オンライン申請を活用して
事務処理負担を大幅軽減
24時間いつでも利用できる電子申請システムの導入で、来庁不要の手続きを拡充し、区民の利便性を高めると同時に、行政コストの効率化を実現されている品川区。
高度で豊富な機能を有する電子申請サービス「e-TUMO APPLY」の活用で、単なる申請のオンライン化に留まらない、さらなる効率化を目指した業務DXへの取り組みをお聞きしました。
効果
区民はいつでもどこでも手続きを実現
- 24時間のサービス提供により、わざわざ庁舎に出向かなくてもどこでも届出ができる利便性を区民に提供。
前年度と比較してe-TUMOを利用したオンライン申請は約1万件以上増加。住民のニーズに応えた行政サービスを展開。
封筒の開封作業や、データの手打ち作業からの解放
- 申請業務のオンライン化で、郵送物の開封作業が不要になるだけでなく、業務システムへのデータ入力も自動化することで、業務の効率化と正確化を実現。
区民の方々への素早いサポート提供が可能
- 通常であればシステム構築からテスト環境に数か月要するところ、事業開始からサービスの提供までの期間が約2ヶ月と短かった。
しかし、SaaS形式で提供されているため、カスタマイズ後の迅速な申請の受付が実現。
導入までの経緯は?
- 萩原氏
-
いつでもどこでも利用できるオンライン申請サービスの提供により区民サービスの向上が求められている状況の中、行政手続きをすべてオンライン化した場合でも「耐えられるシステム」「管理しやすいシステム」という観点でサービスを検討していました。
そして、2022年に「e-TUMO APPLY電子申請サービス」を導入し、サービスの提供を開始しました。
利用状況は?
- 萩原氏
-
令和6年度は約7万2千件の申請を品川区電子申請サービスで受け付けました。
令和5年度は約6万件だったので20%ほど増加しており、時間を選ばずどこでも申請が可能なオンライン申請サービスに対するニーズの大きさを感じています。
どのような効果を感じていますか?
- 萩原氏
-
全体の効果は具体的に測定できていませんが「今までの封筒開封作業が大幅になくなった」、「申請内容の手打ち作業がなくなった」といった効果が出ていると思います。
また、オンライン申請率が高い手続きにおいては、特に作業が効率化できています。
どのような手続きで利用されていますか
- 西澤氏
-
令和6年6月時点で、e-TUMOを含むオンライン申請サービス全体では、572の手続きがオンライン化されています。
当区では、共働きで忙しい子育て世代向けのサービスオンライン化を重点的に推進しています。その代表的な事例として、「学校選択のオンライン化」と「子育て世帯へのお米支援プロジェクト」の事例について紹介します。 - 萩原氏
-
私からは、令和5年度から開始した「学校選択のオンライン化」について紹介します。
「学校選択のオンライン化」前は、区民の方に必要書類を郵送していただくか、もしくは窓口にて提出していただく必要がありました。一方、提出先の学務課の職員も繁忙期になると毎日多くの封筒が届き、一つずつ開封作業してシステムに入力する必要がありました。区民と職員どちらにも負担となっており、そこで、本手続きをオンライン化することにしました。
オンライン化する上で課題となったのが、学校選択は子どもたちが通う学校を左右する重要な申請であるため、重複申請やなりすまし申請が行われないような対策が必要でした。
この課題を解決するためにe-TUMOの特定利用者機能※を活用しました。この機能は、我々、自治体から付与されたIDとパスワードからのみ申請ができるようになっているため、本人確認を確実に行うことが可能になり、安全なオンライン化が実現できました。
結果として、学校選択を申請された方の9割以上にオンライン申請をしていただき、区民の方からは「わざわざ行かなくてもいい」「どこでも申し込めるのが便利」という反応が多く寄せられました。
また、学務課の職員は封筒の開封の手間がなくなったり、RPAによる申請データの入力作業の自動化により、大幅な業務効率化につなげることができました。 - 西澤氏
-
次に、令和6年度に実施した「子育て世代へのお米支援プロジェクト」について紹介します。
令和6年度、品川区では夏休み中の食支援として6月補正予算で実施した事業です。区内小中学生1人につき2kgのお米を、申請者が選択した区内25か所の児童センターで受け取れる仕組みとしました。この事業には、児童センターを利用したことがない子どもたちに足を運んでもらう機会を創出するという目的もありました。
本事業で課題となったのは、補正予算が可決されてから事業開始、お米の提供までの期間が約2ヶ月と非常に短かった点です。通常であれば、システム構築やテストに数週間から数か月かかるところ、私たちは迅速に対応する必要がありました。
しかし、電子申請サービスがSaaS形式で提供されていたおかげで、カスタマイズ後すぐに申請の受付を開始することができました。これにより、区民の方々への素早いサポート提供が可能となり、夏休み期間中の食支援という目的を達成できたと考えています。
品川区は、ITを活用することで、社会課題の解決や新規事業の立ち上げをよりタイムリーかつスムーズに進めていくことを目指しています。電子申請サービスは、区民の皆様が各種支援にアクセスするための重要な窓口であると考えています。今後も更なる活用の幅を広げていきたいと考えています。

活発な利用の背景にあるものは
- 萩原氏
-
区民の方から「ログインができない」とか「操作が分からない」といったお申し出もなく、利用者が問題なく使えていることが利用拡大につながっていると思います。
また、職員側も丁寧なマニュアルがあることで、システムを利用することに慣れていない職員も使うことのハードルが高くないと感じています。また、様式作成はノーコードで簡単に作れることも非常に良いと思います。
NTTデータ関西に対する要望・期待は
- 西澤氏
-
他製品の電子申請サービスと比較して、機能拡張の頻度が高く、業務効率化に大きく貢献していると評価しています。年々、機能が充実し、行政サービスのデジタル化が効果的に進展しています。マニュアルやFAQが、年々充実している点も非常に助かっています。
NTTデータ関西の担当者とのコミュニケーションも良好で、現場ニーズを反映した機能要望に対応いただいている点は、システム開発において理想的なパートナーと考えています。
このような継続的なサポートにより、区民サービスの質が向上していると感じています。
24時間いつでも利用できる電子申請システムと来庁不要の手続きの拡充は、区民の利便性を高めると同時に、行政コストの効率化にも繋がります。今後も継続的な改善サイクルを通じて、さらなるサービスの品質向上を一緒に目指して頂きたいと考えています。 - 萩原氏
-
行政に対するニーズが増えているのに合わせて、要望には都度アップデート対応で応えていただいている印象です。これからも行政のニーズにあった機能が追加されていくことを期待します。
今後の展望は
- 萩原氏
-
補助金や助成金などの給付事業の業務は、オンライン化のニーズが高くなっています。しかし、これらの業務は作業量が多く、審査などを外注するケースが増えています。オンラインで受け付けしたデータを外部の委託事業者にスムーズに提供できると良いのですが、申請数が膨大でデータの提供方法がネックに感じています。
セキュリティ面の制限は必要ですが、もし、外部の委託事業の端末から申請を確認できる環境が利用できるようになれば、これらの給付事業でも利用が拡大できると考えています。 - 西澤氏
今年はすまいるスクール(品川区の放課後の預かり教室)の登録申請のオンライン化に取り組んでいます。まだ、検討過程で課題を感じている部分もありますが、これらの取り組みをはじめ、より多くの手続きをオンライン化して、区民サービスの向上に努めていきたいと考えています。
