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社内DXの推進が企業全体のDX実現のカギ

DX

社内DXとは、部門・部署単位でデジタル技術を活用し業務プロセスを変革する取り組みです。全社一斉のDXよりも、小さな成功体験を積み重ねることで確実な成果につながります。人材不足やレガシーシステムの課題解決から始め、段階的に全社展開することで効率的に進められます。

さまざまな企業や自治体、団体などにおいてDXの実現をめざした取り組みが加速しています。一方で、どこから手をつければスムーズに進められるのか、検討に時間がかかっている企業も少なくないようです。慢性的な人材不足が深刻化するなか、DXの実現は早急に成し遂げたい課題といえるでしょう。

社内DXの定義と企業全体のDXとの関係

社内DXは部門単位で業務効率化と価値創出を実現し、その成功を全社展開につなげるボトムアップ型のDX推進手法です。

DXは、IT技術やデジタルデータを活用して、従来のビジネスモデルや体制、組織構造を見直し、社会の変化に柔軟に対応できるように、より良い方向へと変革していくための取り組みです。一方で、企業それぞれに抱えている課題やDXが進まない要因が違うように、DX推進の手段も異なり、そのプロセスも異なります。

つまりDX実現には多様なプロセスや方法があるといえるでしょう。

しかし、どの立場でのDX実現であっても、現状で抱えている課題を解消するために、IT技術やデジタルデータを活用して、ムダを省き、ムリのない状態を構築し、競争力や提案力を付けることを目的としています。そのためには、すべての業務内容を対象にして同時進行的にDXを進めていくよりも、各部署・部門といった小さな単位で、一つひとつの課題を明確にし、具体的な対策を打ち出し、課題解消をするための取り組みとして進めることが必要です。

社内DXの明確な定義

どの立場でDXの実現をめざすにしても、部分的なところから課題を洗い出し、対策を講じ、それを全体へと拡大していくことが確実にDXを実現する方法だといえます。

企業であるなら、まずは社内におけるそれぞれの部署で業務課題を明確にし、その対策としてDXに取り組みましょう。このように社内の部分的なところからDXへの取り組みを推進していくことを社内DXとよびます。

具体的には社内DXを推進することで、小さな単位、それぞれの部署においてデジタル化を進め、プロセスの見直しを行うことになります。その結果、業務が効率化され、新しい付加価値の創出ができる体制が整います。そうした各部署での取り組みが結果的に企業全体の取り組みに拡大していくのです。

つまり、社内DXは現場での業務改善や働き方改善が実現されるだけでなく、企業全体で推進しているDXの一歩となる取り組みだといえるでしょう。

部分最適から全体最適への発展プロセス

社内DXの最大の特徴は、小さな成功を積み重ねながら組織全体へと広げていく点にあります。いきなり全社的なシステム刷新を目指すのではなく、特定の部門や業務プロセスから着手することで、リスクを最小限に抑えながら確実な成果を生み出せます。

たとえば、営業部門で顧客管理システムを導入して成果が出れば、その知見を他の部門にも応用できます。ひとつの部署での成功体験は、他部署の変革意欲を高める効果も生み出します。このように部分最適を積み重ねることで、やがて組織全体の最適化につながっていくのです。

なぜ小さく始めることが重要なのか

全社一斉にDXを進めようとすると、多額の初期投資が必要になるだけでなく、失敗した際の影響も甚大です。システムの不具合や運用の混乱が発生すれば、業務全体が停止するリスクもあります。

一方、小規模な範囲から始めれば、投資額を抑えられるだけでなく、問題が発生しても影響範囲を限定できます。試行錯誤を繰り返しながら改善を重ね、成功パターンを確立してから横展開する方が、結果的に早く、確実にDXを実現できるのです。

また、現場の担当者が変化に順応する時間的な余裕も生まれます。急激な変化は抵抗を生みやすいものですが、段階的に進めることで、従業員の理解と協力を得やすくなります。

DX推進の成功事例や実施のヒントについては、次の記事を参考にしてください。

DX徹底解説。定義と目的、導入時の手順と課題のほか、成功事例を紹介

DX推進・成功事例から実施のヒントを探る~国内・海外成功事例22選~

社内DXが必要とされる3つの背景

労働人口減少、レガシーシステムの限界、多様な働き方への対応という3つの社会変化が社内DXを経営課題として浮上させています。

企業全体のDX実現には、なぜ部署・部門単位での取り組みが有効なのでしょうか。その必要性を以下の3つの観点から理解しておきましょう。

深刻化する人材不足

現在、日本社会は少子高齢化が深刻化し、労働人口の減少が現実問題として企業の人手不足を引きおこしています。総務省の推計によれば、2030年には労働力人口が約6,556万人に減少し、2040年にはさらに6,000万人前後になると予測されています。

また、価値観の多様化により、働き方や生き方の選択肢が広がりました。それは社会として理想的なことなのですが、企業単位で考えると転職の機会が増えたともいえ、優秀な人材を確保することが難しくなったともいえます。中途採用市場における人材獲得コストは年々上昇しており、採用難易度も高まっています。こうした状況は今後も継続すると考えられています。

そうしたなか、企業が適材適所に人的リソースを配置し、長く自社で活躍してもらい、キャリアアップをめざしてもらうためには、ムダ、ムリのある業務を改善することが重要です。

現場におけるシステムを刷新し業務効率をアップさせることで、少人数でも業務が回せるようになります。たとえば、定型業務を自動化すれば、従来5人で行っていた作業を2人で処理できるようになるケースもあります。

さらに、自動化できる作業と人が対応すべき作業を明確にすることで、より従業員の能力を発揮する機会が増え、モチベーションやエンゲージメントが向上すると考えられます。単純作業から解放された従業員は、創造的な業務や顧客対応といった付加価値の高い仕事に集中できるようになります。

そのような働きがいのある環境、働きやすい環境を整えることで、優秀な人材を確保しやすい組織へと変わることができます。

参考:総務省|令和7年版 情報通信白書|少子高齢化、日本経済の低迷

レガシーシステムの刷新

限られた人材で業務を回している企業においては、同じ人が同じ作業を長年担当することが少なくありません。古いままのシステムを使い慣れた担当者が、自分なりのやり方でうまく作業をこなしていた状況が続くと、さらに担当者を入れ替えることは難しくなります。こうした状況は作業の属人化を招き、問題点の発見が遅れることにもなります。

また、レガシーシステムを使い続けることも、やがて限界がきます。システムのサポートが終了する、新しいアプリケーションを稼働させることができない、システムを維持するためにはメンテナンスに費用も技術も必要になるなど、レガシーシステムを使い続けるメリットはないといえます。

経済産業省の調査では、レガシーシステムを更改しない場合、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性が指摘されています。システムの保守運用に IT予算の8割以上を費やしている企業も多く、新規投資に回せる予算が限られている状況です。

加えて、セキュリティリスクも無視できません。古いシステムは最新のセキュリティ脅威に対応できず、情報漏えいや不正アクセスの危険性が高まります。

しかし、企業全体のシステムを一気に刷新するのはかなり危険な挑戦でもあります。システムが今までどのように保守されてきたのか、またカスタマイズされてきているのか、全体を把握するのは難しいものです。まずは各現場で使用しているシステムやアプリケーションを確認して、刷新できるところから手をつけましょう。

参考:経済産業省:DXレポート

多様な働き方への対応

それぞれの部署で業務の見直しや効率化が進むと、勤務時間の自由度が高まり時短勤務やフレックスタイム制が導入できます。また、テレワークが可能な体制が整うことで、子育てや介護など、環境に変化がある社員がキャリアを継続させやすくなります。

働き方改革関連法の施行以降、柔軟な働き方を実現する企業への注目が高まっています。優秀な人材ほど、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、働き方の選択肢が豊富な企業を選ぶ傾向にあります。

実際、テレワーク制度を整備した企業では、育児や介護を理由とした離職率が大幅に低下したというデータもあります。女性管理職比率の向上にも寄与しており、多様性推進の観点からも社内DXは重要な役割を果たします。

このように多様な働き方への対応ができていると、企業の魅力も高まり、結果的に人材確保においても優位な要因にもなるでしょう。採用活動においても、働き方の柔軟性は大きなアピールポイントとなり、競合他社との差別化要因になります。

社内DXが進まない理由と解決策

社内DXの必要性は理解していても、実際には思うように進まない企業が多いのが現実です。推進を阻む主な課題を理解しておきましょう。

DXへの理解不足

経営層、社員ともにDXの必要性を理解して、積極的に取り組むことが必要です。しかし、経営層と現場の間でDXに対する認識のギャップが生じているケースが少なくありません。

経営層は「DXで業績向上」を期待する一方、現場は「余計な仕事が増える」ととらえてしまうことがあります。この温度差を埋めるには、DXの目的と期待される効果を具体的に共有することが重要です。

また、DXを単なるIT化と混同しているケースもあります。DXは技術導入だけでなく、業務プロセスの見直しや組織文化の変革を含む包括的な取り組みです。この本質を理解せずに進めると、表面的なデジタル化に終わってしまいます。

解決策としては、社内勉強会の開催、成功事例の共有、小規模なパイロットプロジェクトでの成果体験などが有効です。実際に効果を体感することで、理解は深まります。

DX人材の質的・量的不足

DXを進めるうえで必要となるデジタル技術を持ち、DXへの理解、さらに自社の業務についての理解と把握ができている人材が必要です。しかし、そうした人材は市場でも希少であり、採用は容易ではありません。

社内にIT部門があっても、既存システムの保守運用で手一杯という企業も多いでしょう。新しい技術への対応や、業務部門との橋渡し役を担える人材は限られています。

解決策としては、外部の専門家を活用しながら、並行して社内人材の育成を進めることが現実的です。全員が高度なITスキルを持つ必要はなく、各部署に「デジタルリーダー」となる人材を配置する方法も有効です。

DX推進で求められる人材については、次の記事も参考にしてください。

DX推進をリードするDX人材に求められる能力とは

予算とROI評価の課題

DX推進には初期投資が必要ですが、その効果を定量的に示すことが難しいため、予算承認が得られないケースがあります。特に中小企業では、限られた予算をどこに振り向けるか、慎重な判断が求められます。

また、DXの効果は短期間では現れにくく、投資回収に数年かかることもあります。目に見える成果がすぐに出ないため、途中で予算が打ち切られるリスクもあります。

解決策としては、小規模な投資から始め、早期に成果を出して次の投資につなげるアプローチが有効です。投資対効果を明確にし、段階的に予算を拡大していく計画を立てましょう。

クラウドサービスなどの活用により、初期投資を抑えながら始められる選択肢も増えています。

現場の変革抵抗

長年慣れ親しんだ業務プロセスを変えることに対する抵抗感は、予想以上に強いものです。「今のやり方で問題ない」「新しいシステムは使いにくい」といった声が上がり、DX推進が停滞することがあります。

解決策としては、現場の声を丁寧に聞き、不安を解消することが第一歩です。トップダウンで押し付けるのではなく、現場を巻き込んだ形で進めることが重要です。

新しいシステムの使い方を丁寧に教育し、サポート体制を整えることも欠かせません。DXによって仕事が楽になる、新しいスキルが身につくといったメリットを実感してもらうことで、前向きな姿勢を引き出せます。

成果指標設定のあいまいさ

DXの目標や評価指標が明確でないと、何をもって成功とするのか判断できません。「とりあえずデジタル化する」では、効果測定もできず、改善のサイクルも回りません。

KPIが設定されていても、定量的な数値目標がなかったり、測定方法があいまいだったりすると、成果を正しく評価できません。

解決策としては、プロジェクト開始時に明確な目標とKPIを設定することです。業務時間の削減率、コスト削減額、エラー発生率の低下など、測定可能な指標を選びましょう。

定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を修正する柔軟性も大切です。成果が出た部分は社内で共有し、さらなる推進の原動力とします。

社内DXで実現できる5つの価値

社内DXは業務効率化、意思決定の迅速化、従業員満足度向上、コスト削減、競争力強化という5つの具体的な価値を組織にもたらします。抽象的な価値だけでなく、測定可能な成果としてとらえることが重要です。

業務効率化による時間創出

最も直接的な効果は、業務プロセスの効率化による時間創出です。定型業務の自動化やデータ入力作業の削減により、従業員は本来注力すべき業務に時間を使えるようになります。

たとえば、請求書処理をデジタル化した企業では、処理時間を従来の3分の1に短縮できたケースがあります。月次決算の早期化も可能になり、経営判断のスピードアップにつながります。

会議資料の作成時間短縮、承認プロセスのオンライン化、情報検索時間の削減など、細かな改善の積み重ねが大きな時間創出を生み出します。

業務効率化の進め方については、次の記事も参考にしてください。

なぜ業務効率化が必要なのか?そのメリットと進め方を解説

データドリブンな意思決定の実現

社内の各部署でデータが蓄積され、可視化されることで、勘や経験だけに頼らない意思決定が可能になります。リアルタイムでの状況把握により、問題の早期発見と迅速な対応ができるようになります。

売上データ、在庫状況、顧客の反応など、さまざまな情報をダッシュボードで一元管理できれば、経営層は正確な情報に基づいた戦略を立てられます。データに裏付けられた提案は、社内での合意形成もスムーズになります。

データドリブンについては、次の記事も参考にしてください。

【基礎編】データドリブンとは?いま注目の理由と必要なツール8選をわかりやすく解説

データドリブン経営で社会・消費者のニーズに応える企業になる

従業員エンゲージメントの向上

煩雑な手作業から解放され、やりがいのある業務に集中できる環境は、従業員満足度を高めます。スキルアップの機会も増え、キャリア形成にも良い影響をもたらします。

また、場所や時間にしばられない働き方が実現できれば、従業員のワークライフバランスは向上します。エンゲージメントの高い組織は、生産性も高く、離職率も低い傾向にあります。

オペレーションコストの削減

ペーパーレス化による印刷コストの削減、自動化による人件費の適正化、システム統合によるライセンス費用の削減など、さまざまな面でコスト削減効果が期待できます。

たとえば、FAXを電子化する「BIZXIM SmartFAX」のようなツールを導入すれば、用紙代や通信費だけでなく、FAX送受信にかかる人的コストも削減できます。複合機のリース料金も見直せるでしょう。

初期投資は必要ですが、中長期的には確実にコスト削減につながります。削減できた予算を新規事業や人材育成に振り向けることで、さらなる成長の原資となります。

市場競争力の向上

業務効率化とデータ活用により、顧客への提案力が高まります。迅速な対応、的確な提案、質の高いサービス提供が可能になり、競合他社との差別化を図れます。

また、社内DXで培ったノウハウやシステムを自社サービスとして外部に提供する企業も増えています。内部の課題解決から始まったDXが新たなビジネスチャンスを生み出すこともあるのです。

部門別の社内DX推進ポイント

部門特性に応じたアプローチが成功につながります。営業・製造・バックオフィスそれぞれで優先課題とツール選定が異なります。ここでは主要な3部門における社内DX推進のポイントを解説します。

営業部門の社内DX

営業部門は顧客との接点が多く、企業の売上に直結する重要な部門です。ここでのDX推進は、営業活動の効率化と提案力の強化を目的とします。

CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援)システムの活用により、顧客情報を一元管理できます。過去の商談履歴、提案内容、顧客の反応などがデータとして蓄積されることで、次回の訪問時に的確な提案が可能になります。

営業プロセスの可視化も重要です。案件がどの段階にあるのか、受注確度はどれくらいか、ボトルネックはどこにあるのかをリアルタイムで把握できれば、マネージャーは適切な指示やサポートができます。

データドリブンな商談戦略も実現できます。過去の成功パターンを分析し、受注率の高い顧客の特徴や効果的なアプローチ方法を明らかにします。こうした知見を営業チーム全体で共有することで、組織全体の営業力が底上げされます。

営業部門でのDX推進については、次の記事を参考にしてください。

営業部門でもDX化を推進。導入の具体策と成功事例

製造部門の社内DX

製造部門では、生産性向上と品質管理の強化がDX推進の主な目的となります。

IoT活用による設備稼働監視は、製造現場のDXの代表例です。機械にセンサーを取り付けることで、稼働状況をリアルタイムで把握できます。異常の予兆を検知し、故障前にメンテナンスを行う予知保全も可能になります。

品質管理のデジタル化も重要です。検査工程をデジタル化し、不良品の発生パターンを分析することで、製造プロセスの改善点が見えてきます。AIを活用した画像検査により、人の目では見逃しやすい微細な欠陥も検出できるようになります。

スマートファクトリー化を目指す取り組みも増えています。製造ラインのデータを統合的に管理し、生産計画の最適化、在庫管理の効率化、エネルギー消費の削減などを実現します。

製造部門でのDX推進やスマートファクトリーについては、次の記事を参考にしてください。

製造業DXの実践ポイントと成功事例 - 課題解決から競争力強化までの具体策

スマートファクトリーとは?製造業を変革するロードマップと必要な技術

バックオフィスの社内DX

経理、人事、総務といったバックオフィス部門は、定型業務が多く、自動化による効果が出やすい領域です。

経理業務の自動化では、請求書処理や経費精算のデジタル化が代表的です。OCR技術を使って紙の請求書をデータ化し、自動で仕訳処理を行うシステムも普及しています。月次決算の早期化により、経営判断のスピードアップにもつながります。

人事評価システムのデジタル化により、評価プロセスが透明化され、公平性が高まります。従業員のスキルや経験をデータベース化することで、適材適所の人材配置も実現しやすくなります。

電子契約・ペーパーレス化は、バックオフィス全体にかかわる取り組みです。契約書や稟議書を電子化することで、承認スピードが格段に速まります。印刷コストや保管スペースの削減にもつながります。

バックオフィスのDX推進については、次の記事を参考にしてください。

バックオフィス業務を効率化するための対策と活用ツール 〜人材不足にも対応できる体制をめざして〜

注目されているAI-OCRの精度とその効果について

社内DX推進で活用すべきツールと技術

コミュニケーションツール、ローコード/ノーコード開発、RPA、IoT、AIという5つの技術カテゴリーが社内DXの主要な実現手段です。ここでは、主要な技術カテゴリーとその活用場面について解説します。

DX推進に必要となる技術については、次の記事も参考にしてください。

DXに必要不可欠な7つのデジタル技術!適切な技術の選び方も解説

コミュニケーション基盤

SlackやMicrosoft Teamsといったビジネスチャットツールは、社内コミュニケーションの基盤となります。メールよりも気軽にやり取りでき、情報共有がスムーズになります。

チャンネル機能を活用すれば、プロジェクトごと、部門ごとに情報を整理できます。必要な人だけを招待することで、情報の氾濫を防ぎながら、透明性の高いコミュニケーションが実現します。

ファイル共有機能や他のツールとの連携機能も充実しており、業務効率化の基盤として機能します。導入難易度は低く、比較的短期間で効果を実感できるため、社内DXの第一歩として適しています。

ローコード/ノーコード開発プラットフォーム

専門的なプログラミング知識がなくても、業務アプリケーションを開発できるプラットフォームです。ドラッグ&ドロップの直感的な操作や簡易なプログラミングで、データベースや入力フォーム、ワークフローを構築できます。

現場の担当者が自ら開発できるため、業務に即したシステムを迅速に構築できます。外部ベンダーに依頼するよりもコストを抑えられ、修正や機能追加も柔軟に対応できます。

intra-martのようなプラットフォームを活用すれば、全社的なシステム統合基盤としても機能します。個別最適ではなく、全体最適を見据えた内製化が可能になります。

ローコードやノーコードついては、次の記事も参考にしてください。

【ローコードvsノーコード】開発手法の違いとメリットを比較!DX実現への近道

NTTデータ関西では、ローコード開発による内製化を支援するintra-mart内製化支援サービス」を提供しています。内製化のプランニングや推進サポートまで含めた包括的なサポートにより確実な内製化を実現します。

同サービスの担当者インタビューもあわせてご参照ください。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

定型的なパソコン作業を自動化するツールです。データ入力、コピー&ペースト、システム間のデータ転記など、人が行っていた反復作業をロボットが代行します。

導入のハードルは比較的低く、プログラミング不要で設定できる製品も多くあります。効果も分かりやすく、作業時間の削減を実感しやすいため、社内DXの成功体験を作るのに適しています。

適用場面としては、経理部門の請求書処理、人事部門のデータ集計、営業部門の日報作成など、多岐にわたります。24時間稼働も可能なため、夜間にバッチ処理を行うこともできます。

IoTセンサー・デバイス

製造現場や物流倉庫など、物理的な環境のデータを収集するためのセンサーやデバイスです。温度、湿度、振動、位置情報など、さまざまなデータをリアルタイムで取得できます。

収集したデータを分析することで、作業進捗の可視化、在庫管理の最適化、エネルギー消費の削減などが実現します。導入には一定のコストと技術的知識が必要ですが、製造業では大きな効果が期待できます。

製造現場でのIoTの活用については、次の記事も参考にしてください。

製造業におけるDX実現にむけて、工場のIoTを考える

NTTデータ関西では、IoTとAIを活用して自動的に異音を検知し、製造現場での品質管理や設備保全に役立てられる「 IoTone を提供しています。

IoToneの活用例については、こちらのインタビュー記事もあわせてご参照ください。

AI/機械学習ツール

画像認識、自然言語処理、予測分析など、AIを活用したツールも身近になってきました。品質検査の自動化、需要予測、顧客対応の自動化など、幅広い用途があります。

最近では、生成AIを業務に活用する動きも加速しています。文書作成支援、データ分析のサポート、プログラムコードの生成など、知的作業の効率化に貢献します。

導入難易度は用途によって異なりますが、クラウドベースのAIサービスを利用すれば、専門知識がなくても活用できるものも増えています。

AIを活用した業務効率化については、次の記事も参考にしてください。

業務効率化のカギはAIの有効活用。事例に学ぶ成功のポイント

社内DXを成功に導く実践ステップ

現状分析、優先順位付け、小規模実証、成果検証、横展開という5段階で進めることで、リスクを最小化しながら確実な成果を生み出せます。

社内の各部署でDXへの取り組みをはじめるにあたり、以下を確認し、順に進めていきましょう。

ステップ 主な活動内容 重要ポイント
① 現状分析と課題の可視化
  • 業務棚卸しとヒアリング
  • 作業時間と頻度の記録
  • ペインポイントの特定
  • 現場の声を直接聞き取る
  • 改善すべきポイントを明確化
  • デジタル成熟度を客観評価
② 優先順位の決定
  • 効果と実現容易性の評価
  • クイックウィンの選定
  • ステークホルダー整理
  • 「効果×容易さ」マトリクスで判断
  • 早期成功体験を重視
  • 関係者の立場を理解
③ 推進体制の構築
  • リーダー人材の選定
  • 推進チームの役割分担
  • 経営層のコミットメント確保
  • デジタル理解と調整能力を重視
  • 責任の所在を明確化
  • 定期的な進捗報告の場を設定
④ 小規模実証(PoC)の実施
  • 検証すべき仮説の設定
  • 1~3ヶ月の実証実験
  • 評価指標での効果測定
  • 一部の業務から開始
  • 失敗を学びの機会ととらえる
  • 進捗状況を定期的に共有
⑤ 成果検証と横展開
  • KPI測定と効果検証
  • 成功パターンの標準化
  • 他部門への展開戦略
  • 数値で成果を示す
  • マニュアル・ガイドライン化
  • 部門特性に応じてカスタマイズ

ステップ1「現状分析と課題の可視化」

社内DXの第一歩は、現状を正確に把握することです。各部署の担当者にヒアリングを行い、日々の業務内容を洗い出します。一日のタイムテーブルを作成してもらい、それぞれの作業にかかる時間を記録してもらうのも有効です。

その際、単に時間だけでなく、作業の難易度、頻度、ミスの発生しやすさなども記録します。また、従業員へのアンケートやインタビューを通じて、現場が感じている課題を直接聞き取ることも重要です。経営層が気づいていない問題が、現場には山積していることも少なくありません。

ステップ2「優先順位の決定」から3「推進体制の構築」への移行

すべての課題を同時に解決することは困難です。限られたリソースを効果的に使うため、優先順位をつけることが必要です。評価の軸としては、「効果の大きさ」と「実現の容易さ」の2つが有効です。効果が大きく、かつ実現しやすい課題から着手するのが基本戦略です。

社内DXを成功させるには、適切な推進体制が欠かせません。推進リーダーとなる人材を見きわめることが重要です。リーダーに求められる要件は、デジタル技術への理解だけでなく、現場業務への深い知識、関係者との調整能力、変革への強い意志です。

推進チームの役割分担も明確にしましょう。プロジェクトマネージャー、業務分析担当、技術担当、教育担当など、それぞれの役割を決めておくことで、責任の所在が明確になり、スムーズに進行できます。

ステップ4「小規模実証(PoC)の実施」

計画が固まったら、いきなり本格導入するのではなく、小規模な実証実験から始めます。当該部署の社員が変化に順応できるように、一部の業務から進めることが賢明です。

PoCの設計では、検証すべき仮説を明確にします。「この業務を自動化すれば、作業時間を50%削減できる」といった具体的な仮説を立て、それを検証する形で進めます。検証期間は通常1〜3ヶ月程度が適切です。

失敗からの学習プロセスも重要です。うまくいかなかった部分があれば、その原因を分析し、次の施策に生かします。一部の業務から進めると同時に情報共有し、部署の社員全員の意識向上を図ることも忘れてはいけません。

ステップ5「成果検証と横展開」

PoCで一定の成果が確認できたら、本格導入へと移行します。既存業務をデジタル化し、新しい業務プロセスへと進めていきます。

KPI測定と効果検証を丁寧に行いましょう。事前に設定した指標に対して、実際にどの程度の成果が出たのかを数値で示します。成功パターンを標準化することも重要です。ひとつの部署で成功した取り組みを、マニュアルやガイドラインとして整理します。

他部門への展開では、成功事例を社内で積極的に発信します。ただし、すべての部門で同じ方法が通用するとは限りません。部門ごとの特性や課題に応じて、カスタマイズが必要です。

これからの社内DX - AI時代の展望

社内DXは今後どのように進化していくのでしょうか。技術の発展と社会の変化を踏まえ、これからの社内DXの方向性を展望します。

生成AIの業務活用

ChatGPTをはじめとする生成AIは、業務のあり方を大きく変える可能性を秘めています。文書作成、データ分析、プログラムコードの生成など、知的作業の多くを支援できるようになっています。

社内DXにおいても、生成AIの活用は急速に広がるでしょう。議事録の自動作成、報告書のドラフト生成、顧客問い合わせへの回答案作成など、さまざまな場面で活用できます。

ただし、生成AIの出力をそのまま使うのではなく、人間が最終チェックを行う体制が必要です。また、機密情報の取り扱いには十分な注意が求められます。

従業員が生成AIを適切に使いこなせるよう、リテラシー教育も重要になります。どのような場面で有効なのか、どのような限界があるのかを理解したうえで活用することが求められます。

システム間データ連携の重要性

これまでの社内DXでは、部門ごとに個別のシステムを導入することが多くありました。しかし、今後はシステム間のデータ連携がより重要になります。

営業データと製造データを連携させることで、需要予測の精度が高まります。人事データと業務データを統合すれば、適切な人材配置や育成計画が立てやすくなります。

API連携やデータ統合基盤を整備することで、サイロ化した情報を打破し、組織全体でデータを活用できる環境を作ることが次のステップです。

データガバナンスの整備も不可欠です。どのデータを誰がアクセスできるのか、データ品質をどう担保するのか、ルールを明確にする必要があります。

カーボンニュートラルとDXの関係

環境問題への対応は、企業にとって避けられない課題となっています。カーボンニュートラルの実現には、エネルギー消費の可視化と最適化が必要であり、DXが重要な役割を果たします。

製造現場でのエネルギー使用量をIoTセンサーでモニタリングし、無駄を削減する取り組みが広がっています。オフィスでも照明や空調の自動制御により、省エネを実現できます。

さらに、テレワークの推進により、通勤に伴うCO2排出を削減できます。ペーパーレス化も森林資源の保護につながります。

社内DXとサステナビリティ経営を統合的に推進することで、環境負荷の低減と業務効率化を同時に実現できるのです。

製造業のカーボンニュートラルへのアプローチについては、次の記事も参考にしてください。

製造業のカーボンニュートラルをDXで実現する方法とは?CO2排出量の可視化から具体的な削減施策まで

NTTデータ関西では、受注生産に特化したERPパッケージ「 BIZXIM製番 を提供しています。このシステムのオプションである BIZXIM CFP 」は、製造工程ごとの原材料使用量や工数、エネルギー使用量などから サプライチェーン全体のCO2排出量を自動的に算出し、製品単位での環境負荷を可視化します。

製造業向けシステム開発の業界特有の課題への取り組みについては、以下の担当者インタビュー記事をご覧ください。

まとめ: 小さな一歩から始める社内DX

慢性的な人材不足や技術的負債など、企業を取り巻く状況にはきびしいものがあります。政府も推進しているDXへの取り組みを強化させ、既存の体制を改革して新しいビジネスモデルや働き方を創造することで、情勢の変化に柔軟に対応できる競争力、組織力をもつことができます。

そのための具体策として、全体を対象にDXに取り組むのではなく、優先的な業務における課題、部署における課題を把握し、小単位でのDX推進が有効です。

NTTデータ関西では、社内DXの推進にお役立ていただけるサービスを提供しています。

intra-mart内製化支援サービス」では、ローコード開発による業務アプリケーションの内製化を実現し、継続的な改善が可能な体制づくりを支援します。

また、「BIZXIM SmartFAX」では、FAX業務のデジタル化によるペーパーレスを実現します。

社内DXの推進でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください