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日本初!e-TUMO APPLYとLINEを連携
申請から決済、受け取りまでの一気通貫システムで
市民の利便性と職員の業務効率化を向上させる

穏やかな三河湾に面し、豊かな自然に恵まれた愛知県西尾市。全国有数の抹茶の生産地であり、伝統的な町並みや文化から「三河の小京都」とも呼ばれる西尾市は近年、デジタル技術によって「市民や事業者が便利を実感できるまち」「職員が効率的かつ自分らしく働ける市役所」の実現に取り組んでいます。2015年にはNTTデータ関西の電子申請サービス「e-TUMO APPLY」を利用開始し、2022年には日本初となる、e-TUMO APPLYサービスとLINEとを連携させた行政手続きのオンライン申請「Nishioスマート申請」の運用を開始しました。これにより、申請から決済、受け取りまで一気通貫で市民の利便性と職員の業務効率化向上を実現しました。

課題

遠方にお住まいの方や市役所にお越しになれない方は、郵送により紙で行うことが基本であり、市民・職員、共に手続きの手間がかかっていた。

手続き後の情報の集約や整理が煩雑であり、業務上の大きな負担になっていた。

e-TUMO APPLYによる電子申請を受け付けていたが、e-TUMO APPLYで電子申請を行う場合、メールアドレスの認証やパスワードの設定等が必要であり、市民の利便性向上のハードルとなっていた。

効果

  • 紙から電子になったことで業務負担が大幅に軽減され、業務効率化が向上

    今まで、紙で受け付けた申請は、職員がパソコンで情報を入力して集計を行っていたが、電子申請では、利用者本人が情報を入力するため、職員による入力や集計の業務負担が大幅に軽減され、入力間違いのリスクも抑えられた。
  • 申請から決済、受け取りまでが一気通貫で、利便性が向上

    e-TUMO APPLYとLINEを連携させた「Nishioスマート申請」では、本人確認や支払いもオンライン上で行うことが可能で、申請後は郵送される交付書類の到着を待つだけという、高い利便性を実現した。もちろん、市民は24時間365日いつでも申請ができる。
    また、書き間違いによる業務の手戻りやミスのリスクも低減できた。

  • LINE公式アカウント登録者が10万人以上になり、電子申請数は同規模団体の約10倍に増加

    西尾市様のLINE公式アカウントに「友だち登録」をした人数は10万人を超える。「Nishioスマート申請」では、多くの市民が使い慣れているLINEから行政手続きの申請を行えるようにしており、申請の際にメールアドレスやパスワードの登録が不要。手続きによっては、同規模団体では電子申請サービスを用いた申請が月に5件程度の手続きでも、西尾市様ではその10倍にあたる毎月約50件の申請を受け付けている。

e-TUMO APPLYを導入する前の課題は?

小笠原氏

西尾市は、e-TUMO APPLY電子申請サービスを愛知県と県下市町村との共同利用形式(あいち電子申請・届出システム)で利用しています。e-TUMO APPLYを利用する以前は、紙によるやりとりが基本で、窓口に来られない市民とのやりとりは郵送で対応していました。「書類を送ってもらって、市役所から返信をする」というプロセスを、もっと簡単にできないかと考えていました。時間がかかりますし、市民の負担も少なくありません。市役所職員も同様に、業務負担の大きさが課題になっていました。

早川氏

私たちは現在、e-TUMO APPLYの機能を市民向けアンケートにも利用しています。例えば、「西尾市出身の偉人 総選挙」といった企画にもe-TUMO APPLYを利用しています。以前は、書類の交付申請と同じように紙と郵便でアンケートを行っていました。「アンケート用紙を用意し、封入して発送、そして市民に返信してもらう」というプロセスは、市民にとっても、職員にとっても、非常に手間のかかるものでした。
さらに大変なのは、返信してもらったアンケートの集計です。紙で行っている限り、パソコンで回答を入力していくという作業は避けることができません。市役所の職員に対しての職場内アンケートも同じように紙で行っていたので、集計作業の煩雑さという課題は同じでした。

小笠原氏

西尾市では以前からデジタル技術の活用を推進しており、2021年に「西尾市DX基本方針」を、2022年には「西尾市DXアクションプラン」を策定しました。そこでは、デジタル技術を効果的に活用することで「市民や事業者にとって便利を実感できるまち」「職員が効果的かつ自分らしく働ける市役所」を実現しようと宣言しています。NTTデータ関西は、愛知県を通じて提供予定の機能などの情報を提供してくれます。基本方針とアクションプランの策定前から利用していた「e-TUMO APPLY」をより効果的に活用する事を考えていた際に、「LINE公式アカウントとの連携機能が提供される」と知り、「これだ!」と思い、すぐに愛知県に詳細な情報提供を依頼しました。

e-TUMO APPLYを導入後、どのような効果が現れましたか?

早川氏

市民向けと職員向けアンケートについては、集計作業の負担が大幅に軽減されました。回答者が自分自身で入力ができ、それが自動的にデータとして整理されていくのですから、e-TUMO APPLYは非常にありがたい存在です。導入から8年目となり、今では「アンケートや申請はe-TUMO APPLYを使って行う」という意識が職員に定着してきています。e-TUMO APPLYは、一度様式を作ってしまえば、記入事項を追加・削除したり、文言を変更したり、他のアンケートや手続きに流用したりと、目的に応じた修正で新しい様式を作っていくことができます。各部署の職員が自由に、自分たちの目的に合ったアンケートや申請フォームを作成して公開してくれています。

小笠原氏

2022年2月から開始した、「e-TUMO APPLY」と「西尾市LINE公式アカウント」との連携は非常に好評です。
西尾市では以前から、市民向けの情報発信や問い合わせ対応として、transcosmos online communications社の「KANAMETO」というシステムを利用し、市のLINE公式アカウントを運用していました。このシステムに、「e-TUMO APPLY」を連携させたのです。利用者は、西尾市LINE公式アカウントに友だち登録さえすれば、メールアドレスやパスワードなどの登録をすることなく電子申請サービスが利用できます。LINEから電子申請への流れが非常にスムーズなため、利用者の拡大につながっています。現在では友だち登録者が10万人を超えています。人口17万人あまりの西尾市にとって、この人数は非常に多いです。「e-TUMO APPLY」は全国で約800の自治体が利用していると聞いていますが、LINEと連携させたサービスを運用したのは西尾市が最初であり、スモールスタートでいち早く取り組むことが重要だと考えました。検討からサービス開始までタイトなスケジュールでしたが、NTTデータ関西は丁寧に対応してくれたと感じています。

杉浦氏

利用に際してメールアドレスを登録する場合、利用者ご本人の受信設定などの都合で、市からのメールを受け取れないことが起こり得ますが、そういった不便さが発生しないことも、利用が進んでいる背景の1つです。

早川氏

「Nishioスマート申請」の便利な点は、決済機能まで備えているところです。従来の電子申請では、利用者は窓口で手数料を支払う代わりに、郵便局に出向いて定額小為替を購入し、郵送する必要がありましたが、「Nishioスマート申請」ならオンライン上で手数料を決済できるのでいつでもどこにいても支払いができます。本人確認もマイナンバーカードを使用してアプリ上で行えますから、運転免許証などをコピーして郵送する必要もありません。申請から受け取りまで一気通貫という高い利便性が実現できました。

杉浦氏

「e-TUMO APPLY」には、入力された申請情報を職員が作成したレイアウトで出力する機能もあります。これを、利用者へ書類などを送る際の宛名書きに利用しています。この機能を活用したことで宛名作成の手間がなくなり、業務効率が上がったうえに、書き間違いなどのミス防止につながりました。

小笠原氏

LINEとの連携については、「個人情報の漏洩などトラブルは起こらないのか」という懸念がありました。しかし、「e-TUMO APPLY」は、LINEのシステム上には個人情報や申請情報が残らない仕組みになっています。この点について、市議会をはじめとした関係各所に丁寧に説明し、納得いただいたうえでサービスの導入に至りました。

早川氏

他の自治体の方から話をうかがったところ、電子申請サービスでの申請数は、手続きによっては月に5件程度と聞く事もあります。それに対して西尾市では、同じ手続きでも毎月およそ50件の申請があります。これは、LINEとの連携による利便性がもたらした結果だと考えています。「申請もスムーズで支払いもPayPayででき、感激した」「東京在住のため困っていたが、スマート申請を利用し、東京から書類を取り寄せることができた」など、利用者の皆さまからも好評の声をいただいています。
また、友だち登録者が10万人を超え、LINE公式アカウントの価値が高まったことも効果の1つです。登録者が増えたことで、防災やイベント、行政サービスなど、市役所から市民へ届けたい情報が今まで以上に届けやすくなったと言えます。

今後の課題・目標は?

早川氏

「e-TUMO APPLY」には、私たちがまだ十分に使いこなせていない機能や、現場で利用する職員に伝え切れていない機能があります。それらを使いこなせるようになったり周知を徹底したりすることで、市民にとっても職員にとっても、より一層の利便性を提供していきたいです。西尾市は2023年に、市制70周年を迎えます。節目の年をひとつのきっかけとして、オンラインで行える手続きの拡充、そして、利用しやすいデジタルサービスの整備に努めていきたいです。

杉浦氏

見た目も重要です。市民にとっては、ほしい情報がどこにあるかすぐにわかることや、デザインが洗練されていて何となく使いたくなる気持ちにさせてくれることは、電子申請サービスを利用する際の大きな後押しになるはずです。
職員にとっても同じで、操作画面の見やすさは使いやすさを左右します。NTTデータ関西に対しては、普段利用する画面も継続的にブラッシュアップしていくことに期待しています。

小笠原氏

「e-TUMO APPLYを使えばこんなにも仕事が楽になるんだ」ということを、職員の間で今以上に浸透させていきたいです。行政手続きにおいて「行かない、待たない、書かせない」を実現する事は、DX基本方針とDXアクションプランにある、「職員が効率的かつ自分らしく働ける市役所」を実現する事であり、職員が市民と接する時間を増やすことを意味しています。
これこそが行政DXの本質だと思います。私たち情報システムに携わる部署と、現場で市民の皆さんと接している部署が一緒になって、「市民のために」という視点でさらなるDXを進めていきたいです。

西尾市様