photo

毎日2時間かかっていた集計作業を15分に短縮し、
職員を増員することなく対応が可能
平均を上回る交付率向上の後押しに

2016年1月に交付が開始され、2022年12月時点で人口の約57%が所持しているマイナンバーカード。マイナポイントの給付や健康保険証機能の搭載など、マイナンバーカードの普及に向けて、さまざまな施策が行われています。申請から交付までのプロセスのうち、住民がマイナンバーカードを窓口で受け取る場合、窓口対応が必要となります。増加する窓口での交付・予約受付業務を効率化することで、マイナンバーカードの交付率向上の後押しとなるように東京都文京区はNTTデータ関西の個人番号カード交付予約・管理サービス「e-TUMO MYNUM」を導入しました。

課題

住民に交付するまでのフローに関する情報がExcelで管理されており、住民からの問い合わせ対応に時間を要していた。

交付した住民の情報を集約・確認することに時間を大幅に費やし、業務効率化が急務だった。

従来、利用していた予約システムの制約や仕組み上、一部では予約者の情報が正確ではなかった。

効果

  • 交付に関する住民の情報が「e-TUMO MYNUM」上で一元管理でき、住民への迅速な問い合わせ対応が可能になった。

    「交付通知が送付済の人」「すでに交付を行った人」など、交付に関する住民1人ひとりのフローが「e-TUMO MYNUM」上に集約された。その結果、住民からの問い合わせなどにもスムーズに対応できるようになった。
  • 業務が大幅に効率化。最大で2時間かかっていた業務を15分で対応できるようになった。

    1日あたり50~100件だった交付件数が、予約受付業務が効率化されることで200件にまで増加。また、その日に交付した住民の情報を集約する作業時間も以前は2時間かかっていた業務が、15分に大幅に短縮することができた。

  • 予約間違いが発生しなくなった。

    住民が交付の予約を行う際に、製造管理番号と誕生日を照合することで簡易確認が行われるため、入力ミスなどによって意図せず発生していた予約間違いが起こらなくなった。

e-TUMO MYNUMを導入する狙いは?

平田氏

マイナンバーカードが住民の手元に届くまでには、住民が交付を申請し、マイナンバーカードが発行され、発行されたことを住民に通知、住民が区役所で受け取るというフローがあります。これらの情報が、「e-TUMO MYNUM」を導入する前はバラバラに管理されていました。そのため、住民から問い合わせがあっても、「この方は今、どのフローまで進んでいるか」という情報をすぐには探し出せませんでした。職員の業務としても非効率ですし、住民には回答までお待ちいただくことになり、住民サービスの低下に繋がるものでした。「情報を一元化したい」というのが、導入にあたっての大きな期待でした。

佐藤氏

マイナンバーカードの交付にあたっては、オンラインで予約できるシステムを以前から利用していました。このシステムは、区から通知した管理番号のみの入力で予約をしてもらう仕組みであったため、間違えた番号を入力しても予約ができてしまっていたのです。Aさんが誤ってBさんの番号を入力してしまうと、区役所では「Bさんが受け取りに来る」と認識して準備していました。住民にとっても職員にとっても不都合が生じやすいシステムを改め、予約間違いが起こらない仕組みの導入を目指しました。

e-TUMO MYNUMを導入後、どのような効果が現れましたか?

平田氏

「e-TUMO MYNUM」では、マイナンバーカード交付に関する住民の情報が一元管理されています。住民の方から問い合わせがあったときなどは、「e-TUMO MYNUM」さえ見れば、「この人は今、どのフローにいるのか」が把握できます。まれに予約なしで窓口にマイナンバーカードを受け取りに来られる方もいらっしゃるのですが、そういった際も、「e-TUMO MYNUM」を見ればその方の状況がすぐに分かります。今では、「マイナンバーカードのことは、まずは「e-TUMO MYNUM」で調べる」という意識でいます。

佐藤氏

「e-TUMO MYNUM」で交付の予約を行う際には、製造管理番号と誕生日を入力してもらいます。1人ひとりに固有の情報である製造管理番号と誕生日を照合させることで、以前のように「意図せずして別の人として予約をしてしまった」という事態の発生を防ぐ仕組みになっているのです。この仕組みは非常に効果的で、「e-TUMO MYNUM」の導入によって予約間違いは発生しなくなりました。

平田氏

文京区では、受取予約の仕組みとして、住民ご自身がオンラインで交付の予約を行う仕組みと、電話での交付の予約を併用して運用しており、毎日200件ほど交付対応を行っています。「e-TUMO MYNUM」を導入する前は50~100件ほどでしたから、交付数だけでも2~4倍になったと言えます。
この変化を支えたのが、毎日行っていた交付者の集計作業の効率化です。以前は、窓口の端末に記録された交付件数と、Excelに記録されているその日の予約数を突き合わせたうえで、交付を行った人のフローを「完了」にするという業務を行っていました。それが「e-TUMO MYNUM」では、その日に予約した人の一覧表が表示されます。そこから、キャンセルなどで実際には交付しなかった人のチェックをはずしたうえで、一括して「完了」ステータスにすれば集計業務は終了です。

佐藤氏

集計作業は、100人に交付していた当時で2時間ぐらいかかっていました。それが200人に交付する現在では、わずか15分に短縮されています。集計業務を担当する職員の人数は変わりありません。浮いた時間を交付業務の推進に活用し、200件の交付業務ができるようになったのです。以前は、集計業務を見据えるとやみくもに予約枠を拡大できないという事情がありました。このハードルがなくなったおかげで、交付予約の受付を大幅に増やすことができました。その結果、東京都の中でも上位にランクインしている約60%という交付率を実現できました。

平田氏

集計にはExcelを使っていたのですが、操作は非常に複雑でした。情報量が多いうえに年度をまたいだマクロや関数が入り組んで設定されていました。「担当者が変わると使い方がわからなくなる」というリスクもありましたが、この悩みも「e-TUMO MYNUM」は解消してくれました。

佐藤氏

異動などで、交付の集計を担当する職員は変わっていきます。電話での予約に対応している職員も入れ替わりがあります。そういった状況のなかで、「だれでもすぐに、確実に使える」ことは重要なポイントです。「e-TUMO MYNUM」を使用する職員からは、「新しい担当者もすぐに使えるようになる」という声が届いています。

平田氏

住民の方からは、「マイナンバーカードができあがったことのお知らせが届くのが早い」という好評の声をいただいています。これも、集計業務の負担が軽減され、他の業務に充てられる時間が増えた結果、通知ハガキの送付が早くなったと考えています。また、予約日の前日に住民に届く「リマインドメール」も、予約日の間違いや持参物を忘れてしまうことを防ぎ、確実な交付につながっています。

今後の課題・目標は?

平田氏

交付時来庁に加えて、2022年度からは本格的に申請時来庁に関する機能も利用し始めました。マイナンバーカードの申請にあたっては、写真の撮影や書類の記入、郵送などを区役所の職員がお手伝いするサービスもあります。このサービスは、事前予約のうえでご利用いただいています。今は電話予約のみ利用していますが、今後はオンライン予約も活用していきたいと考えています。
また、職員の業務状況などに合わせて、日時と予約枠を私たちが主体的に設定してご案内できる点が非常に便利です。地域の活動センターやお祭り会場などに職員が出向いて申請をお手伝いする「出張申請」を行う際も、「e-TUMO MYNUM」を利用して受付や管理を行っています。この仕組みを今後、さらに有効に使っていきたいと考えています。

佐藤氏

電話で予約を受け付けたオペレーターが「e-TUMO MYNUM」に情報を入力する際、他の担当者に伝えておきたい「申し送り事項」の記入ができない項目や、一度記入した申し送り事項を編集できない項目があります。この仕組みを改善していただき、よりきめ細かな申し送り事項が担当者間で共有できるようになればと思っています。そうすることで、住民への対応がより親切で丁寧なものになると考えています。

平田氏

おかげさまで文京区の交付率は都内でも高い水準にありますが、現状に満足せず、さらに向上させていきたいです。そのためにはシステムのさらなる活用や窓口の拡充を進め、1日に対応できる件数を増やしていく必要があると考えています。また、広報活動にも力を入れて、1人でも多くの住民にマイナンバーカード取得に向けた申請を行ってもらいたいです。

佐藤氏

マイナンバーカードの申請は、マイナポイントの付与等の施策を国が発表すると数が増えるという、流動性の高い性質を持っています。その点、「e-TUMO MYNUM」は、私たち職員自身がシステムを操作することで予約枠などを拡充でき、申請数の増加にタイムリーに対応することが可能です。システム会社さんに依頼して設定をしてもらう仕組みだと、きっとこうはいかないはずです。「e-TUMO MYNUM」の強みを十分に活かしながら、マイナンバーカードに対する住民のみなさんのニーズにしっかりと応えていきたいです。

文京区様