粗大ごみ収集の予約を
電話とインターネットの2本柱に
市民サービスを向上させ、
情報の一元管理でごみ収集業務の効率化も実現
ごみの収集において収集方法や収集時間などの課題があり、ごみ収集の効率化が昨今求められています。市民・窓口となる自治体職員・実際にごみ収集を行う収集運搬事業者の三者の利便性や業務効率を高めることを目指し、大東市(大阪府)は粗大ごみ受付サービス「e-TUMO ECOLIFE」を導入しました。
課題
電話のみの受付では、平日日中帯に連絡できない人には利便性が低く、市民サービスに課題があった。
電話オペレーターの人員に限りがあるため、年末年始などの繫忙期はつながりにくい。
予約日ごとに一覧の出力や、効率的なルート作成が出来ていない。
効果
インターネット予約の導入で24時間365日受付が可能に
- インターネット経由でも粗大ごみの収集予約が可能になり、「いつでもどこでも予約ができる」利便性を実現した。現在、月に約5000件ある予約のうちの約2割がインターネット経由で行われている。
電話で受け付けた予約も「e-TUMO ECOLIFE」で一元管理し、業務を効率化
- インターネット予約のみでなく、電話で受け付ける予約も「e-TUMO ECOLIFE」で一元管理することで、予約状況や変更・キャンセルの状況が可視化でき、予約業務の効率化に繋がった。
収集運搬事業者の業務を支援する豊富な機能で、業務の効率化
- 「e-TUMO ECOLIFE」で一元管理されている情報は、収集日ごとに集約して出力し、収集運搬事業者に共有することも可能。収集場所が地図上に表示されるため、収集ルート作成などの業務が効率的に行えるようになった。
e-TUMO ECOLIFEを導入する狙いは?
- 上村氏
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ごみ収集の受付は、以前は電話でのみ行っていました。対応できるのは平日の9:00~17:30のみ。仕事などでこの時間帯に電話をしにくい人にとっては、利便性の低い仕組みになっていました。
- 山口氏
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粗大ごみの収集予約は、時期によって件数に波があり、一番の繁忙期は年末年始です。ところが、電話受付では対応するオペレーターの人員を時期によって変動させることは簡単ではありません。仮に繁忙期に増員できたとしても、今度はコストの問題が生まれてしまいます。結果、最小限の人数で繁忙期の対応をせざるを得ず、「電話がつながりにくい」という不便な状況が生まれがちになっていました。
- 上村氏
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「e-TUMO ECOLIFE」は、これらの課題を解決するための方策として導入しました。電話予約のみではなく、インターネットでの予約に重点を置くようにして、24時間受付にすることで利便性向上を図りました。私たち大東市では、2013年4月から利用しています。
e-TUMO ECOLIFEを導入後、どのような効果が現れましたか?
- 上村氏
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粗大ごみの収集予約は、毎月5000件ほどあります。「e-TUMO ECOLIFE」を導入以降は約2割がインターネット受付に変わりました。やはり、24時間365日、「いつでもどこでも予約できる」という利便性に対する市民の皆さんの期待は大きかったようです。
- 山口氏
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インターネットでの予約というと若者やミドル層が利用するイメージがあるのですが、大東市では高齢者の方の利用も多いです。窓口に来られて、「インターネットでの予約の仕方を教えてほしい」と言われる高齢者の方もおられます。
- 上村氏
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「e-TUMO ECOLIFE」の導入にあたっては、電話予約とインターネット予約との2本柱にしました。その際、電話予約の窓口となるコールセンター業務をNTTデータ関西に委託し、オペレーターが聞き取った情報は「e-TUMO ECOLIFE」のシステムに入力する体制にしました。つまり、インターネットと電話の2つの窓口から入った情報が、システム上で一元管理されているのです。これは市役所の担当職員にとっては非常にありがたいことです。
また、「e-TUMO ECOLIFE」には収集場所を地図上に表示する機能があり、見やすいと好評です。「市民の収集申込の履歴がわかり、収集場所を把握しやすくなった」などの声が職員から届いています。 - 山口氏
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「e-TUMO ECOLIFE」には収集日ごとに予約者の情報を一括出力する機能があり、その日の収集先を地図上に表示することもできます。この資料を、収集日の2~3日前に収集運搬を担当する委託事業者と共有しています。委託事業者は収集先を確実に把握できるうえに、地図を見ることでその日の収集ルートを考えることもでき、円滑に収集を行うことができています。
災害などが起こった際には、日頃の収集エリアとは違う地域を臨時で担当しなければいけないこともあるかもしれません。そういったときに、ルート設定をサポートする「e-TUMO ECOLIFE」の機能が役立つのではないでしょうか。
今後の課題・目標は?
- 上村氏
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2023年7月に、粗大ごみ収集の有料化を予定しています。大東市ではごみの減量化に取り組んでおり、有料化することで粗大ごみの発生を抑制するという狙いがあります。そこで、「e-TUMO ECOLIFE」の画面内に、リサイクルを呼びかける表示ができないかと考えています。例えば、「拠点回収」といって、小型家電であれば市内に設置した回収ボックスに持っていくことでごみにせず、資源としてリサイクルに回すことができます。そういった案内を、粗大ごみを捨てようと思ってインターネット予約にアクセスした市民に対して行っていきたいです。
- 山口氏
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多言語対応にも取り組みたいです。粗大ごみの不法投棄のなかには、「捨て方についての日本語の説明がわからないから、不法投棄してしまった」というケースもあります。多言語対応が、この問題の解決に役立つはずです。同様にチャットボット機能も導入し、ごみの捨て方に関する質問にいつでも自動的に回答できる仕組みを整えることで、適切な捨て方やごみの減量化に結びつけたいです。
有料化を行うにあたっては、「e-TUMO ECOLIFE」にも細かな設定が多数必要です。そもそも、有料化という仕組み自体にさまざまな工夫がいると感じています。「e-TUMO ECOLIFE」は全国各地の自治体で利用されており、導入を支援しているNTTデータ関西には有料での粗大ごみ収集に関するたくさんの情報とノウハウがあると思います。それらを大東市にも提供いただき、有料化への移行をスムーズに実現したいです。 - 上村氏
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有料化がスタートすると、ごみ収集の予約はインターネットでできるものの、支払いはいつどのようにするのかという問題が出てきます。その解決策となり得る、インターネットで支払いまで可能な「キャシュレス化」も導入したいです。
インターネット経由の予約の比率を、今以上に高めることも今後の目標です。広報など他部署とも連携して市民への案内を行い、利用を促進していきたいです。