、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続可能な社会を創り出す取り組みです。この取り組みは、地域の資源や特性を最大限に活用しながら、地域経済の活性化と住民の暮らしの質の向上を同時に実現することを目指しています。

その核心は、「ひと」をつくり、その「ひと」が「しごと」をつくり、「まち」をつくるという好循環の確立にあります。地域に暮らす人々が主役となって地域固有の価値を創造し、未来に向けて持続可能な地域社会を築いていくことが求められています。

地方創生のこれまでの歩み

この10年間、全国の自治体では地域の特性を活かしたさまざまな取り組みが展開されてきました。移住・定住の促進、企業誘致による雇用創出、観光振興による交流人口の拡大など、それぞれの地域が独自の戦略を立てて地域活性化に取り組んでいます。

たとえば、テレワークの普及を契機とした都市部からの移住者増加、地域資源を活用した新たな産業の創出、官民連携による地域課題解決など、着実な成果を上げている事例も見られます。しかし、その一方で、従来型の施策だけでは十分な効果が得られない地域も多くあります。特に、人口減少や高齢化が急速に進む地域では、デジタル技術を活用した新しい地域づくりの手法が求められています。

地方創生の主要施策

地方創生は、 「ひとの創生」「しごとの創生」「まちの創生」 という3つの柱を軸に展開されています。

「ひとの創生」では、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる環境整備や、地域を担う人材の育成・確保に力を入れています。

「しごとの創生」では、地域における安定した雇用を創出し、地域経済の活性化を図ります。

そして「まちの創生」では、時代に合った地域づくりと、地域と地域の連携を推進しています。

近年では、これらの取り組みにデジタル技術を効果的に組み合わせた「 デジタル田園都市国家構想 」が新たな施策として打ち出され、注目を集めています。この構想は、デジタル技術の活用により地方の社会課題を解決し、地方と都市の差を縮めることを目指しています。

デジタル田園都市国家構想については、こちらの記事が参考になります。

デジタル田園都市国家構想とは?目的やポイント・4つの事例をわかりやすく解説

なぜ今、地方創生にDXが必要なのか

地方自治体を取り巻く環境の変化

地方自治体は現在、かつてない難しい局面に直面しています。財政基盤の脆弱化が進む一方で、社会保障関連経費は年々増加の一途をたどっています。また、行政サービスへの需要は多様化・高度化しているにもかかわらず、自治体職員の担い手不足は深刻化しており、従来の行政運営手法では立ち行かない状況が生まれています。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、行政サービスのデジタル化や非接触型のサービス提供へのニーズが高まっており、業務やサービスの在り方そのものを見直す好機となっています。

DXがもたらす可能性

このような状況下で、DXは地域の課題解決と魅力向上に大きな可能性をもたらします。

具体的には、 行政手続きのオンライン化やAI・RPAの活用による業務効率化により、限られた人的資源を有効活用 できます。さらに、各種データの分析に基づく効果的な政策立案や、リモートワークの普及による地方移住の促進など、DXは地域の価値を高める重要なツールとなります。

さらに、IoTやAIなどの先端技術を活用したスマートシティの取り組みは、交通、エネルギー、防災など、さまざまな都市機能の効率化と高度化を実現し、住民の生活の質を向上させることができます。

自治体のDX推進については、次の記事も参考になります。

自治体のDX実現で、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会をめざす

18の事例で探る、自治体のDX推進で何がどう変わる?

地域資源の活用

デジタル技術の活用は、これまで十分に活かしきれていなかった地域資源に新たな価値を見出す機会も創出します。たとえば、地域の伝統工芸や食文化をデジタルアーカイブ化して観光コンテンツとして活用したり、耕作放棄地や空き家などの遊休資産をデジタルプラットフォームで効率的にマッチングしたりすることが可能になります。

また、地域特産品のECサイトでの販売や、観光資源のVR・AR技術を活用した発信など、デジタル技術は地域の魅力を全国、さらには世界に向けて発信する強力なツールとなります。

地方創生×DXの具体的な取り組み事例

行政サービスのデジタル化による住民満足度向上

行政サービスのデジタル化は、 住民の利便性向上行政の効率化 を同時に実現する重要な取り組みです。マイナンバーカードを活用したワンストップサービスの実現や、各種手続きのオンライン化により、住民は24時間365日、いつでもどこでも必要な行政サービスを利用することができるようになります。

これにより、住民の行政手続きにかかる時間と労力が大幅に削減されるとともに、行政側も窓口業務の効率化や業務プロセスの標準化によって、サービスの質の向上と業務負担の軽減を図ることができます。

NTTデータ関西が提供している e-TUMO 」は、住民と行政をつなぐフロントシステムを24時間365日安定稼動のクラウド型サービスで実現し、地方創生DX、自治体DXの推進を支援 します。

電子申請サービス「 e-TUMO APPLY 」、汎用予約サービス「 e-TUMO RESERVE 」、粗大ごみ受付サービス「 e-TUMO ECOLIFE 」、マイナンバーカード交付予約・管理サービス「 e-TUMO MYNUM 」のラインナップがあります。

▼e-TUMOの事例については、次の記事をご参照ください。

https://www.nttdata-kansai.co.jp/casestudy/#e-tumo

データ活用による効果的な政策立案

データに基づく政策立案(EBPM:Evidence Based Policy Making)は、限られた資源を最大限に活用し、地域課題の解決を実現する重要な手段となっています。たとえば、人口動態データを活用した公共施設の最適配置計画の策定や、観光客のGPSデータを活用した観光振興策の立案など、客観的なデータに基づく政策決定により、より効果的な施策を展開できます。

地域産業のDX支援

地域経済の活性化のためには、地域企業のデジタル化支援も重要です。デジタル化補助金の創設、ITアドバイザーの派遣、人材育成プログラムの提供など、地域企業のDXを支援する取り組みを通じて、地域全体の競争力強化を図ることができます。

地域活性化の事例については、次の記事も参考になります。

【自治体向け】地域活性化の成功事例と必要な3つのポイントとは?

スマートシティによる未来志向の地域づくり

IoTやAIなどの先端技術を活用したスマートシティの取り組みは、安全・安心で持続可能な地域づくりを実現します。たとえば、センサーネットワークによる道路や橋梁の維持管理、AIカメラを活用した見守りサービス、再生可能エネルギーの最適制御など、技術とデータの活用により、効率的で快適な都市環境を創出できます。

スマートシティについては、次の記事も参考になります。

いま注目のスマートシティ!5つの成功事例とポイントを解説

自治体が知るべき都市OSの3つの特徴。スマートシティ実現に向けた課題と解決策

NTTデータ関西の 「EYE-Portal」は、スマートシティの実現を支援するプラットフォーム です。 防災、移動、支払い、イベントなど、さまざまなカテゴリーのアプリを連携・融合し、生活者ひとりひとりに合った情報をオールインワンで提供 します。

▼EYE-Portalの詳細について

スマートシティポータルアプリ EYE-Portal® | NTTデータ関西

地方創生成功のための実践ポイント

推進体制の確立

DXを活用した地方創生を成功に導くためには、適切な推進体制の確立が不可欠です。首長のリーダーシップのもと、CIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)を配置し、部署横断的な推進組織を設置することが重要です。

また、民間企業や大学などの教育機関との連携も効果的です。外部の知見やリソースを活用することで、これまでにない発想やアイデアを取り入れた施策の展開が可能になります。

住民参加型の取り組み

地方創生の主役は地域住民です。オープンデータの活用促進や市民参加型プラットフォームの構築により、住民との協働を推進することが重要です。住民のニーズや意見を積極的に取り入れ、地域全体で取り組みを推進することで、より効果的な施策の展開が可能になります。

住民参加型の取り組みについては、次の記事も参考になります。

【事例あり】自治体が活用するスマートフォン用アプリとは?メリットや課題と対応策も解説

段階的な推進アプローチ

DXの推進は、一朝一夕には実現できません。住民ニーズの高い分野から着手し、小さな成功体験を積み重ねていくアプローチが効果的です。成功事例を地域内で共有し、横展開を図ることで、地域全体のデジタル化を段階的に進めることができます。

まとめ:持続可能な地域づくりに向けて

地方創生とDXは、これからの地域づくりにおける両輪です。デジタル技術を地域の課題解決と価値創造のツールとして効果的に活用することで、持続可能な地域社会の実現が可能となります。

そのためには、明確なビジョンと戦略のもと、住民や地域企業との協働を通じて、地域全体でDXを推進していくことが重要です。一つひとつの取り組みは小さくても、それらを着実に積み重ねることで、魅力ある地域づくりを実現できます。

デジタル技術は、地方創生を実現するための強力なツールです。しかし、最も重要なのは、その技術を使いこなし、地域の課題解決と価値創造につなげていく人材と組織の力です。地域の特性を活かしながら、デジタル技術を効果的に活用することで、誰もが暮らしたいと思える魅力的な地域社会を創造することができるのです。

NTTデータ関西では、 自治体向け行政総合サービス「e-TUMO」を通じて、行政サービスのデジタル化、DX推進を支援 しています。

▼e-TUMOの詳細について

行政総合サービスモール「e-TUMO」~自治体のDXを推進|NTTデータ関西